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「その力が魔王に対抗できるかもしれないか……お前はどうするんだ? その力で魔王を倒すのか、門を閉じるのか」
「……門を閉じたとしても魔王と戦う事になるかもしれないから、それしか道はないと思う」
「なら作戦を考えないとな。真っ向勝負で俺達が勝てるはずないから姫花達に任せるしかないが、それでも勝てるかどうか分からない」
「そういえば拓海と一緒じゃないのか? 一緒に異世界に行った可能性があると思ったんだけど」
「俺一人だった。それと今思い出したんだが、俺が行った異世界では魔王は既に倒されていた」
「じゃあこの世界にいる魔王は別の世界から来たってこと?」
「おそらくな」
「……本当に別の世界なのかな?」
「なにが引っ掛かるんだ?」
「わからない。それを確かめるには……」
直樹はミコットと姫花の方に視線を送る。
「あの、2人に質問があります」
「なんでしょうか?」
「なんですか?」
「ミコットの世界は魔王に支配されて、その魔王が次はこの世界を支配しようとしてるんだよな?」
「はい」
「姫花さんは?」
「私の世界では魔王は勇者によって倒されました」
直樹の頭の中になにかが引っ掛かっていた。魔王がミコットの世界から来ているのは確実。なら姫花も同じ世界の存在の可能性がある。だけどミコットと姫花の世界は真反対の状況。なぜ食い違うのか、その理由があと一歩のところで出てこない。そして直樹はミコットの話を思い出した。
『しかし、魔王は致命傷を負ったがすぐに回復して世界を支配した』
謎が解けて直樹の頭の中で混ざり合った情報が1つの仮説として整頓される。
「分かった、時間軸が違うんだ!姫花は勇者が魔王を倒した時間で、ミコットはその後の未来から来たんだ!」
「確かに……それだと辻褄が合うが、まだ確信できない。もっと決定的な情報が必要だ。それを解決する方法はお互いが自分の世界のことを言い合うことだけだ」
「やっぱ佐久間は頭がいいな!」
姫花は考えた。エルフと人間の文化だと、あまりにもお互いに差がありすぎる。エルフにとって外の世界は未知の領域。人間にとってエルフは計り知れない存在。
「お互いが知っている事……」
──魔王、世界、勇者
「”勇者”を生み出すためのプログラム、そしてその施設……」
ミコットがそう呟いた。その言葉の先を答えるかのように姫花も言った。
「……ホーリーエッグ」
ミコットと姫花の目が合った。
「ホーリーエッグ?とはな──」
その瞬間突風が吹き付け、体のバランスが崩れる。気がつけば景色がものすごい勢いで送られている。それほど速くドラゴンは飛んでいた。
「話をしているところ悪いが、そろそろ時間だ」
進行方向を見ると魔王城が目の前に見えた。しかしその前にはモンスターの大群が待ち構えていた。
突然現れたドラゴンとモンスターに地上は騒ぎを起こしているだろう。
「ガーゴイルにワイバーンまで……!どうします!?」
「二手に別れよう!魔王城に接近して俺と佐久間とミコットがあの入り口から魔王城に入る!残りはここからモンスターの足止めを頼む!」
魔王城の入り口は巨大な門で閉ざされている。あそこから内部に入れそうだった。
すると白いドラゴンが上昇し始めた。
「なにを──!? 」
「そんな面倒なことをせずとも、城に入る方法はある」
「どうやって?」
「城の一部を破壊するっ!」
そう言って白いドラゴンは炎を吐き出し魔王城の一部の壁が粉砕され城の内部が丸裸になる。モンスターの大群の一部が巻き込まれ、粉砕された壁の断面は赤く溶けていた。
「すごっ!」
「我がモンスターの相手をしよう。お主らはそこから内部に侵入するがいい」
白いドラゴンの頭を下って直樹たちは城の内部に入る。全員が降りた後、佐久間は白いドラゴンに尋ねた。
「俺の願いを叶えたらすぐに帰ると思ったが、なぜここまでするんだ?」
「魔王の干渉を受けてなのか元の世界に戻れなくなった。それに久しぶりに体を動かせる機会だからな、外の害獣は任せるがいい」
「分かった。頼んだぞ」
白いドラゴンは佐久間たちを見送りモンスターを一掃し始めた。
魔王は直ぐ側にいる。魔王の気配が嫌でも感知できた。黒い騎士よりも遥かに異様な悪寒。プレッシャーが直樹を押しつぶし、体が強張る。
すると佐久間が直樹の肩に手を置き言った。
「心配するな。最悪、里奈を助け出すことだけ出来ればそれでいい」
「……うん、行こう!」
直樹は魔王の気配が感じる場所に向かって歩き出した。