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しずく@病み×鬱
眩しい朝の光がアジトの作戦室に差し込む中、ホログラムに浮かび上がったのは、巨大なアクアリウムと一体化した、水のテーマパークのような超高層ビルだった。今回は深夜、ビルが閉館した後に作戦を実行する。
「今回のターゲットは、最上階の巨大水槽の底に沈められている『アクアマリン・ティア』。水色と青色、2つの雫が重なったような世界一美しいとされる双子の宝石だ」
いるまが資料をめくりながら説明する。
「ビル全体が最新の音響センサーで守られていて、足音ひとつ立てた時点で即アウトだ。つまり──」
「こさの出番ってことだね!」
こさめが、お気に入りのサメのぬいぐるみを抱っこしながら元気に手を挙げた。いつものあざと可愛い笑顔だが、その瞳はやる気に満ちている。
「そう。頼んだよ、こさめちゃん」
隣で眠たそうにしていたすちが、こさめの頭を優しく撫でた。
潜入は極秘裏に行われた。
超高層ビルの最上階。そこは、天井から床まで四方を巨大な水槽に囲まれた、まるで海の中にいるような美しい空間だった。しかし、目に見えない無数の音響レーダーが張り巡らされている。
「ん〜、やっぱり警備が厳しいねぇ。でも、こさにかかればお茶の子さいさいだよ!」
こさめは一歩、床を踏み出す。その瞬間、彼の特殊能力──
**『音響操作(サイレンス)』**が発動した。
こさめの周囲数メートルにある全ての「音」が世界から消え去る。衣服が擦れる音も、足音も、心臓の鼓動さえも。
彼はまるで水の中を泳ぐ魚のように、完璧な無音の世界を纏ってセンサーの網をすり抜けていく。
「こさめ、そのまま直進。水槽の管理パネルの手前に警備員が2人いるぞ」
インカムから、らんの小声が聞こえる。
「おっけー、ちょっと待っててね」
こさめは悪戯っぽく微笑むと、警備員の真後ろまで足音もなく近づいた。そして、あえて自分の『音響操作』の範囲を狭め、彼らの耳元に向けて、とびきり可愛い声で囁いた。
「──ねえ、こさめと遊んでくれる?」
「うわぁっ!?」「な、なんだ!?」
突然の子供のような声に、警備員たちがパニックを起こして振り返る。その瞬間を狙って、物陰から待機していたみことが突入。
「おやすみ、良い夢を」と、みことの『魅了の歌声(チャーム)』が響き、警備員たちは心地よさそうにその場に眠りこけた。
「ふふん、ナイスコンビネーション!」
こさめはみこととハイタッチを交わすと、ついにターゲットの巨大水槽の前へとたどり着いた。
水槽の底、ライトアップされた水の中で、水色と青色の神秘的な光を放つ『アクアマリン・ティア』が静かに眠っている。
こさめはためらうことなく、小型の潜水装備をつけて水の中へと飛び込んだ。
美しく水をかき分け、宝石を手に入れるこさめ。だが、宝石が台座から離れた瞬間、水槽の防衛システムが作動。水槽内の水圧が急激に変化し、同時に、重装備の水中ドローンが4機、こさめを取り囲むように現れた。
『ターゲット紛失。排除モードに移行』
激しい水の障壁が行く手を阻み、ドローンから電撃触手が伸びる。水中では声が出せず、能力が使えない──と思われた、その時。
(こさめの能力、声を出すだけだと思ってたら大間違いだよ!)
こさめは水中でニヤリと笑うと、喉の振動を直接、水へと伝えた。
水は空気に比べて音を何倍も速く、強く伝える媒体だ。
こさめが放った超高周波の「無音の衝撃波」が、水を媒介にして一瞬で部屋中に広がった。
それはドローンたちの音響センサーを完全にオーバーロード(過負荷)させ、バチバチと火花を散らせて機能停止に追い込む。さらに、行く手を阻んでいた水流の「振動」さえも相殺し、穏やかな水面へと変えてみせたのだ。
プハッ!と水面に顔を出したこさめは、水槽の縁を掴んで華麗に着地した。
その手には、朝の光を浴びてキラキラと輝く、水色と青色の美しい双子の宝石が握られている。
「なつくん、お待たせ! 回収完了!」
「おう、よくやった。濡れたままだと風邪ひくから早く乗れ」
裏口のベランダに、なつが運転するヘリがピタリと横付けされる。
こさめは宝石を大事に抱えたまま、ヘリのシートへと飛び込んだ。
「もう、こさめ凄すぎ! 水の中で能力を応用するなんて、まさにプロだね!」
らんがバスタオルを持って駆け寄り、こさめの頭をごしごしと拭く。
「えへへ、こさのカラーと同じ綺麗な宝石でしょ? いるま、これおれの部屋に飾りたい!」
「バカ言え、それは後でちゃんと持ち主に返すんだ。……まぁ、怪我がないなら何よりだけどな」
いるまが呆れつつも、安心したように息を吐いた。
ヘリの窓から差し込む朝日に、水色と青色の宝石が、まるでこさめの笑顔のように眩しく、そして誇らしげに輝いていた。
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今度は誰?めちゃくちゃ気になる((o(´∀`)o))ワクワク