諦めかけていたその頃、ヘラルドが新住所を入手してくれた。
ヘラルドの出身国メキシコと、マレナのエクアドルは同じスペイン語圏だ。ヘラルドはスペイン語を生かして人に当たった結果、学校に行くときに使う駐車場の警備員がマレナの父・ホセの弟を知っていることに突き当たった。警備員は弟経由で麻薬を入手して販売を手がけていたのだった。
ヘラルドは麻薬を大量に取引したいラテンの友人がいると偽って、警備員の紹介でホセの弟と会ってきた。世間話を伸ばすうちに、ホセ一家、つまりマレナ一家が日本人青年…キヨシのことだろう…を連れて旅行した話が出た。ホセはよくマレナの友達を使って、よくこういうことをするという。麻薬入手ルートは当局に嗅ぎ付けられるたびに腐るので、新ルート開拓は絶えず怠らないのだという。
ついでに言えば、マレナの元いた学校…つまり、健太やヘラルドの学校…には販売エージェントが数人いて、その一人が駐車場警備員だという。ホセはメキシコルートを今より強固にしたいらしく、ホセの弟は今回のヘラルドからの紹介を感謝しているようだった。ホセと今度直接会わせてもらえないかとヘラルドが聞いてみると、弟は「今週末に会うから、一緒に行かないか」と言った。ヘラルドは「お願いしたい」と答え、ホセの住所を聞き出した。
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