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【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
いつも余裕のある攻めをどきどきさせたくて色々と試みる受け…というお題をリア友からもらって書きました!
青さんをどぎまぎさせたい桃さん…いつもよりかわいい感じになってしまった…
受けが主導権を握ろうとしたとき、普段自分がしてもらってる攻めのやり方しか真似できないの、めちゃかわいいと思うんです…
「まろ、今から絶対そこ動かないで」
急にないこが真剣な声音でそう言うものだから、俺は思わず読んでいた雑誌から目線を上げた。
ソファの上で組んでいた足を下ろし、後ろを振り返る。
整った顔で唇を引き結んだないこがそこに立っていた。
「そこ…って、ここ?」
ソファを指さすと、ないこは「そこ」と頷きながら応じる。
持っていた雑誌を目の前のローテーブルに置こうとすると、「あーだから動くなって!」と即叱咤の声が飛んできた。
…え、場所の話じゃなくて動作的にも許されへん感じ? これ。
「そのまま動かないでテレビでも見てて」
ソファの正面にあるテレビを顎で示すないこ。
そこには家電量販店くらいでしか見たことのない大きな画面。
一般家庭…しかも男一人暮らしにこんなどデカいテレビを置いているやつはそうはいないだろう。
意味も分からないまま、それでも言われる通りに前を向く。
ないこが何かを思いついてこんなことを言い出したときは、とりあえず黙って従っておくのが賢明だ。
前を向いたまま、ソファの背もたれに左腕を乗せた。
目の前の画面では、どこぞの配信者が思わず吹き出してしまうようなくだらない企画に全力投球している動画が映し出されている。
それを見るとはなしに視線だけ送った瞬間、俺の後ろでないこが動く気配がした。
ふわ、と後ろから腕が回される。
首の辺りに巻き付けてきゅっと少しだけ力をこめたかと思うと、俺の頭に何かが乗った。
…ないこの顎だ。「何、どしたん」と尋ねかけたけれど、動くなと言われたことを思い出してきゅっと唇も噤んだ。
頭に乗ったと思った顎が、するりと俺の顔の横を滑るように降りていく。
こめかみの辺りを通過して、頬と頬が触れた。
少し冷たいないこの頬からはなめらかな感触が伝わってくる。
多分、今ここでないこの方を向いたらすぐにでも唇が重なり合いそうな位置。
だけど先刻の命令文は未だ有効のようで、内容なんてもう既に頭に入ってこないテレビ画面をひたすら注視する。
「……」
しばらくそのままだったないこは、やがてわざとらしいくらいに大きな吐息を漏らした。
それから後ろですっと立ち上がる気配がする。
ソファをぐるりと回って前へやってきたかと思うと、またあの真顔のまま俺をじっと見下ろした。
首を少し傾けて、その目を見上げ返す。
今度は「動くな」とは注意されなかった。
代わりに、ないこはそのままソファの空いている場所にぼすんと座る。
そしてそのまま「えい」とでもかけ声をかけそうな勢いでこちらにその身を倒した。
ソファに置いてあったクッションを手繰り寄せ、それを胸に抱えたまま俺の太腿に頭を乗せるその一連の仕草は非常に「あざとい」。
下からこちらを見上げるピンク色の目を、今度はじっと見下ろし返した。
視線が交錯したかと思うと、ないこはそのまま目を逸らしてぐいと自分の頭をもっと強く俺の足に押し付ける。
そしてそれからぐりぐりと揺らすから、思わず「ふはっ」と声が漏れてしまった。
「ないこ、くすぐったい」
どちらかというとくすぐったがりな俺は、太ももの上で頭を動かされて「あひゃひゃ」と身を捩って笑ってしまう。
逃げるように腰を浮かしかけたせいで、ないこの頭が俺の足から落ちた。
手を突いてソファに身を起こしたあいつは、むぅと眉間に皺を寄せてこちらを見る。
不機嫌に目を細めたかと思うと、ソファの端に座り直した俺の膝の上に今度は横向きに座った。
それもどん、とかなり勢いをつけて。
さっきのバックハグのときとは違い、今度は俺の腰を通して背中へと腕を回してくる。
そのせいで間合いが詰まり、ピンク色の前髪が俺の首筋を撫でた。
それがまたくすぐったくて「ふはは」と笑みを零してしまう。
それがないこは非常に気に入らなかったらしい。
「そうじゃないんだよな」
これまでの一連のことを示しているのか、相変わらず眉を顰めている。
横向きに俺の膝に乗ったまま、頬に手を伸ばしてきた。
ぺちん、と小さく音を立てながら俺の頬を両手で包み込む。
「たまにはまろが取り乱すとこが見たい」
「はぁ?」
「いっつも澄ました顔で余裕ぶっこいてんじゃん。取り乱すこととか焦ることとかないの、お前」
「あるよ」
「いつ?」
「ライブで歌詞飛んだときとか、お面外し忘れたときとか」
「活動の話してんじゃねーっつの」
思わずといった感じに吹き出し、ないこは眉を下げて笑ってみせた。
配信上のアバターが「困り眉でかわいい」なんて言われるあの表情にそっくりだ。
さっきまでおもしろくなさそうに拗ねて尖らせていた唇を、もうおかしそうに緩めてみせる。
どんな話や展開でもすぐにおもしろいものを見つけるのはさすがというか…もう性格なんだろうな。
「あとは?」
「あと? …えーなんかあるかなぁ」
人間だから大なり小なり取り乱すことは当然ある。
仕事で時間に遅れそうな時は人並みに焦るし、買って来たヨーグルトを冷蔵庫に入れ忘れて長時間常温放置した時は叫びそうになる。
…だけど多分そういうことじゃないんだろう、ないこの言いたいことは。
両頬を包み込まれたまま、目線をぐるりと周囲に泳がせて思案する。
目の前のピンク色の瞳が、わくわくしているのか少し輝いて見えた気がした。
「…やっぱり思いつかんなぁ。考えられるとしたらないこが浮気したり俺の前からおらんようになったりするくらいちゃう?」
「…それじゃ一生見れないじゃん」
浮気する気がないということなのか、俺より先にいなくなるつもりがないということなのか…そこは濁したまま、ないこは首を竦めてみせた。
「まぁいいよ。だからやっぱり、何とか俺自身がまろに取り乱すように仕向けるしかないわけ」
それでさっきまでの行動? 艶やかに誘う笑みが唇に静かに湛えられていた。
もう少しで触れ合いそうな距離で会話をしているというのに、その唇は意図を持って重ねられることはまだない。
「取り乱すように仕向けるって…何してくれるん? ご奉仕? それともたまには攻めてみたいとかそういうこと?」
「いやちが…」
答えかけたないこが、一瞬口を噤んだ。
それから「ん、それいいかも」とふふ、と再び笑みを漏らす。
「動かないで、まろ」
また最初の命令。
拘束力のないはずのその言葉は、それでも抗う気にはならない。
言われるままに両腕を脱力させ、受け身の態勢をとる。
膝に乗ったないこが、もう一度俺の頬に手を伸ばした。
だけど今度は、するりとそのまま耳に触れる。
ないこにキスするときの俺の癖だ。
「……」
耳の縁をなぞった指が、耳たぶに「ふに」と触れる。
それから両の耳を手の平で包み込んだかと思うと、開いたままのないこの唇が俺のそれに重ねられた。
噛みつくようなキスも、きっと俺の真似。
舌を侵入させ、絡め合わせたそれがくちゅりと音を立てる。
たまにじゅっと吸うようにして段々と深くなっていった。
貪るようなそんなキスの最中、ないこの手がするりと下へ下りる。
シャツの裾から侵入してきた手が、脇腹をなぞるようにしてから胸を、鎖骨をと順に辿っていく。
それも全部俺の真似だと思うと、キスで重ねられたままの唇で思わず笑みを漏らしそうになる。
別に童貞でもないだろうないこが、相手に自分から何かしようとする時に俺の真似しかできない。
それはきっと、すぐに引き出せる範囲の記憶に俺との行為しか残っていないからだ。
そう思うと、堪らずないこの手首を掴んでいた。
俺の肌から引き離されたそれを、ないこは驚いたように見開いた目で見る。
「よっと」と両手首を掴んで、俺は身を起こした。
そのままソファにないこの体を押し倒し返す。
「やっぱないこはこっちやろ」
組み伏せるようにして、ないこが動けないように手に力をこめた。
「え」と眉を顰めたあいつが下からこちらを見上げてくる。
「いやいや違うって。余裕なく取り乱すお前が見たいんだって言ってんじゃん」
「うん」
分かってる、といった風に俺は小さく頷いてみせた。
「だから、やっぱり俺に挿れさせてよ」
俺の下で淫らに喘ぐお前に、理性の箍なんて一瞬ではずれてしまう。
余裕なんてなくなって、きっと目の前のないこの体を貪りつくすことしか頭になくなるんだ。
「…っ」
シャツの裾から手を差し込み、腹を撫でる。
敏感なないこが思わず声を上げそうになるのを噛みつくようなキスで塞いだ。
歯列を割ると、おずおずと舌を差し出してくる様がかわいくて仕方がない。
吸い上げるようにしてそこに俺の舌を絡めると、「…ん…っ」とくぐもった声を漏らした。
思い切り声を出した方が気持ちいいかもしれないのに、いつも我慢しようとするないこ。
その必死にこちらにしがみつこうとしてくる様子に、もう俺の中には理性なんて欠片も残されていない。
このまま食らい尽くしてお前ごと取り込んでしまえるならどれだけいいだろう。
そんなことを考えてしまうくらいには、きっと自分は冷静ではない。
ないこが思うよりももっと、十分目の前の男に取り乱されているんだろうな…なんて、頭の片隅で考えた。
コメント
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わっっっかります!!! 一人の攻めからしかヤったことがない子はその攻めの真似しかできないってなんか尊いんですよ!!