「俺をこんなにしといて、できないって言うのか?」
「いやだから、それとこれは違うって」
「あの頃のおまえと、今のおまえは違うだろ。俺が愛した男は、昔できなかったことをそのままにしておくような、いい加減なヤツじゃないって知ってるんだけどな」
橋本は嵌められている指輪を、見えるように目の前に突きつけた。そのタイミングで自身を握っている宮本の手に力が入ったせいで感じてしまったが、吐息をもらしてなんとかやり過ごす。
「雅輝がこうして俺を縛りつけたカッコイイ男だからこそ、走りでもその姿を見たいと思っちゃ駄目なのか?」
「陽さん……」
「おまえの走りを、これから先もずっと見てみたい。見せてくれよ」
「……その前にですね、ちゃっかり復讐するの勘弁して欲しいんですけど」
「なぁんだ、バレてたのか」
最初に焦らした宮本の行動に、橋本はさりげなく対抗して、ネタを投下したのだった。
「まずは陽さんの肌の上に、俺が走った痕跡を残して――」
握りしめている橋本のモノをゆっくり扱きながら、反対の手で躰のラインを確かめるようにそっとなぞる。
「んぅっ!」
仰け反って感じた橋本の様子を見ながら、宮本は起き上がった。
「陽さんが俺から離れられないように、たくさん感じさせますよ。この先もずっと」
「雅輝……」
「走りだけじゃなく、エッチでも陽さんを魅了するから、これからも末永くよろしくお願いします」
約束をかわすように、互いが顔を寄せあってキスをした。触れるだけの軽いものが、徐々に深いものへと変化しそして――。
「愛してる雅輝」
「俺も愛してます。この想いはずっと変わらないよ」
言葉と一緒に気持ちを絡ませながら、一晩中愛し合ったのだった。
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