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えとゆあ推し!
61
第19話 ひとりでも
注 じゃぱたつ
――朝。
いつもなら、学校へ行く準備をしながらじゃぱぱから「たっつーん!早く行こー!」なんて急かされてる時間。
でも、今日は違った。
スマホが震える。
画面を見ると、じゃぱぱからだった。
💚『たっつん、ごめん。今日ちょっと熱あって体調悪いかも。学校休むね』
💛「……え?」
思わず声が出た。
体調悪い……?
昨日までは普通に元気やったやん。
俺はすぐに返信する。
💛『大丈夫なん?』
💚『うん、多分大丈夫!ちょっと風邪っぽいだけだから』
💛『ほんまに?』
💚『ほんとほんと!今日は寝てれば治ると思う』
💛『ちゃんと寝とけよ』
💚『はーい』
💛「そっか……」
大丈夫かな。
💚『なんでも相談部よろしくー』
💛『うん』
そうやん、今日なんでも相談部は俺一人だけ。
もし相談に来る人がいたら――。
……いや。
💛「……俺一人でもできるやろ」
小さく呟く。
俺は副部長やろ?
じゃぱぱが休みの日くらい、俺がちゃんとせんと。
そう思って、学校へ向かった。
――でも。
授業中も。
休み時間も。
どうしても気になってしまう。
じゃぱぱは。
ちゃんと寝てるかな。
熱、上がってへんかな。
ご飯食べたかな。
……大丈夫かな。
💛「……」
気がつけば、何度もあいつのことを考えている。
そのたびに、
💛「弱気になったらあかん」
自分に言い聞かせた。
💛「俺一人でもなんとかするんや。副部長やろ?」
そう呟いた。
――そして、放課後。
いつものように、なんでも相談部の部室へ向かう。
ドアを開ける。
当然、じゃぱぱはいない。
💛「……静かやな」
いつもなら、
『たっつーん!今日何するー?』
なんて言いながら、真っ先に部室へ入っていくのに。
今日は、俺一人。
椅子に座って、机の上を整理する。
そのとき。
コンコン。
扉がノックされた。
💛「はい」
扉が開く。
そこに立っていたのは――。
🤍「こんにちは〜……」
白髪の男の子。
💛「こんにちは!」
ふわっとした笑顔。
🤍「なんでも相談部って、ここで合ってる?」
💛「合ってるで」
🤍「よかった〜」
男の子は、少し安心したように部室へ入ってくる。
🤍「俺は2年B組のどぬく。剣道部だよ」
💛「俺はたっつん。本当は部長のじゃぱぱも居るんやけど今日は休みや。ほんで今日はどうしたん?」
🤍「えっとね……」
どぬくくんは椅子に座った。
でも、なかなか話し始めない。
💛「……?」
🤍「俺、ちょっと相談したいことがあって」
💛「うん。何でも言ってええで」
🤍「……」
少し間があって。
🤍「色んな人からよく『ふわふわしてるね』って言われるんだけど…」
💛「確かにふわふわしてるな!」
🤍「そう…なのかな」
💛「褒めてるで!」
🤍「ありがとう」
🤍「でもね、俺、そのせいで自分の意見が言えないんだ〜」
💛「意見?」
🤍「うん」
どぬくんは困ったように笑う。
🤍「先輩とかになら言えるんだけど…」
💛「確かに俺には言えてるな」
🤍「友達と遊ぶときとか、部活のときとか……」
🤍「『どこ行きたい?』とか『何がいい?』って聞かれても、俺、いつも『どっちでもいいよ〜』って言っちゃうの」
💛「……なるほどな」
🤍「本当は、こっちがいいって思ってることもあるんだけどね」
💛「じゃあ、それを言えばええんちゃう?」
🤍「……それができないんだよね〜」
💛「あ……」
そっか。
簡単なことやと思ってた。
でも、本人にとっては簡単じゃない。
🤍「自分の意見を言ったら、みんなと違ったときに……なんか、嫌な空気になりそうで」
🤍「だから、みんなに合わせたほうがいいかなって」
💛「……」
俺は少し考える。
💛「でもさ」
🤍「うん?」
💛「意見が違うだけで、仲悪くなることなんてあるか?」
🤍「……分かんない」
💛「俺は、そんなことないと思うけどなぁ」
🤍「でも……怖いんだよね〜」
どぬくくんは、へらっと笑った。
その笑顔はふわふわしている。
でも。
きっと、ずっと悩んでたんやろな。
💛「…そうだよね」
どうすればええんや。
じゃぱぱがおったら、きっとすぐに何か言ってくれる。
でも――。
💛「……俺が考えなあかん」
副部長なんやから。
俺は笑顔で言った。
💛「じゃあ……練習してみる?」
🤍「練習?」
💛「うん。まず俺のことを同級生やと思って、自分の意見を言ってみるんや!俺が質問するな。」
🤍「……やってみる」
💛「じゃあ、今日の放課後、一緒に何食べたい?」
🤍「え〜っと……」
どぬくくんは少し考える。
🤍「……なんでもいいよ〜」
💛「ほら、もう言ってるやん笑」
🤍「あはは……」
💛「じゃあ、俺はラーメン食べたい」
🤍「じゃあ俺もラーメンでいいよ〜」
💛「ちゃうちゃう!」
🤍「え?」
💛「俺がラーメン食べたいって言ったからって、合わせんでええねん」
🤍「……」
💛「どぬくくんは?」
🤍「……俺は」
少しだけ間が空く。
🤍「……カレーがいい」
💛「うん」
🤍「……これでいいの?」
💛「ええやん」
🤍「でも、たっつん先輩はラーメンがいいんでしょ?」
💛「俺はラーメン。どぬくくんはカレー。それだけや」
🤍「……」
どぬくくんが少しだけ目を丸くする。
💛「意見が違うことと、仲が悪くなることは別やろ?」
🤍「……そっか」
どぬくくんは、少し笑った。
🤍「なんか……分かったような、分からないような」
💛「まぁ、すぐには無理やろうな」
🤍「うん……」
俺も笑う。
でも。
これだけじゃ、まだ足りない。
もっとちゃんと話を聞いてやらないと。
💛「……どぬくくん」
🤍「ん?」
💛「今日は、もうちょっと話してみん?」
🤍「うん」
それから俺たちは、いろんな話をした。
友達とのこと。
剣道部でのこと。
自分の意見を言えなかった場面。
どぬくくんは、ゆっくり話してくれた。
俺も、どうすればいいのか考えながら聞いた。
でも――。
結局。
今日一日で答えが出ることはなかった。
💛「……ごめんな」
🤍「え?」
💛「今日、ちゃんと答え出せんかった」
🤍「そんな謝らなくていいよ〜」
💛「でも……」
🤍「話聞いてもらえただけでも、ちょっと楽になったから」
💛「……そっか」
どぬくくんが立ち上がる。
🤍「じゃあ、今日は帰るね」
💛「うん」
扉の前まで見送る。
そして、ふと思った。
💛「……なあ、どぬくくん」
🤍「ん?」
💛「ごめん。また明日も来てくれへん?」
🤍「……!」
どぬくくんは少し驚いたあと、ふわっと笑った。
🤍「もちろん」
💛「ありがとう」
🤍「じゃあ、また明日ね〜」
💛「うん。また明日」
扉が閉まる。
静かになった部室。
俺は一人で椅子に座った。
💛「……難しいなぁ」
やっぱり。
一人でやるのは、思ってたより大変や。
じゃぱぱがおったら――。
……いや。
💛「弱気になるな」
俺は立ち上がる。
💛「明日こそ、ちゃんと答え見つけるんや」
そう呟いて、部室を出た。
学校を出て、家へ向かう。涼しい風が吹いてくる。
……。
俺の家の隣。
じゃぱぱの家の前で、足を止めた。
💛「……」
やっぱり。
顔だけでも見に行くか。
俺はインターホンを押した。
少しすると、玄関の扉が開く。
「あらたっつんくん。」
💛「こんにちは。じゃぱぱに会いに来ました」
「そうなの!たぶん2階にいると思うから。来てくれてありがとう」
💛「こちらこそありがとうございます」
「たぶん大丈夫だと思うけど一応うつらないように気をつけて」
💛「ありがとうございます」
俺はじゃぱぱの部屋へ向かう。コンコン。
💛「じゃぱぱ〜?」
💚「……たっつん?」
💛「おう」
💚「たっつーん!来てくれたの!?」
じゃぱぱが嬉しそうに俺に抱きついてくる。
💛「わっ!」
慌てて押し返す。
💛「抱きついてくんな!うつる!」
💚「あ、確かに」
💛「今さら気づいたんかい」
じゃぱぱはへへっと笑った。
でも、少し顔が赤い。
やっぱりまだ体調悪いんやな。
💛「も〜。相変わらず部屋汚いなぁ」
💚「しょーがないじゃん!てか何しに来たのー?」
💛「……じゃぱぱぁ🥺」
💚「えっ!?なに?どうしたの?」
💛「……こんなときにごめんなんやけどさ」
💚「んー?」
💛「やっぱ……なんでも相談部、俺一人じゃ無理かも」
💚「……」
💛「じゃぱぱなしじゃ……無理」
そこまで言ったとき。
💚「たっつん」
💛「……?」
じゃぱぱがにこっと笑い、まっすぐ俺の目を見る。
💚「やる前からなんでもかんでも、無理無理言ってちゃダメでしょ!」
💛「……!」
💚「たっつんに、不可能なんてないんだから!!」
💛「……!!」
その言葉を聞いて。
なんだか、胸の奥が熱くなった。
実際に出来るかどうかそんなの関係ない。
💛「……ふふっ」
💚「でしょ?」
💛「……じゃぱぱらしいな」
俺は思わず笑った。
💚「ほら、元気出してー!」
💛「ごめんな。体調悪いのに」
💚「大丈夫!」
じゃぱぱは笑って。
💚「たっつんパワーで全部吹き飛んだ!」
💛「そんな大げさな」
💚「ほんと!」
そして。
💚「来てくれて嬉しい!!」
💛「……」
俺は少しだけ黙った。
💛「……うん」
やっぱり。
こいつがおらんと、ちょっと寂しいな。
君は人一倍、誰かの気持ちに敏感だ。
だから本当はしんどいのに俺のためにわざと明るいフリをしているんだろう。
だから――。
どぬくくんのためにも、
じゃぱぱのためにも、
そして俺自身のためにも。
明日は俺がやる。
今日はできなかったけど。
明日は、ちゃんと。
俺ひとりでも。
そう思いながら、俺はじゃぱぱの家を後にした。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
どぬくのお悩みは意見がいえないことです!これは共感できる人もいるんじゃないでしょうか?
それと今回はじゃぱぱがいません。たっつんは解決できるのでしょうか?
ちなみにじゃぱぱの「やる前からなんでもかんでも、無理無理言ってちゃダメでしょ!たっつんに、不可能なんでないんだから!」というセリフは本家様のセリフですね!
新しい作品この扉の向こう側で君と。も連載スタートしましたのでぜひ読んでいただけると幸いです!!
キャラクター紹介
🤍=どぬく。2年B組。剣道部。ふわふわしてる。先生に気に入られてる優等生らしい。
次回 第20話 違っても
コメント
6件
おはようございます!一瞬でいいねついたので戻ってきたww楽しみにしてまーす!
あるあるだなーあ!アイコン少し変えたけどいつもコメントしてるひとです!今回も面白くて尊いな~と思いました!頑張って下さい!

読んだよー!!私もよくあることだからまぢでグッときた!どぬちゃん頑張れ~!!たっつんもかわいい!じゃっぴの所に行って素直に思い言うのかわいいッ心臓がやられるッじゃっぴも早く風邪治して二人で放課後なんでも相談部やってね~!主様も頑張ってください!