**第4話: 初めてのギルドクエスト**
翌朝、智也と啓太は再びアルヴィルの町へと向かった。昨晩の剣の練習で少しずつ自信を持ち始めた二人だが、まだやらなければならないことがあった。それは、剣を買った武器屋の店主にお金を返すことだった。
「昨日のこと、覚えてる?」と智也が言った。
「もちろん。会計を済ませたと思ったのに、あの店主が全額負担してくれたなんて驚いたよ。絶対にお金を返さないと。」啓太も同じ思いだった。
二人は武器屋に戻り、店主に事情を話そうと決心した。
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武器屋に到着すると、店主は昨日と同じように店の奥で作業をしていた。智也と啓太は緊張しながら店に入り、店主に声をかけた。
「おはようございます。昨日のことですが、実はお金をちゃんと払っていなかったみたいなんです。お金を返したいんですが…」
店主は二人を見て、優しく笑った。「気にするな。あの剣が君たちに必要だと思ったから、私が負担しただけだ。旅の始まりには何かと物入りだろう?」
「でも、そんなことできません。お世話になったのに、そのままでは申し訳ないです!」啓太が強い意志を込めて言った。
店主は少し考えた後、頷いた。「君たちがそう言うなら、こうしよう。そのお金で何かしらの役に立つことをしてくれ。それでお互いに納得できるだろう。」
「分かりました。必ず役に立つことをします!」智也と啓太は深く頭を下げた。
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その後、二人はギルドに向かった。ギルドは冒険者たちが集まり、様々なクエストを引き受ける場所だ。ここで働けば、町の人々の役に立つことができるし、報酬も得られる。
「まずはギルドに登録しよう。どんなクエストがあるかも見てみたいしね。」と智也が言うと、啓太も同意した。
ギルドに到着すると、中は活気に満ちていた。冒険者たちが掲示板に貼られたクエストをチェックしたり、依頼主と話をしていたりする。受付に行くと、若い女性が笑顔で二人を迎えてくれた。
「ようこそ、冒険者ギルドへ。今日はどのようなご用件ですか?」
「冒険者として登録したいんですが、初めてなので簡単なクエストから始めたいと思っています。」智也が答えた。
「分かりました。それでは登録を行いますね。お名前と年齢をお願いします。」
智也と啓太はそれぞれ自分の名前と年齢を伝え、手続きを進めた。登録が完了すると、彼らにギルドカードが渡された。
「これがあなたたちのギルドカードです。これからどのクエストに参加しても、このカードで記録されます。最初はZ級のクエストをおすすめします。これは最も安全で簡単なクエストです。」
「Z級…一番下のランクですね。まずはそれから始めてみます。」と啓太が言った。
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二人は掲示板に貼られたZ級のクエストを探した。すると「草原の魔物退治」というクエストが目に留まった。内容は、町の近くに出没する弱い魔物を倒すというものだった。
「これなら、昨日の草原での剣の練習も活かせるかもしれないな。」智也が言い、二人はこのクエストを選ぶことにした。
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クエストを受けた二人は、再び町の外れに広がる草原へと向かった。指定された場所に到着すると、そこには数匹の小さな魔物がうろついていた。見た目は可愛らしいが、油断は禁物だ。
「行こう、啓太。ここでテニスのスピードと剣の技術を試してみよう。」
二人は剣を抜き、魔物たちに向かって突進した。智也は軽快なフットワークで魔物の周りを素早く動き、的確に剣を振り下ろした。まるでテニスのボールを打つかのように、魔物を次々と倒していく。
啓太もまた、テニスのラケットを振るように剣を振り、魔物たちを一掃した。短い剣を使ってスピードを活かし、敵の攻撃をかわしながら反撃する。二人にとっては、まるでテニスの試合をしているかのように自然な動きだった。
「やっぱり、テニスの経験が活きてるな!」智也が興奮気味に言った。
「うん、まさかこんなに簡単だとは思わなかったよ。」啓太も同じく驚いていた。
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無事にクエストを達成し、二人は町に戻った。ギルドでクエストの完了を報告すると、報酬を受け取った。
「思ったより簡単だったね。これならもっと難しいクエストにも挑戦できそうだ。」智也が笑顔で言った。
「そうだね。でも、まだ油断は禁物だ。少しずつ経験を積んでいこう。」啓太も慎重に言葉を選んだ。
二人は報酬を手に、武器屋の店主にお金を返す決意を新たにした。次のステップとして、もっと多くのクエストに挑戦し、この世界での生活を確立していくのだろう。
こうして智也と啓太の異世界での冒険が本格的に始まった。彼らはまだ若く、全てが新鮮だったが、その中で少しずつ成長していく自分たちを感じていた。
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