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第2話 幼児たちの大騒ぎ
今日のアジトは静か……のはずだった。
でも、そんなのは幻想である。
「ぎゃー!!おもちゃ取られたー!!」
立花、悠輝、煌人、勝寛、恵海——全員が、幼児化していた。
大きな目と小さな手、ぷにぷにのほっぺ。
猫耳も小さく揺れている。
咲絢はソファに座って、頭を抱えていた。
「……なんで俺だけ普通なんだよ…」
理由は簡単。
チームの実験——いや、ちょっとした魔法のイタズラ。
**咲絢のせいではない**多分。
「咲絢様ーーー!!」
立花(幼児化)は床に座り込んで泣き叫ぶ。
「立花、泣くなって!」
悠輝(幼児化)は机の上で生肉を振り回す。
「俺っちこれが欲しいっち!!」
咲絢はため息をつき、闇の剣を小さく作り、机の上の生肉をスッと取り上げた。
「だめ。手がベタベタになるだろ」
煌人(幼児化)は氷の小剣を作って咲絢の足に突き刺し、真顔で悩む。
「……どうやって遊ぶのこれ」
勝寛(幼児化)は炎を使ってみたいらしく、指先でチョロチョロ火花を出す。
「やめろ、まさちん!」
「でもやってみたい…」
「危ないだろ!!」
こうしてアジトの中は、大騒ぎの幼稚園状態になった。
恵海(幼児化)は小さなナース帽をかぶり、注射器をおもちゃのように振り回す。
「さぁちゃん♡ 注射ごっこしよう!」
咲絢は黒い触手でみんなを軽く抱え、天井からぶら下げて移動させる。
「危ないことはするな。さっきお菓子食べたばかりだろ」
「もっと食べたいっ!」
立花が泣き叫ぶ。
「ダメ!!咲絢様のおやつ!!」
「……俺のせいか…」
咲絢は小さな彼らを見下ろしながら微笑む。
「……まあ、可愛いな」
幼児化したチームをまとめるのは、普段よりもずっと大変だ。
でも、誰も本気で怒らない。
全員咲絢を信頼しているから。
その時、咲絢がふと思った。
「……まさちんは、普通にしてる方が面白いのに」
勝寛(幼児化)はちっちゃな手で咲絢の胸に抱きつく。
「さぁや…好き……」
「うるせぇっ!」
咲絢は微笑みながら、触手で彼をそっと抱き寄せる。
「……今日も平和だな」
アジトには笑い声と、泣き声と、叫び声が入り混じる。
床には散らばったおもちゃと、生肉と、小さな炎の跡。
咲絢以外の怪物たちは、幼児になってもやっぱり怪物の片鱗を隠せない。
でも。
その光景が、咲絢には何よりも愛おしかった。
窓の外。
誰かが小さな影を見て呟く。
「漆黒の支配者……一体何やってるんだ?」
でも、誰も怖がらない。
アジトの中では、幼児たちと咲絢の、平和で狂気な日常が今日も続いていた——
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