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「え!?私のプリンは!?」


土曜日の朝から大声を上げているのは国見姉[19]。

朝のモーニングティーと一緒に昨日買ったプリンを食べようと冷蔵庫を開けたときのことだった。


「どーしたの姉ちゃん。」


姉につられて階段を降り、キッチンへとやってきたのは弟。パジャマ姿で目をこすっているのは、夜更かしゲームのせいだろう。


「あきちゃん!あきちゃん!大変なの!私のプリンが無い!」


再び声を上げた姉に弟はどうどうと、収束させる。


「なるほど。俺、それ食べたの誰か知ってる。」


しばらくの沈黙を後、弟はひらめいたと言わんばかりに手を叩いた。


「本当!?」

「うん、俺。」


姉を「ん?」と短い声を発し、首を傾げる。


「…オレさん?」

「いや、国見英。アンタの弟です。」


しゃーっ!


「アキちゃんかーっ!このおバカ!あのプリン高いんだよっ!?限定品だよ!?最後の一個だったんだよ!」

「美味しかった。」

「うん!美味しいやつなのーっ!」

「そっかー。あ、可哀そうな姉ちゃんにはこの塩キャラメルをさしあげます。」


弟はポケットから塩キャラメルを取り出すと姉の小さな手に置いた。


「え!?いいの!?」

「うん。姉ちゃん、カワイソウだからあげる。」

「わーっ!ありがとう!」


姉はけろっとして、もらった塩キャラメルを口に放り込んだ。

姉のプリン・五百円

弟の塩キャラメル・十円

後日、冷蔵庫には五百円よりもさらに高い、高級プリンが置いてありましたとさ。

(ちゃんと弁償したんだね笑)

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