テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
餡狐(あんこ)
312
かき
3,001
あまおう
46
#マイクラ実況者
ふゅう@不定期
11,377
md side――――――――――
らだおくんがきょーさんの部屋へ入って40分くらいで病室の扉が開いた。
らだおくんが外へ出てきた。俯いたまま、何も言わなかった。その姿を見た瞬間、思いたくない事を考えてしまった。
「……らっだぁ」
ぐちつぼが呼ぶ。らだおくんは俯いたまま何も話さなかった。そして…ゆっくりと顔を上げたらだおくんの目は赤く腫れていた。その表情だけでみんな悟った。
コンちゃんはぎゅっと拳を握り締めて。
レウさんは目を閉じ静かに俯いて。
ぐちつぼは一度だけ深呼吸をして。
何も言わずに帽子を深く被って。
そして、オレだけは動かなかった。
病室の扉をただ見つめることしか出来なかった。オレは病室へ入ろうとした。
その時、らだおくんが小さく首を振った。
「……」
“今はやめてくれ”
そう伝えるような仕草だった。
「……アッソ…分かった」
誰も悪くない。誰も責めていない。
それでも、あの日から。
オレとらだおくんは以前のように笑い合えなくなった。会話も無くなり、目が合えば逸らす。必要な報告だけを交わす。
オレたちは、お互いを見るたびに思い出してしまうから。病室の中で話した事、瓦礫の下で見つけたあの日の光景を、失った人の笑顔も、思い出も。辛いくらいなら思い出さなくていい。無かったことにする方が楽な気がする。
その後、運営国と限界国を繋げる橋が修復し終わったのでぐちつぼは自国へ帰っていった。
そして、会話のない生活が半年続いた。
ru side――――――――――
季節は少しずつ移り変わっていった。
崩れた城壁は修復され、焦げた地面には新しい石畳が敷かれていった。人々の笑い声も少しずつ戻り始めていた。
それでも、運営国の城の中は元どうりにならなかった。
「報告書…です」
どりみーが机の上に書類を置いた。
「……ありがとう」
らっだぁは視線を上げないまま答えた。
昔なら
「これ終わったら飯行くか~」
「また書類溜めてるデショ」
そんな他愛もない会話があったのに。
必要なことだけ話して、仕事が終われば部屋を出ることの繰り返し。それを俺とコンちゃんはずっと見ている。
あ、そうそう。
あとから聞いた話なんだけど、“ グレイ ”率いる軍団はあの後、なぜ運営国を潰すチャンスだったのに立て直しのために一旦帰ったのか…とかで内乱がおき、多大な犠牲者が出たらしい。そしてグレイは他国に捕まったとのこと。
rd side――――――――――
廊下を歩いていると反対側からみどりが歩いてくるのが見えた。一瞬目が合うけど…
「……」
「……」
どちらも何も言わずそのまま歩いていった。振り返ることもなかった。
その日の夜、総統室で仕事を終えた俺は引き出しを開けた。そこには一枚の写真が入っている。まだみんなが笑っていた頃の写真だった。俺は真ん中で王冠を被っており、きょーさんが笑い、みどりがイタズラした少年みたいに笑っていて、レウは何故か慌てていて、コンちゃんはふわふわとした笑顔をしている。いつもどうりの運営の一コマだった。
俺はは写真を見つめたまま、静かに引き出しを閉め、机に伏せた。
「教えてよ、きょーさん」
「どうすれば良かったのかな」
md side――――――――――
その頃。
オレは訓練場に一人立っていた。
ナイフを振り、息が上がった。それでも止めない。止まれば、考えてしまうから。最後に交わせなかった時間を。最後に見送れなかった事を。
訓練しているのは思い出したくないから。でも、訓練している理由はそれだけじゃない。それだけじゃないのが腹立たしい。オレは今、“ また ”仲間を失いたくなくて訓練しているのか。
「……っ」
やっぱり、らだおくんと話したくない。でも守りたい。そんな複雑な思いを胸にオレは訓練を続けた。
――――――――――
コメント
3件
コメント失礼しますm(_ _)m 11話と12話で今までもあんな目にうるっときたのは、初めてです😭✨。 そしてとても気に入りましたので!フォローをさしていただきます🙇♀️。 続きを楽しみに待っています😊これからも頑張ってくださいp(´∇`)q ファイト~♪🙇♀️
ポテサラさん、第12話読みました……。胸がぎゅっと締め付けられるような回でしたね。誰も悪くないのに、言葉を交わせなくなってしまうもどかしさ。らっだぁが一人きりで引き出しの写真を見つめるシーン、あの静けさがすごく伝わってきました。「教えてよ、きょーさん」の独白に、グッと来ました。みどりの訓練シーンも、守りたいのに話せない矛盾がリアルで……。半年経っても変わらない関係性の描き方が、本当に丁寧で心に残っています。続きが気になります。