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マルコ・サンドレッリと出会ったのは、大学を卒業してマフィアに就職した時。就職活動をしている時、たまたま見たネットニュースがきっかけだった。
『都内の有名大学に通う学生の1割以上が人身売買によって連れ去られていた』なんて内容の記事を見つけて驚愕してしまう。まさか自分の住んでいる街でこんな非人道的な事が行われているだなんて、全く想像もつかなかったから。
それ以来毎日のように報道されるようになった犯罪の数々が流れる中、逮捕者の数が増え続けているようだ。一向に収まる気配を見せていないどころか、逆に増え続けている。不安を覚えずにはいられないという人も多い。
特に若者は被害者側であることが多い。それも虐待などの卑劣極まりない犯罪行為がほとんどで、とてもじゃないけど普通の人間が耐えられない事件が多発している。
それを阻止するためにマフィアに就職。そこでマルコと出会う。マルコはマフィアのボスであり、セシルの上司である。
最初の印象は最悪だった。
「お前みたいなガキを雇うことになるなんてな……まあせいぜい稼げよ」と高圧的に接してきたものだから、ムカつき怒りが込み上げてきた。それ以降も、ずっとそういう態度で接してくる。
嫌がらせを受けたりパシリに使われたりすることも多かったため、不満を募らせていく。しかし直接文句を言ったとしても聞き入れてくれないので、諦めた。
油断していたのもあって、つい感情的にぶつけてしまった。もちろんそれで終わりではなく、逆ギレしたマルコからの暴力沙汰に発展。精神的負担が大きく、ストレスを抱えていた時期もあったくらいだ。
けれどある時を境にして変わった。それは突然セシルが体調を崩した時に、看病してくれたことだ。
熱を出した時はもちろんのこと、他にも風邪を引けばすぐに休ませてくれた。病院に行かせるために車で送迎してくれて、優しくしてくれるようになった。信頼できる人に変わりつつある。
その甲斐あってか、以前より親密な関係となり付き合うようになっていた。そしていつの間にか、マルコの右腕になる。
「マルコ、好きだよ」
「俺も愛してる」
お互いを褒め合い、好意を伝え合える良好な関係が築けていることを実感していた。落ち着けない日々を過ごすことになるなんて、考えてもみなかった。
そんな心境にあるところ、追い討ちをかけるようにして起こった悲劇。マルコが仕事に出掛けて、職場を留守にしている間、見知らぬ人にキスをされてしまう。
「やめて!!」
必死に抵抗しても虚しく蹂躙されていき、次第に身体は火照っていく一方。服に手を掴まれたところで、マルコが駆けつけてその男をボコボコにぶん殴って追い返した。
目を輝かせて、彼を見る。マルコは心配そうな顔で覗き込んだ。
「大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
「明日、俺の家にこいよ」
「うん」