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バレンタインの話を、あらかじめ出しておく。
カプ表記から分かるように、一応マキが攻めです、女性優位というか、女攻めというか。
今日も酒を飲みながら仕事をしていた時のことである。
廊下の方から大きな足音…走っているような、そんな足音が聞こえる。これが大体誰なのか、予想はつく。
勢いよく開いた扉から入って来たのは、案の定マキ先輩だった。
「おはよー!ジョエルくん!」
「あ、おはざいます…」
今日もマキ先輩は距離が近いし、しかも、声が大きい。
俺が苦手とするタイプの女性をそっくりそのまま抽出しました、みたいな人だ。まぁ、俺はそもそも女性があまり得意ではないのだが。
「ところで、ジョエルくん、そろそろ来るイベントがあるよね?」
「そんなものありましたっけ…」
誰かの誕生日…?いや、同じ部門のやつの誕生日も覚えてないのに分かるわけがないな…。
じゃあなんだ、退職パーティーとか?
「…ば、バレンタインなんだかど」
「バレンタインってなんですか」
「嘘でしょ!?」
バレンタイン……あぁ、あの忌々しい女子が好きな男子にチョコレートを渡すとかいうクソッタレイベントのことか。
全く、俺に聞いたところでそれが出てくるわけないのに。
だって俺、バレンタインにいい思い出も悪い思い出もないもん。
「全く〜、やっぱり貰ったことないんだ?」
「う゛っ…やめてください…」
「あ、ごめんごめん」
マキ先輩は相変わらずだ。いい人ではあるんだけど、ちょいちょい酷いことを言うんだよなぁ…。
「でも、今年は君にチョコをくれる人がいるよ!」
「あぁ、どうもありがとうございます」
「まだ私って言ってないのに!」
「どうせ全員に配りたがるんでしょ、知ってますよそんなことくらい」
「うー…」
ほら見たことか、やっぱりそうだ。義理チョコってやつだろ?
「……あ、ふふん、きっと驚くことになると思うよ」
「何がですか、忙しいのでさっさと帰ってください」
「今年、私は君に本命チョコをプレゼントします!」
「ぶぼッッッッ!」
びっくりして酒を吹き出してしまった。
マキ先輩が少し困ったような顔をしている。そんなに驚かれると思ってなかったのだろうか?それとも、俺の顔が赤いから熱でもあるのか心配しているのか…あぁ、全くこの人は!
女性耐性のないやつにそんなことを言ったらそりゃこんな反応されるだろうに。
「大丈夫?あはは、楽しみにしててね!」
「う………まぁ、期待しないで待っておきます…」
…とは言ったものの、マキ先輩の作るお菓子はとても美味しい。
だから、ケーキとかがいいな…なんて…我儘を頭の中で言ってみる。
我儘を言葉に出すのはみっともないから、やめておくけど。
さて、今日も仕事をしなきゃだ。あーあ、やめたいなぁ。
でも、なんとなく、楽しみなことがあるだけで今日が楽しくなる気もする。
まぁ、その時まで適当に時間を潰すって考えると、退屈だけど。