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第3話『恋人未満の夜』
「玲央、また来たな。……もしかして、俺んち好き?」
「べ、別に……。他に行くとこないだけ」
「ふーん……まぁ、来てくれんのは、正直嬉しいけど?」
蒼真の部屋に、玲央が来るのはこれで3度目。
ソファに並んでゲームをして、少しふざけて、ジュース飲んで、何気ない時間を過ごす。
それだけのはず、だった。
「なあ……俺さ、今日セフレにドタキャンされてさ〜」
玲央が飲みかけのストローを止める。
「……へぇ」
「それで思ったんだけど──代わりに、玲央抱いていい?」
「……っは?」
冗談。軽く言い放っただけ。
けれど、玲央の表情が固まるのを見て、蒼真の方が息をのんだ。
「なーんて、冗談……っ」
「……しょうがないな」
「──っ!?」
玲央は俯いたまま、小さくつぶやいた。
「……セフレの代わりでいいなら、俺でも」
「ちょ、玲央──お前、本気で……?」
けれど、玲央の手がソファの端をぎゅっと握るのを見て、蒼真の喉が、ごくりと鳴る。
「……じゃあ」
ゆっくりと、その頬に触れる。玲央がびくっと震える。
「やめてほしいなら、すぐ言えよ?」
「……っ」
返事の代わりに、玲央は蒼真のシャツを軽く掴んだ。
***
最初のキスは、震える唇をなぞるだけだった。
何度も何度も、やさしく重ね、拒まれないのを確かめながら──舌を、絡める。
「……んっ♡ ……んあっ♡」
玲央の吐息が甘く揺れて、目元が潤んでくる。
「なあ、ほんとに……やめねえからな?」
「……や、なら……もう……してるでしょ……」
顔を逸らしながら、小さく言う玲央の首筋に口づけ、舌を這わせる。
「ふぁっ……♡ んっ♡」
制服のボタンを外しながら、少しずつ露わになる身体。
細くて、触れるたびにビクッと震えて、なにより敏感すぎる。
「きもちっ……♡ んっあっあっ♡ うっ……う゛〜♡」
「玲央……声、我慢すんな」
「や、だって……恥ずかしっ……♡」
パンツの上から指先でなぞると、びくんと跳ねる腰。
下着の隙間から、蒼真が熱を差し入れると──
「んん゛っ……! んっあ゛〜♡」
「こっち、気持ちいい?」
「……っん、うん……♡ もっと、きてっ……♡」
涙ぐむ瞳で、玲央が縋るように言った。
その姿に、蒼真の理性が限界を超える。
***
「いれるぞ……」
「……うん、優しくして……っ」
「っ、くそ、そんな顔……っ、反則……」
ゆっくり、慎重に奥まで。
玲央の中は驚くほどきつくて、それでもちゃんと受け入れようとしてくれる。
「んっあっあ゛〜♡♡ あ゛っあ〜♡ ほんっとはっ…すきっだからぁ♡」
「玲央……玲央……っ」
「やっみっないでぇ♡ とめてっ♡ ……んっ……もっむりっ♡♡」
蒼真が深く突くたびに、玲央の声が甘く掠れて、涙までこぼれてくる。
「……玲央……っ、俺、もう──」
「いっきそっ♡♡ いっちゃうっ♡ んっん゛〜♡」
絶頂と同時に、玲央はぎゅうっと蒼真の背中に爪を立てて、きつく抱きしめた。
「……っ、(背中……引っかかれた……)」
「っ……ばか、見ないで……っ」
蒼真は、玲央の濡れたまつ毛にそっとキスを落とした。
「──もう、代わりなんて言わせねぇよ」
恋人未満のまま、身体だけ繋がって。
けれど、それはきっと──「はじまり」だった。