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Nemuri
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#近未来
鳳蓮荘
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天叢雲学園 入学式編
第一章 設定と能力の全貌
世界中の英才が集う、能力最高峰の名門校――天叢雲学園高等部。この学園には絶対的な階級制度「能力ランク」が存在し、上からZ・S・A・B・C・D・E・Fの8段階に分かれている。ランクは入学前の能力検査で決定され、待遇は完全に実力主義。Zランクは専用の独立寮と無制限の研究資金、Sランクは個室寮と優先的な設備利用権、一方最下位のFランクはボロボロの4人部屋に給食の質も最低、さらに校内のあらゆる場所で最下位として扱われる。
そしてこの学園の頂点に立つZランクは、なんと全校でたった5人。生徒会長1名と、「四天王」と呼ばれる最強の生徒4名のみがその地位に就いている。彼らの能力は常軌を逸しており、仮にSランクの生徒が100人集まっても、四天王の1人には敵わないと言われている。
【頂点の5人 能力詳細】
■ 生徒会長:神無月 凛(かんなづき りん) 三年生 Zランク
学園の絶対的支配者。黒髪を束ねた凛々しい美少女で、全校生徒の9割が憧れるカリスマ。
能力:因果干渉
発生する事象の「原因」と「結果」を入れ替え、確率を自在に操る能力。例えば「相手が攻撃を当てる」という結果を先に否定すれば、どんな必殺技も彼女には当たらない。逆に「自分の攻撃が当たる」結果を確定させれば、相手がどれだけ防御しても回避不能。理論上「死ぬ」という結果さえ書き換えられる、学園最恐の能力。普段は穏やかだが、規律を乱す者には氷のように厳しい。
■ 四天王 第一位:黒鉄 剛(くろがね ごう) 三年生 Zランク
筋肉隆々の巨漢で、格闘戦において学園無敗を誇る。
能力:身体強化・無限
自身の筋力・耐久力・回復力を際限なく増幅させる能力。通常状態でも戦車の装甲を拳で砕き、能力を解放すれば核シェルターを素手で打ち破る。さらにダメージを受ければ受けるほど筋力が上昇する「逆上昇効果」を持ち、絶望的な状況ほど強くなる。頭はあまり良くないが、仲間思いで義理堅い漢。
■ 四天王 第二位:氷室 雪菜(ひむろ ゆきな) 三年生 Zランク
銀髪に蒼い瞳を持つ、無口でクールな美少女。
能力:絶対零度操作
周囲の分子運動を停止させ、温度を自在に操る。瞬時に空気中の水分を氷に変え、数十メートルの氷の壁や槍を生成。能力を最大解放すれば、学園一帯を一瞬で氷河に変えるほどの威力を持つ。普段は無表情だが、甘いものには目がなく、学園のカフェでパフェを食べている姿を目撃されることも。
■ 四天王 第三位:御手洗 叡智(みたらい えいち) 三年生 Zランク
眼鏡をかけた知的な雰囲気の少年。戦闘ではなく戦略で敵を制する。
能力:全知の書庫
人類がこれまで生み出したあらゆる知識――歴史・科学・武術・心理学など――を瞬時に引き出し、相手の能力の仕組みや弱点を0.1秒で解析。さらに「この行動を取れば99.9%の確率で相手がこう動く」と未来の行動まで予測する。直接戦闘力は四天王で最弱だが、彼が計画した作戦は一度も外れたことがないと言われる。
■ 四天王 第四位:天宮 詩織(あまみや しおり) 二年生 Zランク
ふわふわのピンク髪が特徴の、明るくて天然な少女。最年少の四天王。
能力:幻夢創造
相手の五感――視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚――を完全に支配し、ありとあらゆる幻覚を作り出す。作り出した幻覚はあまりにもリアルで、「幻の炎で焼かれた」と思い込んだ相手は実際に火傷を負い、「幻の銃で撃たれた」相手は心臓が停止することもある。さらに上級者向けの使い方として、自分の姿を完全に消したり、学園全体に偽の景色を見せたりすることも可能。
【主人公:高木 暸(たかぎ りょう) 一年生 表:Fランク / 実:???】
この物語の主人公。黒髪の普通の少年で、常に半分眠ったような無気力な表情を浮かべ、何事にもマイペース。入学前の能力検査では「全項目が基準値ギリギリ」という結果を出し、見事最下位のFランクに認定された。周りからは「落ちこぼれ」「学園の恥」と陰口を叩かれるが、本人は全く気にしていない。
だが彼には、誰も知らない秘密があった。
実は彼の能力は、Zランクの5人を全員合わせても敵わないほどの、理不尽なまでの圧倒的な力を持っていたのだ。
隠された真の能力:概念干渉
この世界のあらゆる「概念」――強さ・速さ・存在・生死・時間・空間――を自分の思い通りに書き換える能力。例えば「相手の攻撃が強い」という概念を「弱い」に書き換えれば、黒鉄剛の全力パンチも風船のように柔らかくなる。「自分が遅い」概念を「光より速い」に書き換えれば、一瞬で地球を何周もできる。極めつけは「相手の能力が存在する」概念を消し去れば、どんなZランクの能力もただの無力な人間に変わる。
入学検査の時も、彼は自分の能力を極限まで抑え、「ギリギリFランクになるように」概念を調整していただけだった。
なぜそんな力を隠すのか? 理由はただ一つ。
「めんどくさいから。平和に、誰にも迷惑かけずに高校生活を送りたいだけなんだよ」
彼にとって、最強の力はトラブルの元でしかなかった。今までも自分の力で周りに危害を与えた経験があり、「これ以上誰も傷つけたくない」「普通の少年として生きたい」という思いから、天叢雲学園でも最低ランクを演じることを決めたのだ。
だが、彼の平和な高校生活は、入学式の日から思わぬ形で崩れ始める――。
第二章 入学式 ~Fランクの落ちこぼれ~
4月、桜の花びらが舞う天叢雲学園の正門前。
「やったー!俺、Aランクだったぜ!」「私はBランク!まあまあかな」「え、Dランクだった…どうしよう…」
新入生たちはそれぞれ自分のランクを話し合い、喜んだり落ち込んだりしている。中には既に上のランクの生徒に取り入ろうとする者や、下のランクを見下して嘲笑う者もいる。この学園の実力主義は、入学した瞬間から既に始まっていた。
そんな中、一人の少年がゆっくりと正門をくぐってくる。
高木暸だ。彼は制服のボタンを一つ外し、両手をポケットに突っ込み、あくびを一つ。周りの騒ぎなど全く眼中になく、ただ「早く教室に行って昼寝したいな」とぼんやり考えている。
「おい、そこの新入生!グダグダ歩くな!Fランクの癖に先輩の目の前でだらけるな!」
突然、後ろから怒鳴り声が上がる。見れば二年生の男が、腕組みをして睨んでいる。暸は面倒くさそうに眉をひそめるが、「あーすみません」とだけぶっきらぼうに答え、足を少しだけ速める。喧嘩をするのも、相手を論破するのも、全てがめんどくさいのだ。
暸はそのまま学園の大講堂へと向かう。入学式の会場だ。数千人の新入生が席に着き、どよめきが広がっている。暸は一番後ろの端の席に座り、早くも居眠りを始めようとする。
やがて教頭が壇上に上がり、マイクを叩く。
「静かに!天叢雲学園 第127回入学式を始める!」
会場が一気に静まる。教頭はまずランク制度の説明を改めて行い、「この学園では実力が全て。上を目指す者は努力し、下に落ちた者はそれなりの報いを受ける。これが天叢雲の掟だ」と厳しい口調で告げる。
「それでは次に、学園の頂点であられる生徒会長 神無月凛様より、ご挨拶を賜ります!」
教頭の言葉に、会場全体がどよめく。新入生たちは皆、生徒会長の姿を一目見ようと首を伸ばす。
壇上の袖から、黒髪の美少女が静かに歩み出る。
神無月凛だ。彼女が壇上の中央に立つだけで、会場の空気が張り詰めるように引き締まる。凛はマイクに手をかけ、澄んだ声で話し始める。
「新入生の皆さん、ようこそ天叢雲学園へ。私は生徒会長の神無月凛です。」
彼女の声は大きくないのに、会場の隅々まではっきりと響く。
「この学園では、弱肉強食が絶対の法則です。今は下のランクでも、努力と才能で上に登ることは許される。逆に今上のランクでも、怠ければ落ちる。それがこの学園の自由であり、厳しさです。」
凛の瞳が、会場全体をゆっくりと見渡す。その視線はまるで、全員の能力を見透かしているかのようだ。
「だが一つだけ言っておく。自分の力を過信し、規律を乱し、他者に危害を加える者――そんな愚か者は、私が必ず裁く。覚えておきなさい。」
短いスピーチの終わり。会場は一瞬の沈黙の後、割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こる。新入生の大半は、凛のカリスマにすっかり魅了されている。
「続きまして、学園最強の戦士たち!四天王の皆様をご紹介いたします!」
教頭の声に、さらなるどよめきが上がる。
まず最初に登場したのは、黒鉄剛だ。2メートル近い巨体が壇上に上がると、床がわずかに軋む。彼は拳をグッと握り、にっこり笑う。
「俺は黒鉄剛だ!四天王第一位!格闘なら誰にも負けねえ!新入生の中に俺と戦ってみたい奴がいたら、いつでも挑んで来い!優しく相手してやるからな!ハハハ!」
豪快な笑い声がマイクを通して響き渡る。次に登場した氷室雪菜は、無表情で壇上に立ち、ぱちりと指を鳴らした。
すると、壇上の空気が一瞬で冷え切り、彼女の周りに無数のキラキラと輝く氷の結晶が舞い降りる。新入生たちは「きゃー!」と歓声を上げる。雪菜はそんな反応にも無関心な様子で、「氷室雪菜。四天王第二位。邪魔をする者は、凍らせる」とだけぶっきらぼうに告げ、袖に引き返す。
次に御手洗叡智が眼鏡を押し上げながら登壇。彼はマイクに向かい、にっこりと微笑む。
「四天王第三位、御手洗叡智です。直接戦うのは苦手ですが、皆さんの能力や性格、これからの人生まで、何でもお見通しですよ。もし困ったことがあれば、生徒会室までどうぞ。適切な答えを出してあげます。」
その言葉に、新入生の中には「何でも分かるの?」とざわめく者もいる。最後に登場したのは、天宮詩織だ。彼女はぴょんぴょんと壇上に上がり、手をひらひらと振る。
「やっほー!四天王第四位の天宮詩織だよ~!幻覚を見せるのが得意なの!皆さん、入学式で退屈してるでしょ?じゃあ、ちょっとだけ見せてあげる!」
詩織がぱちりと指を鳴らすと、突然、会場全体の桜の花びらが大量に舞い降り始め、さらに空には七色の虹がかかる。新入生たちは「わー!すごい!」と歓声を上げ、手を伸ばして花びらを掴もうとする。だが、手を通り抜ける。全てが幻覚だったのだ。
「ふふっ、驚いた?これが私の能力よ~。今度はもっとすごいのを見せてあげるね!」
詩織はにっこり笑いながら引き返す。会場は四天王のショーに沸き、暸だけが「あーあ、やっぱりめんどくさい連中がいっぱいだな…」と、まぶたを重くしている。
「それでは、これより新入生のランク発表を行います!名前を呼ばれた者は、壇上に上がり、ランク認定証を受け取りなさい!」
教頭の合図で、ランクの高い順から発表が始まる。
まずSランクが2名。壇上に上がった二人は、満面の笑みで認定証を受け取り、会場から大きな拍手を浴びる。次にAランクが7名、Bランクが23名、Cランクが68名、Dランクが112名、Eランクが187名。上のランクが発表されるたびに歓声が上がり、下のランクになるにつれてため息が増えていく。
そして、最後のランク。Fランクの発表だ。
会場全体が静まり返る。Fランクは毎年数名しかおらず、「学園の最底辺」として入学式の日から全校の笑いものになる運命なのだ。
教頭は少し渋い顔で名簿を開き、名前を読み上げる。
「次、Fランク。――高木 暸。」
ポツンと、暸の名前が会場に響く。
数千人の新入生の視線が、一斉に一番後ろの席にいる暸に集中する。暸は面倒くさそうに立ち上がり、ゆっくりと壇上に向かって歩き始める。
周りからは、すでに嘲笑や冷笑が漏れる。
「え、あいつがFランク?」「やば、顔だけはまあまあなのに…」「Fランクって、どれだけ才能ないんだよ」「これから3年間、楽しいことになるな」「まあ、掃除係とか雑用係にでもなってればいいんだよ」
暸の耳にもそんな言葉がはっきりと聞こえてくる。だが彼は全く気にせず、ただ無表情に歩き続ける。壇上に上がり、教頭からボロボロの紙の認定証を受け取る。教頭も「まあ、頑張れ…」と、どこか他人事のような哀れな目で暸を見る。
壇上の隅に控えていた四天王たちも、暸を眺めている。
黒鉄剛は「おいおい、本当にFかよ?あんまりにも弱そうだな」とひそひそ話し、氷室雪菜は無関心そうに目を閉じ、御手洗叡智は眼鏡の奥の瞳を少しだけ輝かせる。
「ふーん、高木暸か…データ上は確かに全項目最低値だけど、どこか引っかかるな…まあ、ただの落ちこぼれか。」
詩織だけが、暸の顔をじっと見つめていた。彼女の能力は五感を支配する幻覚だからこそ、人の微かな気配や、空気の歪みに異常に敏感なのだ。
「あれ?なんだかこの人、普通のFランクじゃないような…なんの気配もしないの。まるで、自分の存在を消してるみたい…」
詩織は首をかしげるが、まさか「概念干渉」で自分の気配を完全に隠しているとは夢にも思わない。
暸は認定証をポケットに突っ込み、再びゆっくりと自分の席に戻ろうとする。
――その瞬間だった。
ギシッ、という嫌な軋み音が、会場の天井から響く。
全員が上を見上げる。すると、壇上近くの天井に設置されていた、数百キロはある大型の照明器具が、ボルトの破損で落下し始めていたのだ!
しかも、落下地点の真下には、たまたま壇上から降りてきたばかりのCランクの新入生――佐々木千晴が、ぼう然と立ち尽くしている!
「きゃーーーっ!!」
千晴の悲鳴が響く。周りの生徒たちも「落ちる!」「逃げろ!」とパニックになるが、落下速度はあまりにも速く、千晴は恐怖で足が竦んで動けない。
黒鉄剛が「ちぇっ!」と一歩踏み出すが、間に合わない。氷室雪菜が氷の壁を作ろうとするが、距離がありすぎる。神無月凛が因果を書き換えようとする――その瞬間。
誰も気づかない、ほんの一瞬の出来事。
一番後ろの席に戻る途中だった暸が、面倒くさそうにため息をつき、ほんの少しだけ指をパチリと鳴らした。
次の瞬間。
落下していた照明器具が、まるで重力が消えたかのように、空中でふわりと停止したのだ!
「――え?」
千晴をはじめ、近くにいた生徒たちは、目を見張る。
停止した照明は、そのままゆっくりと横に移動し、誰もいない通路の床に、ゴトンと静かに置かれる。まるで、見えない誰かが優しく運んでいったかのように。
会場は一瞬、完全な沈黙に包まれた。
「…今、何が?」「照明が…止まった?」「いや、誰か能力使ったの?」「四天王の誰かが助けてくれたのかな?」
ざわめきが広がる。黒鉄剛は「俺は間に合わなかったぞ?」と首をかしげ、雪菜も「私ではないわ」と眉をひそめる。御手洗叡智は「神無月会長?」と凛を見るが、凛も少しだけ驚いた表情で首を横に振る。
「違います。私も間に合わなかった。――これは、誰の仕業でしょうね。」
Zランクの5人全員が、自分たちではないと答える。会場はますます混乱する。
ただ一人だけ。
天宮詩織だけが、はっきりと見ていた。
照明が落ち始めた瞬間、一番後ろの方にいた高木暸の指先が、ほんの少しだけ動いたこと。そして、その瞬間だけ、彼の周りの空間が、わずかに歪んだように見えたことを。
詩織の瞳が、大きく見開かれる。
「あの人…高木暸くん…まさか…あなたが…?いやまさかね」
彼女の心の中に、驚きと好奇心が渦巻き始める。Fランクの落ちこぼれを演じている、とんでもない大物が、この学園に紛れ込んでいるかもしれない――。
一方、暸は何事もなかったかのように自分の席に戻り、椅子に腰を下ろす。内心では「あーあ、やっちまった…めんどくさいことになったな…」とため息をついていた。
「まあ、誰も気づいてないだろう。大丈夫、大丈夫。これでやっと平和な高校生活が始まる――」
(次回に続く)
コメント
1件
おお、これは面白い設定ですね!「能力ランク」8段階の実力主義学園、Zランク5人の個性豊かな能力…特に生徒会長の「因果干渉」は理論上ほぼ無敵でカッコいい。でも主人公の「概念干渉」はそれをさらに上回るチート級で、隠してるのがもうニヤニヤしますね。天宮詩織が気づきかけてるのが良い伏線。Fランクのふりして静かに過ごしたいのに、入学式で早速バレそうになってるの、続きが気になります!