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「ははっ、何だそれ。やっぱり咲結は面白いな」
「え? 私面白い事言った!?」
「言った言った。極道の人間って知って格好良い、ますます惚れるなんて口にする女はなかなかいねぇって」
「そう、なのかな」
咲結の素直さに笑いが込み上げた朔太郎は可笑しいと言って笑いながらも、自分の好きな世界を認めてもらえている事に嬉しさを滲ませていた。
けれど、
「……まあ、正直有り難いよ、そういう反応。話さなかったのは、咲結がどういう反応するのか気になってたのもあるんだ。やっぱさ、仲良くなった奴に距離置かれるのって寂しいじゃん?」
「さっくん……」
「ただな、皆が皆、咲結みたいな考え方じゃ無い。極道の人間だって知ったら距離を置けって言う奴の方が殆どだと思う。だから、もし俺の事で辛い思いをするような事があれば、その時は、周りの意見に従うのが一番だと思う」
「やだよ、そんなの!」
「咲結、お前はまだ子供だから分からねぇと思うけど、大人の世界ってのは理屈だけじゃやっていけないんだ。俺のせいでお前が辛い思いをするのは、嫌なんだよ」
「さっくん……でも、私は……」
朔太郎は分かっていた。理屈だけじゃどうにもならない世界に自分が居る事を。
その事で咲結に辛い思いをさせてしまうかもしれない事を。
だから、そうなる前に伝えておきたかったのだ。自分との関わり方を。
朔太郎の言い分に言葉を詰まらせる咲結。
(確かに、私はまだまだ子供だし大人の世界なんて分からない。きっと『好き』とか『傍に居たい』って想いだけじゃどうにもならない事もあるんだと思う……けど、それでも私は)
暫く無言の時間が続き、何か言葉を掛けようと朔太郎が口を開き掛けると、
「――やっぱり嫌だ、私は周りに何を言われても、さっくんを好きでいる事を止めない。だって、本気なんだもん……好きでいるのは、私の自由だもん……」
咲結の方が先に言葉を紡ぎ、本当に本気で好きだという想いを素直に伝えると、例えどんな事があっても好きでいる事を止めないと宣言した。
そんな咲結に朔太郎は、
「本当、ど直球だよな、咲結って。こんなの初めてだよ、俺」
困ったような表情を浮かべながらも咲結を自身の胸に引き寄せ、そのまま抱きしめた。
「……さっくん?」
突然の事に、咲結は固まっていた。
(え? 私、今……さっくんに、抱き締められてる?)
何故このような事態になっているのか、頭が追いついていないのだ。
「咲結、ありがとう。お前のその気持ち、すげぇ嬉しい。ぶっちゃけ俺さ、咲結の事、結構気になってんだと思う」
「え?」
「これが好きって感情かはまだ分からねぇけど、極道の人間だって話せなかったのは、お前に嫌われたくなかったから。会えなくなるのは、嫌だった」
「さっくん……」
朔太郎はこれまで恋愛という恋愛をした事が無かった。決してモテなかった訳ではないけれど、興味が無かったのだ。