※今回のは完全に好き勝手書きました。悔いはありません。主の好み120%です。
※なんでも許せる方向け。cp要素はありませんが米将軍愛され軸です。
※グロテスク表現などはありませんが【マイクラの世界線の彼ら】【実在しない病気】【死ネタに近い】表現があります。
※ハッピーエンドです!!!!!(当社比)
※以上を踏まえてどうぞ!
これが好きな人はきっと素敵な同志になれます。見てくれてありがとう。
※ご本人様とは一切関係ありません。
【米将軍side】
それは本当に突然だった。
収録前、何の気なしにマイクラを開いた。
久々にネザゲ作成の練習でもするかと溶岩の近くにベッドを置き触れる。
瞬間、抗えない眠気と共に俺の意識は暗闇に落ちていった。
《……!……い!おきろ!おい!!》
誰かの呼び声で目を覚ませば、見覚えのない景色と見覚えしかない小さな緑。
広い原っぱに、『さんちゃんく!の米将軍』が立っていた。
《やっとおきた!こんなはらっぱでねてたらすぐしんじまうぞ!》
褒めろ!と言わんばかりのドヤ顔に、実際に居たらこんな可愛いのかと現実逃避のような思考が頭をよぎる。
実際ここは現実では無く、きっと夢でも見ているんだろう。
《しかたねぇな、ほら、これやるよ!》
《こめしょー?なにしてんの?》
《さきいっちゃうよ〜》
《あ!まって!……ほら、はやくいけ!じゃーな!》
ここはどこ、とか、これはなに、とか。
聞きたいことは沢山あるのに、口ははくはくと動くだけで音を発することは無い。
次第に眠気がやってきて、まぶたが閉じる。
《……!……からな!》
遠くで俺が叫んでいる声が聞こえたが、その声が届くより意識が落ちる方が先だった。
起きてすぐ、けつに違和感を感じポケットに手を突っ込めば、小さな金色の十字架のようなものが入っており首を傾げる。
俺の趣味じゃない【それ】は、日光を受けていないのにも関わらずキラキラと輝いている。
『……なんだこれ』
捨てるのも何となく違うな、と。
パソコンの横に置いた俺は、時計を見て予定の時間を過ぎそうなことに気付き慌ててdiscordを開いた。
〈最近こめしょーよく寝るようになったよね〉
あれから数日後、雨栗から言われた一言に確かにと思う。
ちょっと前まで不眠症だった俺が、規則正しい時間に寝るようになった。
意識している訳じゃない、ただどうしても眠いのだ。
撮影が長引いた時など、途中あまりの眠さに一旦休憩を挟むほどに。
〈寝られるのはいい事だけど、流石に最近は心配になるレベルじゃない?〉
〈んね、夜ちゃんと寝られてる?〉
お叱りではなく、純粋に心配してくれている二人には大変申し訳ないのだが、夜はいつも以上によく寝られている。夢も見ないくらいだ。
《うん、全然平気。むしろよく寝れて頭の回転が早いくらいよ》
日中の眠気を除けば本当にただ健康で丁寧な生活なんよなぁと思っていれば、それでも一回病院で診てもらった方がいいと強く二人から勧められ、次のオフの日に診てもらうということで話がまとまった。
〈余り長くは持たないでしょう〉
その一言に、俺は何を返したのかあまりよく覚えていない。
ただ、余命がひと月も無いこと。
最後は眠るように息を引き取ること。
そして、治療法が存在していないこと。
それだけ辛うじて覚えていた。
『なんで、どうして今』
やっと軌道に乗ってきて、コラボも沢山して。
自分のアパレルだって。
ぐるぐるぐるぐる。
まとまらない思考の中、ただ一つだけやるべきことは決まっていた。
『……雨栗とルザクくんに、言わなきゃ』
あの二人に、迷惑をかけちゃいけない。
こうなってしまった以上、俺はさんちゃんくを抜けよう。
……俺がいる間に、代わりが見つかるように。
携帯を握る手に力が篭もる。
LINEを送れば、ほぼ同時にどうしたの?と返信が来る。
《三人で通話がしたい 》
【雨栗side 】
いつものように自宅で作業していれば、携帯が軽快なLINEの通知音を響かせる。
『こめしょー?』
様子が違う文面に戸惑いながらも、了承の旨を送りdiscordを繋げる。
そこにはるざぴもいて、二人で何かあったのかと尋ね合う。
《僕も知らない。急にLINE来た》
〈やっぱり?何かあったんかな……サプライズとか?〉
《どうだろう。……あ、こめしょーだ》
《あーあー、……きこえてる?》
〈聞こえてるよ〉
《動画の話?》
《んーーーー……や、そう、とも言えるし、違うとも言える》
歯切れの悪いこめしょーになんだなんだと考えていれば、次に耳に入ってきた言葉に、全ての思考を持っていかれた。
《俺、さんちゃんく辞めるわ》
〈……はぁ!!?〉
《……え》
なんの前触れもなかった。
なんだ?人間関係?動画?何が原因?
思考しているうちに、こめしょーが慌てて訂正を入れる。
《あ、ちょ、違う、言い方ミスった。……俺、病気なんよ。睡眠障害》
だから、おまえらが嫌になったとか、配信が嫌になったとかそういうんじゃなくて。
こめしょーが必死になって弁明していても、俺の脳の処理速度が追いつかない。
病気?睡眠障害?そういえば、よく寝るようになったって、いやでもそれでさんちゃんく辞めるとはなんないでしょ。じゃあなんで?
混乱する私に対して、るざぴは酷く冷静で。
《辞めるんじゃなくて活動休止じゃだめなの?》
至極真っ当な意見にハッと頭がクリアになる。
そうだ。別に辞める必要は無い。
今まで通り、眠くなれば休憩して、生配信はお休みだっていい。
養生のため活動休止して、治ったらまた三人でやればいいじゃないか。
〈るざぴの言う通りだよ。ゆっくり治して、良くなったらまた《だめなんよ》……え〉
《薬飲めばまだマシになるけど、二人に迷惑かけることになる。それだけは嫌》
もう決めたんだと。
強い意志を感じる声に、一瞬怯む。
それでも私は、三人で進むことを諦められなかった。
《……迷惑なんて思わない。むしろ、この三人でいられないならさんちゃんくじゃない。……治るんでしょ?》
私の問いに、少しだけ間が空いたあと〈俺を誰だと思ってんの?〉と少しだけ明るい声が返ってきて安堵する。
《だから、るざぴの言う通り活動休止ってかたちをとろう。暫くるざぴと二人で。動画のストックはあるし何とかなるって》
不安は残るけど、元々は二人で動画もとっていたし。
るざぴにも確認を取れば、任せてよと力強く返ってきた。
《だから、もう二度と辞めるなんて言わないでね》
〈そうだぞこめしょー、弱気になってどうすんだ〉
《ははっ!そうかも、いや、そうだな、ありがとう二人とも》
いつもの様子を取り戻したのか軽快に笑うこめしょーに、私は気づけなかった。
彼が、何故簡単に主張を諦めたのかを。
【米将軍side】
あれから、日に日に眠くなる時間が増えた。
最初は効いていた薬も、今やもう気休めですらない。
動けなくなる前にと進めていた終活のようなものは終わり、あとはもう、その時を待つだけ。
『……あっけねぇな』
病室のベッドで呟く。
最低限の荷物だけのこの部屋は、いつも賑やかな場所にいた俺には酷く淋しい。
『……あ?』
ふと目に付いた、金ピカの十字架。
こっちに来る時に何の気なしにカバンに着けていたのをすっかり忘れていた。
『なんかこれ、マイクラで見た事ある気がすんだよな』
よく覚えていない。でも確かに見たことがある。
なんの変哲もない金色の十字架。
裏返しても装飾もなく。
『……あ、やば』
落ちる。
今度は何となく、もう二度と目が覚めないような、そんな気がしながら。
《……!……!!!おい!》
デジャヴ。
そんな言葉がピッタリ当てはまる。
目を開けば、やっぱりそこには緑の姿。
《おまえ!つぎはこんなとこでねて!そんなにしにたいんか!》
「うるせぇ、こっちはもう死んでんだわ」
《……は?》
「だーかーらー。死んだの、俺」
《はぁ!?おまえ、あれもってなかったんか!?》
ぎゃいぎゃい騒ぐこの世界の俺に、俺ってこんなだったの?と少し凹む。
「てか、あれってなに」
《あれはあれよ!金ピカのやつ!》
「あーーー……、や、最期は持ってた、と、思う」
多分。と付け加えれば、ビックリさせんなよー!と怒られる。
何が何だかさっぱり分からずその場で胡座をかけば、のんびりするな!とまた怒られた。
《ならだいじょうぶ!はやくいけ!》
「大丈夫ってなに、俺は死んでーー《いいから!もどれ!》はぁ」
《こめしょー?……って、あれ、米将軍じゃん》
《にぇ、ほんとだ》
遠くから見知った声がする。
それは、マイクラでよく見る赤と白から発せられていた。
《なんでここにいるの?》
《わからん!でも、ちゃんとあれもってたしだいじょうぶそう!》
《あぁ、なら大丈夫だね。こっちのこめしょーと違ってしっかりしてる》
《なんやと!?》
こちらを他所にまたワイワイ始まってしまいどうしたものかと悩んでいれば、小さなルザクくんがひょこひょことこちらに近づいてくる。
《かえるならあっち。必ずネザゲからかえるんだよ。現世とつながってるのはそこだけ》
そう指さす先には、真っ赤な世界が広がっていた。
《あっちの僕も、もちろん雨栗さんも。こめしょーのこととっても心配してるよ。ふふ、愛されてるね》
じゃあね、と満足して駆けていくルザクくんに、現実の彼の姿が重なる。
最後に見たのはいつだったか。
彼が目を腫らして泣いている姿を想像して、自然と脚が動いた。
真っ赤な景色はやがて、森、海、溶岩、そして宇宙へと順番に姿を変えた。
途方もない距離を走ったようで、全く進んでいない気もする。
体は疲弊しなくても、心は少しずつすり減っていく。
もうダメかもしれない、と脚を止めた時。
『……エンドポータル』
エンダーアイが全てハマったエンドポータルが見えた。
それはキラキラと輝いて、俺を誘っているようで。
『もうこれでいいか』
疲れ果てた俺には、もうネザーゲートを探す気力など残っていなかった。
ふらふらとポータルへ向かっている途中。誰かの声がした。
「だめだよ」
ハッとした。
俺は今、何をしようとしていた?
『……こんなとこで諦める俺じゃないやろ』
どんな鬼畜縛りだって、どんな大変なアスレだって。
三人で乗り切ってきたじゃないか。
ルザクくんが言っていた。現世に繋がるのはネザゲだけだと。
『……信じよう』
雨栗が言っていた。弱気になってどうすんだと。
『……俺なら、やれる』
止まっていた脚が、再び走り出す。
エンドポータルを飛び越えて、ひたすら走る。
『……あった』
そこにあったのは、大きなネザーゲート。
禍々しい紫に、無意識に後退る。
それでも、俺は意を決して飛び込んだ。
ルザクくんが、雨栗が。
そして、小さな俺が、背中を押してくれた気がした。
【雨栗side】
こめしょーと連絡がつかなくなった。
LINEも、電話も、discordも。
『なんで……!』
少し前まで普通に話していたチャットに、三日前から既読がつかなくなった。
最悪を想像して冷や汗が垂れる。
るざぴにLINEすれば、僕も今東京に向かってると連絡が届いた。
本人からは何も聞いていない。
ただ、こめしょーが一度だけ携帯を置いたままトイレへ行った時にたまたまリマインドで見た病院の名前。
『……行ってみよう』
るざぴに病院の名前を送り、そこで待ってると添えて飛行機に飛び乗った。
「っおまたせ、雨栗さん……っ」
息を切らしたるざぴがこちらに駆け寄る。
タクシーから走ってきたんだろう、肩で息をする彼に水を渡せば、ありがとうございます、と半分ほど飲んでカバンにしまった。
『じゃあ、いこうか』
受付で名前を伝えれば、307号室ですと教えてくれる。
最近ではプライバシー的な観点で教えてくれない所もあるので正直助かった。
もしかしたら、焦っているのが伝わったのかもしれない。
名前を見つけてノックする。
返事がない。もう一度名前を確認して病室に入る。
『……こめしょー』
そこには、そよそよとカーテンが揺らめく真っ白な部屋で眠っているこめしょーが居た。
窓はきっと看護師の方が開けてくれたんだろう。
ベッドには彼が何かをした形跡はなく、恐らく連絡がつかなくなった三日前から目覚めていないんだろうと分かる。
〈ご友人ですか?〉
巡回であろう白衣の男性がこちらに声をかけてきた。
『えぇ、まぁ。そんなところです』
YouTubeで一緒に配信してます、とも言えず言葉を濁す。
事情を察したのかそれ以上は聞かれることも無く、ベッドで眠る彼の元へ寄り脈を確認したあと、少し目を細め私たちへと視線を向けた。
〈もしよろしければ、最期を見守ってあげてください〉
【ルザクside】
今、この人はなんと言った?
最期?誰の?コメショーの?
さいごってなんだ。
終わり?じゃあ、治らないってこと?
『なんで』
あんなに元気だったじゃないか。
誰だと思ってるんだって、笑ってくれたじゃないか。
『うそ』
「るざぴ、」
これからも、三人で、一緒にって。
『やだ、だめだよ』
視界の端に、色が変わるくらい掌を握る雨栗さんが見えた。
目の前の、今にも起き出しそうなこめしょーの姿が滲む。
『ねぇ、嘘って言って。びっくりした?って、いつもの優しい声で言ってよ』
僕にだけ特別優しいあの声で。
大丈夫だよって、ごめんねって。
今なら許してあげる。
だから、
『帰ってきて……っこめしょー』
『ッヒュッ、……ゴホッ、ルザ、くん 』
目を見開き急いで部屋を出て行くお医者さん。
こめしょーに駆け寄る雨栗さんが、どこか遠くに見える 。
『こ、こめ、こめしょ……? 』
覚束無い足取りで傍に寄る。
あれだけ流れていた涙がピタリと止まった。
ずっと寝たきりだったから声が出ないのか、数回口を開いたあと、伸ばした僕の手を取る。
暖かい。生きてるんだ。
ちゃんと。
『よかった……っ』
今度は悲しくじゃなくて。
嬉しくて、ほっとして、涙が頬を伝う。
『……あれ』
ベッドの隅、キラキラ光る欠片を見つけて拾い上げる。
それは、ところどころ砕けていたが、辛うじて十字架であったことが分かった。
「なんだか、トーテムみたいだね」
『……うん 』
不死のトーテム。
マイクラ内で手に持っていれば、一度だけ死から護ってくれるアイテム。
もしかしたら、こめしょーを護ってくれたのかもしれない。
三人を繋いだマイクラが、僕たちを繋ぎ止めてくれたんだ。
止まりかけていた涙が再び溢れ出す。
こめしょーが手を、雨栗さんが頭を。
優しく撫でてくれて、涙が枯れるんじゃないかってくらい泣きじゃくった。
【米将軍side】
それからはあっという間。
あれよこれよと検査が始まって、問題ないとわかり数日で退院が決まった。
二人はと言えば、しばらく東京に残ると言って聞かず、今日もまたせっかくだし三人でご飯にでも行こうと集まるところだ。
結局病気の原因はわからず終いだったし、不眠症に逆戻りだしで狐にでも摘まれたようだと思った。
飯の途中、俺は病気の時にあったことを二人に話した。
夢でマイクラスキンの二人にあったこと。
そこで、小さな俺から金色の十字架を貰ったこと。
二人は顔を見合わせると、困ったように笑って二度目は無いからねと箸を進めた。
日常という幸せ
《あいつ、ちゃんとかえれたかな》
《私たちがここに居るってことはそういう事でしょ》
《んね。あ、こめしょー!雨栗さん!》
《ん?》
《森の洋館行こうよ!またあれ取りに行こ!》
《いいね!》
《しゃ!俺が一番乗り〜!》
《ずるいぞこめしょー!》
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