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?????「…」

『一人』が部屋の中で、ベランダの外を見ながら佇んでいる。

側近「ヒューマン様!やはり『特性』は多くの人間に利用されているようです!いくつかの地域では禁止もされているようですが…」

人間が跪いて…ある人間、あるいは男、あるいは女、あるいはポケモンに報告をしている…

ヒューマン「やはり、食いついている…フッハハ、そりゃあそうだぁ…」

「ポケモンが暴走する『ダーティ災害』…いつ、どこに起こるかも分からない。ポケモンも頼れない恐怖となれば…人は力を欲する。まさに、ベストタイミングだった…」

腕を広げ、非常に狂気的な笑みを浮かべながら、ベランダから外を眺めている…

ヒューマン「…ポケモンのような力を得られる『特性』…!フフッ、ハハハハ…本っ当に楽しみ…人間はポケモンの数倍面白くて、好きだ…」

「好き…好き…!好き好き好き!!!ダメだなあ…!!!壊したくなっちゃうじゃない!!!!」

「それと、君ら…いらない。こっからもう僕一人で十分だから。邪魔しないでくれるかな…?」

側近「はっ!?しかし

ザシュッ!!!

ヒューマン「ああ…ようやく一人になれた…」

「最高のショーを…見せてくれぇ…!!」



第3話

テキオリョク部族



ルディア「う…うええ…」

「あつい…あついよお…あつひ…」


私は今、干からびて干しルディアになりそうです…

何故なら私は今…砂漠にいるんです!


ゼル《しっかりしてください。》

よたよたとしながら前へ歩く。

ルディア「うべえ…ひゃ…もう…むり…」

ゼル《…ルディア?》

《ルディア…ルディア!》

へなへなになりながら、その広大な砂の上に倒れ込む…


遠くから何かが歩いてくる音が聞こえてくる…


???「…?」

???「人が…倒れてる…」


ルディア「んがっ…はぐ、ごくっごく…」

「っぷは〜…!」

質素なテーブルの上に用意された食事を平らげる。

???「おお〜、すごい食いっぷり…」

目の前には木造の部屋と、頬と腕に白いペイントの柄が描かれた、ショートヘアーで褐色で同じ身長くらいの女の子がいる。

ルディア「あれ!?ここ、どこ!砂漠は!?えっ、誰!?」

我に返り、勢いよく立ち上がる。

???「え…まだ意識がなかったの!?」

ルディア「え!?だって、あつくて、砂漠で倒れちゃって…え…?」

「誰か助けてくれたの…?」

???「ええっと、混乱してるね…?」

コブシ「アタシはコブシ!トレーニングで砂漠を歩いてたら、倒れてるキミを見つけて…」

「ずっと呻き声を出してたから、とりあえず水を飲ませてあげようと思って。もてなしも兼ねて食事も用意して…めちゃくちゃがっついてたから、てっきりもう意識が戻ったのかと。」

ルディア「えへへ、全く記憶ないや…」

「あれ!?じゃあここは砂漠の先!?」

コブシ「え…?キミがどこから来たのかわかんないけど、ここはクラシ地方の南の『テキオリョク部族集落』だよ。」

ルディア「南!?良かった、砂漠越えられたんだ…!」

コブシ「とりあえず、今後は十分な水を持って砂漠を通るようにしてね?またこうやって干からびちゃうかもしんないんだから。」

ルディア「えへへ、ごめん…」

「あ…私も自己紹介するね。私はルディア!一応…なりたて冒険家?」

コブシ「へ〜、冒険してるんだね。」

ルディア「えへ、これが最初の冒険だけどね…」

「そうだ!お礼を…」

ベルトにつけたミニバッグをガサゴソと漁るが、木の実や綺麗な葉っぱしか出てこない。

ルディア「え、ええっと…木の実とか…いる…?」

コブシ「あっはは!いいよ、お礼とか。他人の命を救えたなら、それで十分だよ。」

ルディア「本当にいいの!?すごい良い人!」

コブシ「はは、そんなでもないよ…」

ルディア「はっ、そうだ!プレートの手がかりを調べに来たんだった…」

コブシ「プレート…?あれを探しに来たの?」

「手に入れるっていうならそれはとっても難しいんじゃないかな。何しろ、18体の「象徴」がそれぞれ持ってたんだし…とっても貴重なんだよ」

ルディア「でも手に入れないとダメなんだ…助けてくれてありがとう!料理おいしかったよ。この集落で手がかりを探してくる!」

コブシ「うーん…じゃあ、この集落の中なら案内できるよ。私がついて行った方が色々わかりやすいと思うんだけど、どうかな?」

ルディア「ええ!?助けてくれた上に、ガイドまでしてくれるの!?」

コブシ「テキオリョク集落は、客人を歓迎するからね。」

ルディア「じゃあお言葉に甘えちゃおっかな!」


果物店、質屋…色々案内をしてもらった。

町の建物は木造で、セイザタウンのことを思い出させる。

民は基本的に褐色で、部族らしい白いペイントをしている。コブシとおんなじだ。

どこからかの移民なのか、外国人らしき人たちもいた。


コブシ「それで、ここが村の倉庫で…ん?」

薄暗い倉庫の中には、薄髪スキンヘッドで背の低いおじさんが物色している…

コブシ「ああーっ!!泥棒!!また入り込んだ!?」

集落から聞こえる声「何だって!?」

コブシの大声を聞いて、部落の人が集まってくる。

?????「ンゲッ!?」

泥棒?は振り返ってなんとも言えぬびっくりポーズをしている…

顔を見ると目つきが悪く、変な形のちょろヒゲと情けない顔をしており、弱そうな小悪党のような印象を抱く。

ルディア「泥棒!?こいつが!?」

?????「くそっ!こいつら…」

窓によじ登って逃げようとしている。

ルディア「待てえええ!!」

ダッシュで駆け寄り、泥棒の頭を峰打ちで叩き落とす!

?????「いってえええ!!テメッ、何様だよ…!」

ルディア「いや、そっちが何様なの!?泥棒なんでしょ!?」

?????「フン、甘えな…俺に喧嘩を売るのなんて大間違いなんだ!そう…」

「俺は機械王国の災害から生き延びた英雄…大悪党ヘリコニア!なのだあ!」

ルディア「…」

ヘリコニア「…」

ルディア「…そう。」

ヘリコニア「んおおい!もっと恐れるとか…あるだろっ!」

ルディア「え…あなたなんかが怖いと思う?」

(あたかも自分を有名人みたいに話してるのもちょっと、あれだし…)

ヘリコニア「ん何だとぉ!?」

ルディア「そうこう喋る理由もないよ!ちゃっちゃとお縄についてね。」

「何か文句があるなら、正々堂々の勝負で…私に勝ってからにして。」

ヘリコニア「んぬ!このガキィィ…!」

「いいぜ!目にもの見せてやる。子ネズミの分際で大悪党ヘリコニアに逆らうなんて間違いだったんだよぉ!」

「雑魚の小娘相手ならナイフすらもいらねえ〜!仕留めてやる!!」

そう言って素手で飛びかかる!速い、目で追う暇もなく手刀がルディアを襲う!

臨戦体制にすらなれずに命中──

ヘリコニア「へっ!」

…したのだが。

ヘリコニア「…へっ…?」

ルディア「……ん?」

コブシ「あ…」

命中しても特に火力が出ず、結果から見ればただ普通の手がルディアに当たったというだけだった。

ヘリコニアとルディアを含む周囲が拍子抜けて唖然とし、3秒ほど硬直する──

ルディア「ふん!!」

カウンター?の峰打ちがヘリコニアの頭部にまたしても命中する!!

ヘリコニア「あああいてええええ!!ひどい、こんな仕打ち!」

「大体こっちは素手なのに、そっちはクソデケえ剣を使うなんて…!なにが正々堂々だよ〜…!」

泣きそうになりながら頭を抱えてわたわたしている。

ルディア「うっさい!峰打ちなだけ感謝してよね。勝手に素手でかかってきたのはそっちなんだし。」

「それに、薄汚そうなドロボーなんかが負け惜しみする権利はないよ!」

ヘリコニア「くっ…この…」

(ダメだ、痛すぎてなんも頭に入んねえ…!)

「こうなれば…撤退!」

ルディアやコブシや野次馬の隙間を糸を縫うように潜り抜け、逃げる。

ルディア「あ!?待てぇ!」

追おうとするが、集落と隣接した熱帯雨林に逃げ込まれてしまう。

その速さを見て追いつけないと悟り、その場の全員が足を止める…


その後、客の身でありながら泥棒を撃退した功績により、テキオリョク部族の長老と是非話をしたいと言われ、呼び出された。

互いに木製の椅子に座って話をしている。

長老ウェング「いやあ、本当に素晴らしい…!あのヘリコニアという人物はちょくちょく倉庫のものを漁っては逃げおおせる、厄介な泥棒だったのです。」

ルディア「えへへ、当然のことをしたまでだよ。確かにあいつわけわかんないくらい素早いし、面倒臭いねー。」

「あ、お礼はいらないよ?まあ…貸しってことで。」

ウェング「なんと!?そのようなことが…」

ルディア「あ!代わりと言ってはなんだけどさ。『プレート』の手がかりに関して知ってることがあれば、聞きたいんだけど…」

ウェング「プレート!?ふむ…それは…」

「所持はしていますが、本当に貴重なものゆえ…あなたの入手は難しいかも知れませぬ」

ルディア「えー!?あなたまでそう言うの!?」

ウェング「しかしあなた、出身はどこの集落で…?」

ルディア「セイザタウンだよ。」

ウェング「セイザタウン!?なんと!まさかあの砂漠を超えてここに来るセイザの民の方がいるなどとは…」

「ううむ…」

長考した様子を見せる…

ウェング「こうしましょう。妖の象徴は『天変地異』により亡くなられているのですが…次の妖の象徴を作り出す儀式が、妖の森で…明日に催されます。それを完遂できればせいれいプレートを差し上げます。」

「しかし大変危険が伴うことであり、毎年行ってきたのにも関わらず200年間妖の象徴は生まれていないままです。なので無理強いはしないのですが…どうですかな?」

ルディア「オーケー!チャンスをくれてありがとう。絶対成功してくるよ!」

ウェング(何と!?ほぼ不可能な提案に、迷わず乗るとは…この子は、一体…?)

ウェング「フォッフォ…では自然でなり宿でなり、好きなところで明日までお過ごしくださいませ。」

長老の家のドアが開く…

コブシ「あ!戻ってきた!終わったの?」

すぐにコブシが声をかけてくれる。ずっと待ってくれていたのだろう。

ルディア「うん!明日、上手くいけばプレートが貰えそうかも。」

コブシ「え”ーっ、本当!?あの『プレート』を…」

コブシ(えっ待って…明日?ぐ、偶然かな…?)

ルディアは夕暮れに目を向ける…

ルディア「えっと、図々しいと思うんだけど、お金があんまりなくって…」

「泊めてもらうこととかって、できる…?」

コブシ「全然できるよ!」

ルディア「本当!?もうコブシってば、優しい〜!」

小動物のように抱きつく。

コブシは少しびっくりするが、すぐいつもの笑顔に戻る。

コブシ「あはは…昼過ぎにも言ったけど、テキオリョク部族は客人を歓迎するからね。」

ルディア「聞きそびれてたけど、それってなんなの?」

コブシ「元々、テキオリョク部族は外との交流を活発にしてるんだ。活発って言っても土地が土地だからそんなにできてないけどね。でもまあ交流が活発っていうのは、独自の文化を持つ部族の中ではだいぶ珍しいのかな。」

「集落に外国人がいるの分かった?あれは最近受け入れたイロドリ地方の難民の人たちなんだよ。も〜、最近あの地方ますます物騒になったって聞いたよ…」

「話それちゃった。確か200年前くらいの『天変地異』の前まではここはよくセイザタウンの人に助けてもらってたから、そういう方針を定めたみたいな話だった気がするな。今は砂漠に阻まれてて難しいけどね。」

ルディア「へ〜…」

(長老さんが協力してくれたのも、私がセイザタウンの人だからってのもあるのかな…?)

コブシ「そうだ。行くところがないなら、早速うちに来てよ!落ち着いたところで色々話したいし。」

ルディア「わ〜い!行く行く!」



第3話

テキオリョク部族

ザ・ファーストスターライト

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