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視界がぐるぐる回る。
鼻の奥にこびりつくような異臭が漂ってくる。頭の痛さも相まって吐きそうだ。
何秒か経っただろうか、視界のブレが収まってきた。
目の前には倒れた莉犬君がいた。
「、、、りい、ぬ、くん?」
「やーっと起きましたねころちゃん♡」
今まで聞いたことのないるぅと君の興奮したような声が聞こえてきた。
普段から少し高めな声をしているるぅと君だがいつもよりさらに声が高い。
だが、今の自分にそんなことを気にしている余裕はなかった。
るぅと君の呼びかけに一切反応せずに莉犬くんを揺さぶる。
「莉犬君?起きて?莉犬君」
自分が無視されたことに不快感を感じたのか少しムッっとしながらるぅと君が声を出した。
「ころちゃん、なんで無視するんですか?せっかく二人になれたのに。邪魔な莉犬も消しましたしこれからは2人で愛を育んでいきましょう?」
全く何を言っているのかがわからない。
だって今まで見てたるぅと君なら、優しくて、かっこよくて、少しかわいいところもあるるぅと君なら真っ先に莉犬君を心配してたのに、莉犬君が邪魔?
「ねぇ?聞いてます?あ、さすがにころちゃんでもわかると思いますけど莉犬はもう死んでるのでほっといても大丈夫ですよ」
「しん、でるってまだわからないじゃん。救急車呼んでよるぅと君」
恐怖からか少し声が裏返ってるのが自分でもわかる。
「今更呼んでも遅いと思いますよ、もうかれこれ脈が止まってから30分は立ったと思いますし」
手慣れた手つきで莉犬君の脈を図りながらるぅと君はたんたんと告げた
「うん、やっぱり無駄ですね、出血量からしても蘇生は無理でしょう」
「なんで、莉犬君が死ぬまで放置したの?」
答えはわかっている。いくら僕でもそこまで馬鹿じゃない。
だけど、るぅと君がそんなことをするなんて信じられなかった。いや、信じたくなかった。
だから、こんな言葉聞きたくなかった。
「なんでって、ころちゃんもそこまでバカじゃないと思ってたんですけど。殺したんですよ?僕が」
平然とそう言ってのけるるぅと君にさらに狂気を感じた。これは明らかに今まで見てきたるぅと君とは違う。
これは、るぅと君じゃない。
「なんで、こんなことしたの?人殺しなんてしたらつかまっちゃうよ」
「捕まりませんよ、今までも何人か殺してきましたが現に僕はここにいます」
「殺したって、そんな噂一度も、、、」
「もみ消したんですよ、お金の力ってやつです。」
手でお金のマーク作りながらにこやかにそう言ってくるるぅと君をみて困惑が増すだけだった。意味がわからない、生まれながらにして人生勝ち組のるぅと君がなぜこんなことするのか。
こんなことしなければ人生イージーモードなはずなのに
「はぁ、そんなに警戒しないでくださいよ、大丈夫です。ころちゃんのことは殺しませんよ?」
「なんで、こんなことするの?」
何か話して時間を稼いで、そのうちにここから逃げ出す方法を考えなくてはと思ったが頭が全く回らず同じ質問しかでてこない
「同じ質問を何回もしないでくださいよ」
少しあきれたように彼が語りだした。
「まぁ、いいですよ、何回でも答えてあげます。だから、僕のこと全部理解して下さい。」
「僕はころちゃんのことが好きなんです。だから一緒に暮らそうかと思って」
正直本気で何を言っているのかがわからない。一緒に暮らすだけなら莉犬君を殺す必要はないじゃないか。
「一緒に暮らすだけなら莉犬君を殺す必要なかったじゃん」
僕がこの言葉を放ったとほぼ同時にるぅと君の空気が変わった。
ただ何も言わずに僕をじっと見つめてくる。
蛇に睨まれたかえるのごとく僕は身動き一つとれなくなった。自分の心音がしっかり聞こえてくる。
息がくるしい。過度な緊張で胃がひっくり返ったかのような吐き気が襲ってくる。
「それ、本気で言ってます?」
先ほどまでの少し興奮気味な声とは打って変わった少し低めな声
「だって、だって!!だってさぁ殺さなくてもよかったじゃん!!」
自分でも笑えてくるぐらいまぬけな声が出てきた。そのおかげかるぅと君の放つ空気が少しやわらかくなった。
「ふふふ、まぁ、いいですよ。これから僕のことをしっかり理解していけばいいんですもんね」
「さっきも言いましたけど僕はころちゃんのことが好きなんです。ここまではわかりますよね?恋愛的な意味での「好き」です」
小学生にでも教えるかの如く優しくゆっくり説明してくる
「う、うん」
世の中には同性愛者とかいうのもいるらしいが、幸いそこは近くに莉犬くんがいたおかげで理解できる。
「好きな人は自分の管理下で自分のことだけ考えていてほしいんです。これも、わかってくれますよね?」
先ほどの優しい話しかけ方ではない。「わかれ」と強要してくる疑問符。答えは一つしか用意されてない
「うん、わかるよ」
「うれしいです!!やっぱり僕ところちゃんは結ばれる運命だったんですね!!」
幼い子供のように目を輝かせて僕に抱き着いてくるるぅと君。しかし子供のように愛らしいものではない。
僕はされるがままに流されるしかないのだろうか。
「じゃあ、脱いでください」
「え?」
「もう、何回も言わせないでください。ころちゃんは容量がわるいなぁ。もう一回言いますよ?」
「脱いでください」
笑顔でそう言ってくるるぅと君。あのかわいらしい笑顔が今ではこんなに恐ろしい
ゆっくり上着を脱いでネクタイをほどきポロシャツのボタンを一つ一つ外していく。
その行動をじっくりと幸せそうに眺めているるぅと君
「あぁ、やっぱりいいですね。ころちゃん、かわいいです」
体の隅から隅までねっとりと眺め高揚した声でるぅと君が話しかけてきた。
僕はその言葉に一切の反応を示さずに下も脱いでいく。が、るぅと君に止められた。
「待ってください。ころちゃんが従順なのは今のでしっかり伝わりました。なので下は脱がなくていいです。寝転んでください」
言われるがままコンクリートの冷たい地面に寝転ぶ。冷たいコンクリートとなにか少しドロッとした液体が背中に当たった。
「血、、」
「あぁ、莉犬、死んでまでころちゃんにへばりつくんですか。気持ち悪い」
そう言うが早くるぅと君は莉犬君の死体を思いっきり蹴り飛ばした。
「せっかく痛みはないように殺してあげたのに、少し優しすぎましたかね?」
ゴッゴッっと今まで聞いたことのない人が思い切り蹴り上げられる音。
「るぅと君!もうやめて、!莉犬君をけらないで!!」
はぁはぁと息をきらせながらるぅと君はこっちをにらんでくる
「はぁ?莉犬はもう死んでるんですよ?蹴ったってなにも変わらないでしょ。ていうか僕の前で莉犬の名前だすのやめてもらっていいですか」
「まぁいいか、これからはころちゃんと2人きりなんだしこんな奴にかまってる時間なんてないよね、ごめんね?ころちゃん」
猫なで声で上目遣いでそんな調子のいいことを言ってくるるぅと君。
でも、しにたくないから、僕は言いなりになる
「さぁ、寝転んで?」
「ん」
「ふふ、かーわいい♡」