テラーノベル
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ユージンは頭が良く運動神経も抜群だったせいか、皆から恐れられる存在だった。
魔法学について常に研究を重ね、禁断の魔術を生み出していったのだ。人を不老不死にする魔法や時を操る魔法など、様々な禁忌の魔法を作り上げていく。その力を使っては、人々を操り自分の有利になるように仕向けていた。
最初の頃は戸惑いを覚えながらしていたが、慣れてきたのか最近では罪悪感がなくなり人々を楽しげに弄んで笑っていた。
そして競技の一つである一対一のデスマッチも必ず勝ってしまうほど、とても強くてたくましい体をしている。
それを見越して恐れを感じた魔法学の先生は、ユージンを退学処分とした。家に帰っても家を勝手に売られてしまい、もはや帰る家を無くした。そこで彼は、遠い場所に引っ越すことにした。この場所で暮らしても、皆から恐れられて四面楚歌状態になるだけだ。
自分の荷物を全てカバンに入れて担ぐ。パンパンのリュックサックと、たくさんの魔法書が入っている本が入ったカバンだ。筋肉があるので、これくらいでへばることはない。
駅に向かっても、誰も迎えにくる人はいない。恋人もいないし、親も病気で他界しているからだ。両親が他界した時、彼は一人で生きていこうと決めてここまできた。だから一人は慣れている。
誰の迎えもないまま、切符を切って列車に乗り込む。風の吹く町アーレンドへ向かう列車の中で、ユージンは手元の古い魔術書のページを繰っていた。
窓の外では秋の枯葉が舞い散り、遠くに見えてきた石造りの家たちが夕陽に染まって赤く輝いている。
「アーレンド……か」
小さく呟いた声は、隣席の商人にさえ届かないほど微かなものだった。
アーレンド。そこは昔から壁で囲まれた小さな街で、伝説によれば魔王の配下である「忘れられた者たち」、すなわちゾンビが住まう森の近くにあるという。だからこそ街の周囲は高い壁で守られ、唯一の出入り口となる大門には昼夜を通して門番が立つ。特に夜半の時刻、十二時の鐘が鳴ると同時に門は門を管理するピーターが閉ざす。
それは子どもでも知っているこの町の掟。だがユージンはその話を耳にして、「面白い」と思った。退屈な研究生活に飽きていた彼にとって、未知なる現象は格好の実験材料だ。
列車が小刻みな揺れを伴いながら停車すると、ユージンは大きな荷物を抱えてホームに降り立った。肌寒く霧がかかったような朝靄の中、巨大な壁が目に入る。
地平線まで延びる灰色の城壁は、巨人の腹のように滑らかに波打ち、彼方の空との境界線を曖昧にしていた。
「これが噂の壁か」
指先に意識を集めると、淡い紫色の光が掌から漏れ出した。軽く投げ放たれた魔力の弾丸は、わずか数秒の距離を飛ぶ。壁に触れる寸前、突然見えない障壁によって跳ね返された。鋭い音と共に青白い火花が散り、ユージンの眉がわずかに上がる。
「防御魔法陣……しかも自動反応型とは」
彼は低く笑いながら帽子を整えた。
「中々楽しめる街じゃないか」
ご満足そうな笑みを浮かべて、入り口へ向かう。
町の入口には粗末な木造のゲートがあり、その向こうに待ち受けるように一人の男が立っていた。
古びた鎖帷子を身に纏い、肩幅は広く、日焼けした顔には深い皺が刻まれている。
年は五十代後半といったところか。腰に短剣と弓矢を下げ、背後には犬小屋ほどの大きさのボウガンを立てかけている。
「旅の人か?」
男は低い声で尋ねた。
「名は? どこから来た?」
「ユージン。北方の学園都市から」
彼は簡潔に答える。
「学園都市……」
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男は視線をわずかに鋭くしたが、すぐにゆるんだ表情に戻り、大仰に腕を振った。
「まぁいいさ。俺はピーター・ヴァルター、ここの門番長だ。ようこそ、アーレンドへ!」
見渡した限り、どうやらここの門番は彼だけのようだ。ほとんどの人は武装しておらず、普通の革の服を着ている。ピーターが言うには、夜になるとほとんどの人は家に入り、ゾンビたちは家に入ることができないらしい。なぜなら十二時と共に扉が閉まり、すべての家が防御されるからだ。
一体どうやってそんなに強い魔法が使えるのか、ワクワクしてしまう。誰がそんな強力な魔法を使っているのか、気になってしょうがなかった。
ピーターに首を傾げて尋ねてみる。
「ピーターさん、その魔法力はどこから来ているんですか?」
「こちらに来なさい、特別に教えてあげるから」
彼の後を追って進むと、一般の民家の近くにある扉の前に立つ。その扉を開けて地下室へ進むと、そこには容器の中に人間が入っていた。その容器の上にたくさんのパイプが伸び、それがすべての家に繋がっているようだ。なんて残酷なのだろうか。
ユージンはその人間とこの街の残酷さに魅了されてしまう。
「この人間こそが魔法の力を持っていて、我々のために働いてくれている。かなりの魔力を持っているが、魔力が消えないように液体の中に魔力液を入れているのだ。魔力液は本があれば誰でも作れるんだ」
その本は古本屋に売っているらしいが、当然ユージンも作り方を知っている。
そこら辺にある木の実である『ロージリエ』という植物を使い、それを葉っぱごと潰して濾してしまえば、魔法液の出来上がりだ。魔力がなくても作れてしまう。それを使っていると知って、納得した。
ピーターはそのまま地下から出て、僕も地下から出る。まず初めに家を買わなければ話にならない。こんな重たい荷物を抱えて長時間動くのはかなりきつい。お金ならあるから大丈夫だ。それに、学園都市とお金は同じものを使っているはず。すぐさま安い家を買える。まずは不動屋さんへ行かなければ。
コメント
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読了した〜🥀 ユージン、頭いいけどヤバい匂いがプンプンする。退学になって家もなくなって、それでも「一人は慣れてる」って言い切るところ、すごく孤独で痛かった。でもアーレンドの壁を魔力で試したり、地下の人間見て「魅了された」って笑うところ、もう完全にこっちの世界の住人だなって思った🖤 この街の仕組みとユージンの歪な好奇心、続きが気になりすぎる。ノアさんの世界観、重くて良い意味で沼🩹