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しばらくして。
編集部屋に響いていたのは、パソコンのファンの音と、じゃぱぱの浅い呼吸だけだった。
たっつんの服を掴んだまま、じゃぱぱは顔を上げられない。
「……ごめん」
かすれた声。
「なんで謝るねん」
たっつんはすぐ返した。
「だって……こんなん、リーダーとして情けない」
「は?」
少し強めの声に、じゃぱぱの肩がびくっと揺れる。
たっつんは眉を寄せたまま、真正面から言った。
「じゃあ聞くけど」
「お前が今まで誰かがしんどそうにしとった時、“情けないな”って思ったことあるん?」
「……ない」
「やろ?」
即答だった。
「じゃあなんで自分にだけそんな厳しいねん」
じゃぱぱは言葉に詰まる。
たっつんは深くため息をついた。
「お前、自分のことになるとほんま極端やな……」
そう言いながら、ぐしゃっとじゃぱぱの髪を撫でる。
その手つきがあまりにも優しくて、
じゃぱぱの目がまた熱くなった。
「……でも」
「俺、ちゃんとしてないと嫌なんよ」
「うん」
「みんなに頼られるリーダーでいたいし」
「ちゃんと引っ張りたいし」
「期待に応えたい」
たっつんは静かに聞いていた。
「……でも最近、頑張っても頑張っても、“まだ足りない”って思ってしまって」
じゃぱぱが苦しそうに笑う。
「寝ても不安だし」
「休んでも、“休んでる場合じゃない”ってなるし」
「誰かに頼ろうとしても、“迷惑かける”って思って言えなくて」
ぽろ、と涙が落ちた。
「……ちょっと、疲れた」
その一言が、
たぶん一番本音だった。
たっつんは数秒黙ってから、そっとじゃぱぱの頬に触れた。
「……よう言えたな」
優しい声だった。
責めるでもなく、
励ましすぎるでもなく。
ただ、“聞いてる”って分かる声。
「疲れたって言うの、怖かったやろ」
じゃぱぱは小さく頷く。
「嫌われるかもって思った」
「誰がや」
「……みんな」
たっつんはその瞬間、少しだけ悲しそうな顔をした。
「お前、ほんまに一人で戦っとったんやな」
じゃぱぱは目を閉じた。
たっつんの手が、ゆっくり背中をさする。
「なあ、じゃぱぱ」
「お前が倒れるまで頑張る方が、俺らよっぽど嫌やで」
「……」
「頼られへん方が寂しい」
その言葉に、じゃぱぱの喉が詰まる。
「お前が“助けて”って言ったら、俺らちゃんと手ぇ伸ばすから」
「……ほんとに?」
「当たり前やろ」
たっつんは少し笑った。
「今までお前が何回俺ら支えてきた思っとんねん」
その笑い方が、
いつものたっつんで。
じゃぱぱの強張っていた肩から、少しだけ力が抜けた。
「……たっつん」
「ん?」
「ちょっとだけ」
「おう」
「……このままでいて」
たっつんは一瞬目を丸くして、
次の瞬間、ふっと笑った。
「珍しく甘えとるな、リーダー」
「うるさい……」
弱々しく返ってきた声に、
たっつんはたまらなく愛しそうな顔をする。
それから何も言わず、
もう一度ぎゅっと抱き寄せた。
“頑張らなくてもここにいていい”
そう伝えるみたいに。
コメント
1件
「よう言えたな」って台詞、めちゃくちゃ刺さりました。自分を追い詰めるじゃぱぱに対して、たっつんが正論で殴るんじゃなくて、まずその怖さごと受け止めてるのが本当に優しい。リーダーとして背負いすぎてた反動が、「ちょっとだけこのままでいて」って甘えに出てるところも泣けます。頑張る人の “休む許可” って、こうやって誰かがちゃんと与えてくれるんだな……。続きも気になります。