テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第18話 好きかもね
夏休みが終わって、しばらく経った。
昼間はまだまだ暑い。部屋の窓を開ければ、夏の名残みたいな蝉の声が聞こえてくる。
でも。
夏が終わって、秋が始まろうとしている。
そんな季節の変わり目。
放課後のなんでも相談部には、今日もシヴァさんが来て、三人が集まっていた。
💚「ばっくん!」
🐸「ん?」
💚「今日は別の方法で探してみよう!」
💛「昨日いろいろ試したもんな」
🐸「今日は何するの?」
💚「うーん……」
俺は腕を組む。
昨日はスポーツ、ゲーム、絵、音楽。
いろんなことを試してみた。
でも、どれも『楽しい』止まりだった。
💛「……じゃあさ」
たっつんはシヴァさんの目を見る。
💛「逆に、嫌いなことってある?」
🐸「嫌いなこと?」
💛「うん」
シヴァさんは少し考える。
🐸「……人に急かされるのは嫌かな」
💛「分かるわぁ、なぁじゃぱぱ?」
💚「ぎくっ!」
確かにいつもたっつんのこと急かしてるけど!
🐸「あとは……」
また少し考えてから。
🐸「一人でずっと何もせずにいるのも、あんまり好きじゃないかも」
💚「……!」
俺は顔を上げた。
💚「それじゃん!」
🐸「え?」
💚「シヴァさん、人と一緒にいるの好きなんじゃない?」
🐸「……」
シヴァさんは少し驚いたような顔をする。
🐸「……人と一緒にいるのが好き?」
💚「うん!」
💛「確かに!昨日もそうやったやん」
🐸「昨日?」
💛「俺らとボール投げたり、ゲームしたりしてるとき」
💚「ずっと笑ってたじゃん!」
🐸「……そうだった?」
💚「そうそう!」
昨日のことを思い出す。
ゲームをして。
ボールを投げて。
絵を描いて。
音楽を聴いて。
そのどれも、シヴァさんは「大好き」とは言わなかった。
でも。
俺たちとくだらない話をしているときは、何度も笑っていた。
💚「ほら、今も笑ってる!」
🐸「いや、それは……」
💚「楽しいんでしょ?」
🐸「……うん」
シヴァさんは少し照れたように笑った。
🐸「楽しい」
#リクエスト
Rei7
1
118
えとゆあ推し!
61
💛「じゃあ、それでええやん」
🐸「……」
💛「『これが大好きです!』って言えるもんがなくてもええやろ」
💚「うん!」
💛「好きなものって、別に一個に決めなあかんもんちゃうし」
💛「『これをしてるときは楽しい』とか、『この人たちといると楽しい』とか」
💛「そういうのも全部、好きでええんちゃう?」
シヴァさんは黙っていた。
窓の外から、少しだけ涼しい風が入ってくる。
カーテンがふわりと揺れた。
夏の終わりを知らせるような風。
🐸「……そっか」
シヴァさんが小さく呟く。
🐸「俺、ずっと『好きなモノ』って、何か一つのものだと思ってた」
🐸「ゲームが好きとか。スポーツが好きとか。絵が好きとか」
🐸「でも……」
シヴァさんは俺たちを見る。
🐸「人と一緒にいて、くだらないことで笑うのも……好きって言っていいんだね」
💚「もちろん!」
💛「むしろ、何でダメやと思ってたんや」
🐸「……なんとなく?」
💚「じゃあ決まり!」
🐸「何が?」
💚「シヴァさんの好きなもの!」
俺は胸を張る。
💚「『みんなと一緒にいっぱい笑うこと』!」
🐸「……」
シヴァさんは少し目を丸くして。
🐸「……確かに、好き…かもね。」
💚「でしょ?」
💛「ええな、俺も好きやで。アホと一緒に笑うの」
💚「あ、告白ですか?」
💛「ちゃうわ!アホ!!」
たっつんがちょっとだけ顔を赤くして怒ってくる。
🐸「あはは!」
また三人で笑った。
その笑い声が、静かな放課後の部室に響く。
しばらくして。
シヴァさんが、ふと口を開いた。
🐸「……俺さ」
💚「ん?」
🐸「実は昨日、帰る前に思ってたんだよねー」
💛「うん」
🐸「昨日やったことの中で、一番楽しかったのって何だったんだろうって」
🐸「頭の中に思い浮かんだのはスポーツでも、ゲームでも、絵でもなかった」
🐸「……この部室で、三人で笑ってた時間だった」
💚「……!」
🐸「でも、それを『好き』って言っていいのか分からなかった」
シヴァさんは少しだけ窓の外を見る。
校庭の木々が、風に揺れている。
まだ緑色の葉がほとんどだけど。
その中に、ほんの少しだけ黄色くなり始めている葉があった。
🐸「だから……」
シヴァさんはゆっくりと笑った。
🐸「今日、分かってよかった」
💚「……うん!」
🐸「まだ、全部は分かんないけどね」
💚「え?」
🐸「俺が何が好きなのか、まだよく分からない」
🐸「昨日やったことだって、全部『好き』って感じたわけじゃないし」
🐸「でも……」
少しだけ考えて。
🐸「これから、もっと増やしていけたらいいなって思う」
💛「……」
🐸「今日みたいに、やってみたら『意外と好きかも』って思うものがあるかもしれないし」
🐸「まだ知らないだけで、俺にも好きなものっていっぱいあるのかもしれない」
💚「……!」
なんだか、それがすごくいい答えに聞こえた。
好きなものをたくさん見つけたわけじゃない。
でも。
これから探していくことを、楽しみに思えるようになった。
それだけで、きっと十分なんだ。
💚「じゃあ、これからいっぱい探そうよ!」
🐸「うん!」
💛「焦らんでもええけどな」
🐸「分かってるってー笑」
💚「じゃあ次は何する?」
🐸「それ考えるのも楽しそう!」
💛「それも『好き』になるかもしれんな」
🐸「あはは、そうかも」
三人で笑う。
窓の外では、まだ蝉が鳴いていた。
だけど。
夏の頃より、その声は少しだけ遠く聞こえる。
季節は、少しずつ進んでいる。
夏から秋へ。
そして。
シヴァさんの『好き』も、これから少しずつ増えていくのだろう。
今日見つけたのは、ほんのちょっと。
それでも。
『まだ分からない』じゃなくて。
『これから見つけたい』と思えた。
それはきっと。
大きな一歩だった。
🐸「……俺、なんでも相談部、好きかも」
💚「え?」
🐸「ここに居るの、結構好きかもねって」
💛「……それは嬉しいな」
💚「じゃあ毎日来てよ!」
🐸「毎日!?それは部活があるからちょっと無理かも笑」
💛「お前、シヴァさんを部員にしようたってシヴァさんは野球部やから部員にはなれへんぞ」
💚「いやいやかけもちしてもらうんだよ!」
🐸「……あはは!」
また三人の笑い声が響く。
シヴァさんの『大好き』は、まだ分からない。
でも。
これからきっと。
たくさんの『好き』に出会っていく。
きっとね!
ここまで読んでくださりありがとうございます!
シヴァさんのお悩み解決です!!『好き』って何かと聞かれるとよく分からないですよね。楽しいって思うこと?ドキドキすること?安心すること?なんなんでしょうね!人それぞれの答えがあってわくわくしますね!
ちなみに新しい作品も投稿予定です!
放課後恋愛研究クラブ!のいいね1000以上で投稿するので、
放課後恋愛研究クラブ!の方もいいね&コメントよろしくお願いします!
次回 第19話 ひとりでも
コメント
2件
天才すぎてて心臓が無くなりました!(?)次からも頑張って下さい!✨楽しみにしてます!
「好き」ってなんだろうって、シヴァさんと一緒に考えさせられる回でしたね。でも最後に「みんなと一緒にいっぱい笑うこと」が好きって言えた瞬間、すごくほっこりしました。たっつんの「好きなものは一個に決めなあかんもんちゃう」って言葉、すごく沁みます。三人の空気感が本当に温かくて、私もこの部室の隅で一緒に笑ってる気持ちになりました。シヴァさんの「好きかも」が、これからもっと増えていきますように🌷