TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

__________***


「あ、あなたが本当に花子さん…なの?」


疑いの目を向ける私に花子さんと思われる少年は不思議そうに「なんでー?君が呼び出したんだよ〜?」と笑う。


「だ、だってあなた男じゃ…。」


私が言い終わる前に花子さんが「あのねー」と口を挟む。


「志望者不足が深刻でさぁ…不人気なんだよね、『花子さん』。」


「不人気…?」


思いもよらない発言に思わず言葉を繰り返す私。


「そうそう、女子トイレが活動拠点なんてのは今日びの女子に受けないらしい。あと強制改名もやだって〜。」


「女子って我が儘だよね〜。」とヘラヘラ笑う花子さんは、急に真面目な顔をして「でも、女子トイレってなんかエロいし俺は喜んでここにいるけどなぁ〜。」とド変態なことをさも正論かのように言う。


「さ、最低…。」


そう言って私は、幽霊か何者か分からない花子さんに向かって冷ややかな視線を向ける。


「なんとでも。そんなことより、君の名前は?」


私の辛辣な言葉にも変わらぬ笑顔でノーダメージな少年は「名前教えてよ。」とまた私に詰め寄る。


(この子、さっきからずっと距離感が近い…。)


「ミカ…。神無月(かんなづき)ミカ。」


「ミカちゃん、いい名前だねぇ〜。それで、カンナヅキ。俺に何か望みを叶えてほしくて呼び出したんだろ?」


ビシッと名探偵が名推理をしたかのような決めポーズで私の方を見る。まあ、たしかにそうだけど。突然、望みを問われ私は一瞬たじろいた。


「うぅ〜…まさか花子さんが男の子だったなんて思わなかったよ。願い事言いにくいなあ…。」


「う〜ん…。」と考え込む私。そんな私に花子さんは「え〜?なになに、ダメ元で言ってみてよ〜。」「折角呼ばれてあげたんだしさ!」と願い事を急かす。


そんな少年の様子を見て、もうどうにでもなれ!と思った私はゆっくりと願い事を口にする。


「うーん、私…大学生になるまでに処女を卒業したいの…。」


「え…?ごめん、なんて?」


旧校舎3階女子トイレ3番目の小部屋は私の一言によって一瞬にして、突然異様な空気に包まれた。

loading

この作品はいかがでしたか?

314

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚