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※今回は性暴力・暴力・流血表現があり、ウーヴェが痛めつけられているシーンが苦手な方はご注意ください。※
闇に覆われていた視界が光に覆われた瞬間、弱い光も強い刺激に感じてしまい咄嗟に強く目を瞑る。
自分が今どのような体勢でどこにいるのかなどの情報がなく、これはいつも見ていた過去の光景だろうかと一瞬思案するが、昨秋その柵から解放されてからは見ることがなくなっていたため、過去ではない現在のことだと脳味噌が判断をする。
そしてそれが間違いではないことを証明するように腰と背中に束ねた針を突き立てられたような痛みが残像として残り手を当てて確かめたくなるが、腰の上で手が拘束されていることに気付いて何があったのかを思い出す。
気分転換を図ってアパートを出た直後に見知らぬ男に襲われたのだ。
スタンガンを押しつけられた痛みに意識が朦朧としている中、頭を布で覆われて車でどこかに連れてこられたことは覚えているが、車内で聞こえていたのは金属同士を触れあわせたときの様な音や微かな笑い声だけで、人の声らしいものはそれ以外ウーヴェの耳に入っては来なかった。
自分はこれからどうなるのか、一体何が起きているのかなど当然と言えば当然の疑問が脳裏を過ぎり、その不安から口を開こうとしたが、金属の冷たいもの-おそらくはナイフか何か-が首筋にひたりと宛がわれてしまい喉の奥で声が止まってしまう。
そうしてどのくらい走ったのか分からない頃、荷物のように寝かされていた身体を担ぎ上げられ、階段を降りていく足音が聞こえ、地下室かどこかに連れてこられたことを認識した直後、首に手が掛けられて無意識に身体を硬直させてしまうがそのまま意識を失ってしまったのだった。
瞼の上からでも分かる光の刺激にようやく目が慣れてきた頃、ウーヴェは己の身体の状態に違和感を覚え恐る恐る目を開く。
「……!!」
刺激を受けて涙で滲んだ視界にまず飛び込んできたのは鉄のポールが等間隔に並ぶ光景で、一体何だろうかと手を伸ばして確かめようとするが右手を動かした瞬間、両肩にまで痛みが走る。
後ろ手で拘束されていることも思い出して目を凝らすと目の前の鉄棒が動物を飼育する施設に設置されているものと似通っていることに気付く。
今自分は動物が入るケージに入れられているのだろうかと思案したウーヴェは、肩と身体全体を使って何とか起き上がり、ぐるりを見回して絶句してしまう。
そこはウーヴェが当初感じたように地下室で、広さは一般的な郊外の一軒家のガレージを少し大きくしたほどで、天井近くの壁に地面から半分顔を出している細めの鉄格子が填まった窓があり、そこから駐車場の芝生と停車している車が僅かに見えていて、室内には簡易ベッド、三脚に設置されたビデオカメラ、ラップトップがある小さなデスクと冷蔵庫が鉄のポールの分だけ影になっていたが見えていた。
室内と拘束されている事実から自分にとって良くない事が起きていると判断できたが、視覚から入ってくる情報は悪い想像ばかりをかき立ててしまう。
その恐怖に自然と尻で後ずさった時、衣類を一切身につけていない事にも気付くが、それよりも何よりもウーヴェに恐怖を覚えさせたのは、俯いた時に見えた赤く太い一本の革紐だった。
「……!!」
どうしてあの時の首輪がまだついているのか。あれは警察に保護された時に切り取られ、つい先日リオンの力を借りて精神的にも切り取ったはずなのに、何故また今己の首に巻き付いているのか。
その疑問は自然とウーヴェの中で大きな声になったあと、恐怖の形で全身を駆け巡りウーヴェの身体を震わせ始める。
嫌だ、早く取って欲しい、リオンが取ってくれた過去に繋がる痣がまた浮かんでくる、過去からの声に囚われてしまうと恐慌に取り乱しそうになったウーヴェは、左足の薬指で冷たく光るリザードのリングを思い出すと同時に、過去は過去だからと全てを受け止めてくれるリオンの声によって徐々に体の震えも治まってくる。
理由も分からずに真っ裸でケージの中で拘束されている状況だが、過去に囚われてパニックになれば逃げ出すチャンスが来ても何も出来なくなる。それだけはなんとしてでも避けたい思いから足に力を込めてぎゅっと目を閉じる。
その時、どこかのドアが開く音がし階段を降りてくる足音もいくつか聞こえてきたためケージの中で限界まで距離を取るように後ずさるが、すぐに鉄の冷たい感触が背中に伝わってくる。
程なくして一つだけあるドアが開き、光量がない地下室でも綺麗なブロンドと吸い込まれそうな緑の瞳の持ち主が満面の笑みで入ってくるが、その後ろにいる黒髪の男を見たウーヴェはその顔を思い出そうとするが、それよりも先にその男がにこやかに呼びかけながらケージに近寄ってきたため誰であるかをはっきりと思い出す。
「やぁ、ドク、本当に久しぶりだな」
ウーヴェのことをドクと呼ぶのはリオンの刑事仲間達だけだった。その中でただ一人、これまでに直接会って言葉を交わしたことのない仲間がいたことも思いだし、掌に汗を感じながらその名を呼ぶ。
「……ジル、ベルト……」
「覚えていてくれたのか。光栄だな」
直接会ったのはあいつの手帳をお前が署に持ってきた時だったと笑う男、ジルベルトがケージの手前でしゃがみ込み、ウーヴェの首に繋がっている革紐を手にとって手触りを確かめた後、反応を確かめるように軽く引っ張る。
首を引っ張られる痛みについくぐもった声を発したウーヴェは、二人の後ろにもう一人男がいることに気付くが、その男がケージの鍵を開けて扉を開けようとしていることに気付き、ゆっくりと扉が開いてその男が中に入ろうとしたその時、渾身の力で立ち上がり男を肩で突き飛ばして開いているドアへと駆け出そうとする。
だが、赤い首輪-と思われる-それから伸びるリードを強く引っ張られてしまい、ドアに辿り着く前に背中から引き倒されてしまう。
「……この犬、なかなか元気だな」
「ああ。躾するのが楽しみだな」
金髪の男が楽しそうに口笛を吹いてリードを引っ張ったジルベルトに笑いかけ、強かに背中を打って身体を丸めるウーヴェを見下ろすが、ルクレツィオがバタフライナイフを手の中で光らせたかと思うとそのまま軽く手首を翻す。
一瞬、何が起きたのか誰も理解出来なかったが、ウーヴェの口から悲鳴が上がり、打ち付けて赤くなっている背中に赤い水玉がぽつりぽつりと浮かび、やがて一つの細い流れとなって白い肌の上を滑っていく。
ウーヴェに突き飛ばされて尻餅をついた男が呆然とする前、ジルベルトがウーヴェの首から繋がるリードをうなじの上へと付け替え、赤い筋が浮く背中を踏みながら身体を起こさせるように強く引っ張る。
強制的に仰け反らされたウーヴェの口からは苦痛の声が流れ出すがルクレツィオにとっては不満だったようで、骨の形をした犬の玩具の両端に紐を括り付けたかと思うと、喉を反らされる苦しさに開かれているウーヴェの口にそれを噛ませ、頭の後ろで紐を結んでしまう。
「これで無駄吠えをしなくなる」
「そうだな」
ペットの無駄吠えに悩む飼い主の顔で安堵の溜息をついたルクレツィオは、今度はウーヴェの左足を無造作に掴み、先程よりは強い力でナイフを横に走らせる。
「ウ……ゥウッ!」
痛みにウーヴェが声を上げようとしても口に噛まされたものが邪魔でくぐもった悲鳴が小さく上がるだけだったが、ウーヴェの左踝の上から勢いよく血が溢れ出す。
「切ってしまって大丈夫なのか?」
「足は四本ある。一本が使い物にならなくても問題ない」
あまりにも言う事を聞かない悪い子にはお仕置きが必要だろうと笑うルクレツィオの手にはウーヴェの血にまみれたナイフがあり、失神している間に脱がしたシャツでその血を拭き取ると、シャツを乱雑に切り裂いてたった今斬りつけた踝の上に少し強めに巻き付ける。
「これで止血すればいい」
「お前は相変わらずやることが大雑把だな、ルーク」
「細かいのはお前に任せるよ」
背中と足を切られた痛みに身を丸めるウーヴェの傍で笑い合った二人だが、突き飛ばされて尻餅をついたままの男に気付き、いつまで腰を抜かしているんだと冷めた目で笑うと、男が唾を飲み込んで何とか立ち上がる。
「……だ、大丈夫なのか?」
「背中は薄皮一枚切っただけだ。足は腱まで切れただろうな」
だが何の問題もないと言い切るルクレツィオの言葉に逆らうことが出来ず、男は何度か頷いて深呼吸を繰り返すことで落ち着きを取り戻し、自分も痛みに震えるウーヴェを好きにしても良いのだと改めて教えられて鼓動を早めてしまう。
「ああ、そうだ。このクスリを飲んでみないか?」
「それは?」
ウーヴェが逃げ出さないと判断したのか、ルクレツィオがリードを手放してポケットからいくつかの錠剤を取り出すと男の顔に不安そうな色が浮かぶが、お前が恋人と寝るときにいつも使っているドラッグだと教えられて胸を撫で下ろす。
「貰って良いのか?」
「ああ。さっきも見ただろうが、この犬は中々反抗的だからな」
躾するのは少し骨が折れるかも知れないが、そんな犬が従順になったのを見るのは気持ちが良いはずだと笑って肩を叩かれ、受け取った錠剤を一つ飲んだ男は、顔を殴ることと命に関わるような暴行以外は良いのかと念を押すように問いかける。
「そうだ」
今更言わなくても分かっていると思うがこれは後日客に送り届けるもので、その時に客の好みにある程度は近付けておかなければならないのに時間は余りないとジルベルトが嘆息混じりに告げると、大丈夫だと男が請け負い大きく頷き、カゴの中に纏められているものへと顔を向けつつあれも良いのかと目で問いかけると、好きなものを好きなだけ使えば良いと了承を得、何を使って楽しもうかと唇を舐める。
男のその様子に元来の性格からか肉体的な拷問よりも性的暴行が好きなことに気付き、セックスドラッグと称して飲ませた合成麻薬が効き始めていると思い込む事で更にそれが助長されたと気付いた二人は、命令を聞かせたいときはリードを短く持って少し強く引っ張れ、それでも聞かない時はお前のものを突っ込めば良いと笑って伝えて投げ出されているリードを指し示す。
最初男は抵抗がある様子を見せていたがルクレツィオに見つめられる恐怖から手にしたリードを強く引っ張ると、ウーヴェの喉が仰け反りくぐもった声が流れ出す。
「そのケージの中でやってくれ」
己の手の中で一人の男が己の言いなりになるかも知れない事実に驚いていた男だったが、外に出して逃げだされたら困る、その中であれば鞭を使おうとかごに入っている飴-所謂玩具ーを使おうと自由だと笑うジルベルトに頷き、ケージに入るようにウーヴェに命じるが、当然ながらウーヴェが大人しくその言葉に従うはずがなかった。
言う事を聞けと怒鳴る男にルクレツィオがやれやれと肩を竦めた後、かごに入っていた革製の細めの鞭を取り出すと軽く手首を翻す。
地下室内に空気を切り裂く鋭い音が響いた直後、ウーヴェの口から先程とは比べられないくぐもった声が上がり、身体がびくりと跳ね上がる。
「これぐらいしても大丈夫だ」
ウーヴェの背中に赤い筋が浮かび鞭に打たれた箇所を教えてくれるが、従わなければこれで言う事を聞かせろ、試しにやってみろと言われて鞭を握らされた男はまた恐る恐る鞭を振り下ろすが、その手を掴まれてルクレツィオに教えられるまま振り下ろす。
「……!!」
二度目のそれにウーヴェの身体が跳ね悲鳴にならない声を零す様を見下ろしていた男は、力でもって同じ男を蹂躙できている事実にクスリの力も借りて徐々に興奮し始める。
人に対する暴力は誰でも躊躇いを覚え悲鳴を聞けば痛ましさも感じるが、より強い恐怖や権力に命じられれば自ら進んで暴行を行い、しかも相手は自分よりも劣った存在だから何をしても良いという傲慢な思い込みから命じなくても自らウーヴェを痛めつけることをルクレツィオは経験から知っていて、後はもう大丈夫だと笑みを浮かべると録画を開始したジルベルトに艶然と笑いかける。
「ルーチェ、もう一台カメラを用意して上のテレビでも見れるようにしないか?」
「ああ、それも良いな」
ここでウーヴェが、お前は人ではない犬と同じなのだと心身に叩き込まれ、そのプライドを粉砕される作業-ルクレツィオ達は躾と呼んだそれ-を受ける様子を見ながら酒を飲もうと誘う幼馴染みに楽しそうに頷いたジルベルトは、それでも自らケージに入ろうとしないウーヴェに感心しつつリードを男の手から奪い取ると、男とは比べられない強さでそれを引っ張り上げてウーヴェの身体を床から浮かせる。
「っ……う……」
途端に零れる苦痛の声を一笑に付したジルベルトは呆気に取られる男を一瞥した後ウーヴェをケージに押し込むと、男の耳に口を寄せて何事かを囁きかける。
さっき渡したドラッグの効き目がどれぐらいあるのかを知りたい為お前が何回イッたかの回数をカウントして欲しいと囁くジルベルトに、メモ帳か何かが必要だと男が笑うが、こいつの背中にでも刻みつければ良いと笑われて唾を飲む。
「傷が残っても良いのか?」
「ああ。ナイフもそのカゴに入っている」
その傷を見た客がより嗜虐的になれば面白いことになると男の肩を抱き、だから何回イッたかナイフで肌に刻みつけてやれと囁きかけて肩を一つ叩く。
「そこまで痛め付けて良いのか?」
「一生消えない傷を付けてこいつのプライドを粉々にしてから最低なゲス野郎に送りつけてやる」
どれほど返しても返しきれない恩があるからその恩返しに頑張っているんだと笑うジルベルトの目は暗く光っていて、今己の肩を叩いて後を頼むと言ったジルベルトもルクレツィオと同類だと気付き、この男にも逆らわない方が良いと決める。
だから震えつつ身体を起こそうとするウーヴェのリードを引っ張って強引に身体を起こさせ、さっきよりは強い口調でウーヴェに命じるが、男の言葉にウーヴェが頭を振って反抗の意を示したことから今度は躊躇いを振り切ったように鞭を白い背中に振り下ろす。
「!!」
「大人しく言う事を聞け」
言う事を聞かないと何度でも痛い目に遭うぞと笑った男だが己の暴虐の証が白い肌に残っていくのを見ているうちに興奮してくるのをジーンズの前がきつくなっていることで気付き、上手く躾できるかを見守る二人の前でジーンズの前を開けてウーヴェの腰を掴んで高く上げさせる。
「!!」
それが何を意味するのかを察したウーヴェが口に噛まされた玩具越しに、嫌だ止めろと声を上げるが、何の準備もしていないそこに熱くて太い杭を打ち込まれて己の身体が裂けていく痛みを感じ、地下室にウーヴェのくぐもった絶叫が響き渡る。
「ッン……ンンー!!」
身体の中心から感じる激痛と圧迫感に全身を粟立たせ、自然と溢れる涙混じりの悲鳴を上げ続けるが男が動くたびに濡れた音が小さく響き、内股にも何か液体が流れていく感触を覚える。
いきなり猛り立ったものを突っ込んだ男はきつく締め付けられる快感に顔を顰めるが、無理矢理ねじ込んだそこが裂けて出血したのを良いことに、血の滑りを少しだけ借りてピストン運動を繰り返す。
ケージの中で唐突に始まった性的暴行、それを呆気に取られた顔で見ていたルクレツィオとジルベルトだったが、部下がもう一台のカメラを運んできて設置したため、この様子をリビングのソファで寛ぎながら見学しよう、そして参加したくなったら参加しようと肩を組んで笑い合い、ウーヴェのくぐもった悲鳴が響き渡る地下室のドアを後ろ手で閉めるのだった。