コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「やあ、みなさん。よくぞお揃いで」
何言っているんだ…という言葉とここはどこだと言う思考が同時に頭にのぼるまで、そうそう時間はかからなかった。
まず、辺りを見渡してみる。そこには僕と同じ状況下に置かれ、騒然と周りを見渡す人々ばかりだ。そして、ここで何が繰り広げられているのか。という疑問もぷつりと浮かんできた。周りで殺し合い…いや、刺し合いに近いものが繰り広げられていたからだ。
「ぐぁっ」
そう言ってまた僕の前で人が刺される。ここにきた…いや、目覚めたその瞬間は周りをキョロキョロとみている人しか視界に入ってこなかったが、こんなにも近くで刺し合いが行われていたようだ。
「あーあー。私が来る前にもう始めているようですね。野生の勘…と、言うやつでしょうか」
また、初めの声と同じ声でアナウンスが入る
するとさっきまで刺していた人と刺されていた人が同時に上のスクリーンを見た。
…ん?刺されていた人?なぜ、刺されていたはずなのに生きているのだろうか。さっきは確かに心臓をひと突きされていたはずだ。なぜ…
「おーっと?もう勘のいい人は気づいているようですね。そうです!今から繰り広げて貰うのは“殺し合い”!ただし、生き返ることが出来ます。殺した分だけ点数が入る仕組みとなっていますよ!」
さっきよりも若干と声のトーンが高くなったアナウンスにみな警戒しているようだ。まるでアナウンスに煽られているような気分になった。
(殺した分だけ点数…その点数は何かに関係しているのか…)
「えー、点数はこの“セカイ”のお金へと変換が可能です。殺し合いを繰り広げてもらうのは夜中のみ。日中はこの“セカイ”で過ごしてもらいます。ショッピングセンターにフードコート、ゲームセンターまで!皆さんの世界と変わらないものを用意しました。日中は生活を楽しんでください」
(…一瞬、僕の心が読まれたのかとびっくりしたが、たまたまだと思っておこう。夜中は殺し合いで日中は普通の生活…?このセカイは僕たちに何をして欲しいんだ?何が目的だ?このセカイから出ることは出来ないのか…?ただ殺しあって生活…僕たちを殺すことが目的?でも生き返ることが可能なら…僕らが世界からこっちのセカイへと連れてこられた理由はなんだ?)
僕にしては珍しく1人でぐるぐると考え込んだ。だがいくら考えても出てくるものではなかった。
「んん、えー。聞いてくださいね。生き返ることができる…と、言いましたがこの数百人の中のたった1名だけは生き返ることが不可能でーす!それは向こうの世界の体だから!いいですか、みなさん。みなさんは今こちらのセカイの材料で作り替えられた…すなわち、魂だけは世界のもので周りの体、容器となるものはこちらのセカイの材料で作られています。だから再生が可能。生き返ることが可能!そしてそれと同時に再生可能な人は世界からいらなくなった人です。誰からも必要とされていない…自分でも分かっているのではないでしょうかーw」
必要と…されていない?僕が?いや、そんなはずが無い。僕は毎日勉強を頑張って、寝る間もおしんで頑張って学年一位にもなった。親にも褒められて、自慢の息子だと言われた。僕がいらない人間なはずがないんだ。…だとすると、僕がその数百人のうちの1人?
「この中にたった1人として呼ばれた必要とされている人間…その人は生き返ることが出来ないため、殺されないように必死に生きてください。そしてその必要とされている“アナタ”へ。このセカイには唯一、元の世界へ戻れるルートが作られています。まぁ、簡単に言えば殺されないようにゴールする迷路のようなものですね!そう考えれば楽しく、簡単でしょう?…なので、頑張ってゴールしてくださーい!ちなみに、その唯一の人間を見つけ出し、殺した人は元の世界へ帰ることが可能でーす!さぁ、最後にゴールするのは必要とされている人間か…それとも必要とされていると思い足掻き元の世界へ戻る不必要な人間か…楽しみですねー!頑張ってくださァい♡」
ゴールするか死ぬか…
プルルルルルルルルル
急に、電話が響いた。
「うわっ?!」
誰のスマホから聴こえるのだろうかと少し辺りを見渡した。そう言えばこの着信音は自分のものだ。
(な、なんだ、電話か。ん?電話…?このセカイで電話は使えるのか?)
「あ!そうそう!伝え忘れてました!このセカイでは皆さんが来た世界からメール、電話が繋がります!勿論、その他多数のSNSもです。ただ、必要とされていないあなたはメール、電話がくるか知りませんけどねーwまぁ、来たということは…そうですね。選ばれた“アナタ”の可能性が高いですね…ふふ、みなさん頑張ってくださいね」
(電話…メールは使えるのか。待てよ、電話が来たということは必要とされている人間の可能性が高い…?つまり…)
と、考えた頃にはもう遅かったようだ。各々で僕を殺す決意が見られた。
「おい!アイツ、電話が来てたぞ!」
「選ばれた人間じゃねーのか!」
「みんな、来るなよ!俺が殺すんだからな!」
「ちょっと、私も殺すの!邪魔しないでよ!」
(や、やばいっ逃げないと…)