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2話 弟子入り
次の日の早朝
いつもならメイドが起こしに来ないと起きていないエイリーだ。
『エイリー様、朝でございます。』
…居ない。
『おっ?メイドじゃん。おはよ。』
『ぎゃあァァァ!!』
騒ぎを聞きつけた家の者みんなが集まった。
『何の騒ぎなの?』
『あっ奥様…』
エイリーは気にせず、荷物を持ち外へ出た。
『んじゃ!行きますわ!』
メイドや執事は呆然としていたが、
マーヴァー夫妻は呆れていた。
『本当にあの子の娘なのかしら。』
『きっと、あのお方に似たのだろうな。』
険しい山にある広い平地で2人の人影
がエイリーを待っていた。
『待っていたぞ。エイリー・マーヴァー』
元騎士団長のレイン・カズニーが言った。
『あ、よろしくおはようございますわっ!』
自信満々にエイリーは自己紹介をしたが、
1人の少年に指摘をされた。
『『おはようございます。本日からご指導よろしくお願いします。』じゃねぇのかよ!!』
『…ルカニア。』
『アッ…いや…思わず…その…』
『黙っとれ。』
『ハイ…。師匠様』
そんな会話を、エイリーは呆然と見ていた。
レインが仕切り直して話し始めた。
『…改めて、今日からお前の師匠となる、元騎士団長のレイン・カズニーだ。』
『…師匠の一番弟子のルカニアだ。苗字は知らん。』
エイリーも続けて自己紹介をした。
『マーヴァー家から参りました。
エイリー・マーヴァーと申します。』
ルカニアは『なんだ、出来んじゃん』という表情でエイリーを見ている。
『そして、王子様に憧れて参りました☆』
レインとルカニアは吹き出した。
『おまっ…wwwお、王子…www』
ルカニアがいうとレインがルカニアを叩き
『バカっ…wwwおまっ…www夢を笑うんじゃ…www』
エイリーはイライラしながらその様子を見ている。
『何?騎士ならなれるでしょ。王子様に。』
それを聞いて2人はもっと笑った。
2人がゲラゲラと笑っていたのも束の間。
ゴンッゴンッっと二度鈍い音がした。
エイリーが2人の頭にげんこつをしたのだ。
『やってやるわよ!やるからには!』
それを聞いたレインは頭を押さえながら言った。
『…うむ。それでこそ俺の弟子だ…。本当…父親譲りの力だな。』
『分かった。お前の意思は受け止めたぞ。エイリー。』
『ただ、今日は休みだ…また明日から…ここに来い。』
そう言ってレインは鍛錬場への地図を渡し、自室へ帰った。
『…で?私の部屋は?』
ルカニアもレインと同様、頭を押さえながら
『あ…あそこだ…』と言って1つの小さな家を
指差した。
エイリーはその家で一晩過ごした。