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『ありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ。夢だった先生になれて、こうして雫さんに褒めてもらって……諦めないで頑張ってきて良かった』
『立派だよ、夢を叶えたんだから。本当にすごいことだよ。ねえ、希良君、今はどこで教えてるの?』
『今は……実家に戻ったんだ』
『長野に?』
『うん。都会よりここの方が何倍も星が綺麗だからね。毎日、夜空を見るのが日課になっててさ、すごく癒されてるよ』
『そっか……でも、ご実家ならご両親もお喜びね』
『本当は一人暮らししたかったんだけど、父さんの体調、いろいろ波があるから心配で。側にいてくれたら安心だって母さんも言ってるし』
『そうなんだ、お父さん心配だね。うん、側にいてあげて。いろいろ大変だけど、きっと希良君なら大丈夫だよ。そうだ、理科の実験もしてる?』
それが希良君の夢だったもんね。
私に語ってくれた時のキラキラした瞳、今でも忘れられないよ。
『うん、めちゃくちゃ楽しいよ。実験になるとみんな目の色変わるし。自分が子どもだった頃を思い出すよ。こんな風に夢中になってたなって。本当に……子ども達って夢や希望に溢れてて可愛くて仕方ないよ』
素直にそんな風に思える希良君の心は、きっと、澄みきった星空みたいに綺麗なんだろう。
『そうだろうね。子どもは本当に可愛いよね。希良君に教えてもらえて、生徒さんはみんな幸せだね。希良君。私、希良君のことずっと応援してるから。これからも体に気をつけて頑張って。絶対、忘れないよ』
『ありがとう……僕も、ずっと忘れない。まだ全然彼女もできそうにないしね。焦るつもりもないけど。雫さんが心の中にいてくれるから……まだまだ頑張れる。絶対に何があっても負けないよ』
その言葉に涙が止まらなかった。
希良君とはもう会うことはないだろう……
この人は、きっと最高の先生になって、いつかは素敵な人と巡り会って結婚して幸せになる。
私は、希良君の声を聞いてそう確信した。
『もう電話しない……ね。声聞いたら……会いたくなってしまうから。今も、本当はすごく会いたいよ。でも、我慢する』
『希良君……』
『遠くからあなたの幸せを……いつまでも祈っています。最後に言わせて。僕と出会ってくれて本当にありがとう。一緒に行ったテーマパーク、楽しかったし、幸せだったよ。雫さんは最高の女性だ。あなたを超える人なんて、世界中どこを探しても見つからない。本当にありがとう。じゃあ、体に気をつけてね。バイバイ』
あれから……
希良君とは、1度も連絡を取っていない。
きっと、立派な先生になってるね。
もしかして今頃、結婚してパパになって子育てなんかしてるかもね。
そう思うと嬉しくなる。
希良君は、本当に素晴らしい青年だ。
君のことは、私の記憶の中にいつまでもずっとキラキラ輝く思い出として残っていくよ。