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死ネタ

蘭竜蘭




「兄貴のそういう所まじで嫌い」

「は?なんつったお前」

「そういう勝手すぎる所が嫌いって言ったんだよ」



あの日あの時あの瞬間から灰谷兄弟は今までの様な仲良さが消えた。毎日べたべたして吐きそうになるほどに甘く言葉を囁きあってくすくすと笑っていた兄弟が突然距離を取り始めたのだ。同僚は戸惑ったり呆れたりと感情がせわしなかった。

でも、互いの危機には駆けつけなければならない。距離を取ったって兄弟は兄弟なんだ。兄は弟を助け、弟も兄を助ける。これが灰谷二人の理想の兄弟像であり灰谷兄弟の象徴ともいえる言葉だった。

まさに”弟の危機”の時兄は動けていない。


『嫌い』


たったこの三文字でどれだけ絶望したか、どれだけ考えたかなんてきっと弟には想像がつかないだろう。だが兄だってそうだ。今まで弟が耐え続けてきた兄の勝手さの苦しさなんて到底想像出来ない。お互い様だ。まあこういう非常事態時にはそんな事を考えている時間は無い。きっと今がただの休憩時間なら考えている時間はあっただろうが


「ほーら、吐いた方がラクになれるよ灰谷竜胆くん」

「…誰、が吐くかクソ…が…」


ジュ、と皮膚が焦げる音を愛しかった弟の断末魔の様な叫びを呻きを聞いていれば何も考えられないものだ。


「吐かないなら他のお友達も連れてこよっか」

「…」

「ああ、たしか君…お兄ちゃん、居たよね?」


ドアに掛けた蘭の手の動きが止まる。ここでなんと言うのか聞いておきたいのだろうが、弟の命の灯はそろそろ消える。じりじりと消えている訳でもなく、ただ突然ぷつりとその生涯を終える運命にあたる。


「居ねえよカス」


蘭の目から光が消えた。もう自分は弟に”兄”とすら認めてもらえないんだ、上等だ俺だってお前の事弟だって認めねえから、と湧き上がってくる怒りをドアノブにぶつける。音を立てれば自分が見つかるので静かにただ静かに。


「嘘を吐くのは良くないなぁ、有名な”灰谷兄弟”なんだから」

「うるせ…くそ………離せ、ゴミが、触れんな」

「嘘吐いてまでお兄ちゃんを守りたかったの?助けに来てくれないお兄ちゃんを?」


竜胆は兄の存在を認めていない訳ではなく兄がコイツらに見つかってほしくなかった。自分のしくった波紋が兄にまで広がってほしくなかった。ただこれ以上距離を広げたくなかった。だがそんな何にも代え難い事実は兄自身がかき消していく。


「うる」


………


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