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眠すぎんちょす!思いつかんから飛ばす結構
「約束と未来」
――代表合宿 / 試合
合宿、再開。
空気は一気に変わる。
オフの軽さなんて、どこにもない。
「……は?」
乙夜が眉をひそめる。
ボードに貼られたスタメン。
そこに並んでいたのは——
敵同士の名前。
「マジかよ」
潔と、対戦。
同じピッチ。
でも、味方じゃない。
「いいじゃん」
後ろから声。
振り向くと、潔がいた。
「ちょうどいい」
「何がだよ」
「どっちが上か分かる」
その言い方は、静かで——
でも完全に“勝負”だった。
乙夜は、少しだけ笑う。
「上等」
「泣くなよ」
「そっちこそ」
空気が、変わる。
完全に“敵”になる。
試合開始。
笛が鳴る。
最初の数分。
探り合い。
でも——
すぐに崩れる。
「っ……!」
乙夜の動きが、潔に読まれる。
「そこか」
インターセプト。
「はやっ」
ボールを奪われる。
そのまま、潔が前に出る。
視野、判断、動き。
全部が速い。
「……やっぱ」
乙夜が舌打ちする。
「面白ぇな、お前」
そのままシュート体勢——
「させるかよ!」
乙夜が戻る。
ギリギリで足を出す。
ボールが弾かれる。
ぶつかる距離。
ほぼゼロ。
「ナイス」
潔が言う。
「当たり前だろ」
息が近い。
でも次の瞬間、
もう離れてる。
またプレーに戻る。
試合は激しくなる。
「来るぞ!」
パス回し。
スペース。
連動。
その中心にいるのは——
潔。
「……っ」
乙夜が走る。
読む。
動く。
「ここだろ!」
先回り。
カット成功。
そのままカウンター。
「行くぞ!」
スピードに乗る。
でも——
「そこじゃない」
また、いる。
潔が、先にいる。
「……は?」
完全に読まれてる。
パスコースを潰される。
「お前……」
思わず笑う。
「全部見えてんのかよ」
「まあね」
息を切らしながら、
潔も笑う。
「ずっと見てたし」
その一言。
一瞬、時間がズレる。
「……っ」
その隙を、
他の選手が突く。
ボールが流れる。
シュート。
ゴール。
「チッ……」
乙夜が舌打ちする。
完全に、感情が混ざった。
「集中しろよ」
國神の声。
「分かってる」
でも、
分かってても——
目が行く。
潔に。
逆も、同じ。
後半。
点差、1。
「……はぁ」
乙夜が息を整える。
「楽しい?」
横から声。
潔。
「クソ楽しい」
即答。
「だろ?」
笑う。
でも、その目は——
「でも」
乙夜が続ける。
「負ける気はねぇ」
「うん」
潔が頷く。
「俺も」
その瞬間。
完全に、噛み合う。
次のプレー。
全員が動く中で、
二人だけが、
同じタイミングで走る。
同じスペース。
同じ“答え”。
「——!」
交差する。
ぶつかる。
でも——
その瞬間だけ、
完全に理解してる。
「そこ!」
声が重なる。
味方なのに、
敵なのに、
同じプレーを“想像してる”。
ズレが生まれる。
そのズレを——
乙夜が奪う。
「もらった!」
抜ける。
シュート体勢。
ゴールが見える。
でも、
最後に——
「行かせない」
また、いる。
潔。
完全に読み切ってる。
「……っ!」
シュートを止められる。
ボールがこぼれる。
ホイッスル。
試合終了。
スコアは——
引き分け。
「はぁ……」
ピッチに倒れ込む乙夜。
「……マジかよ」
その横に、
潔が来る。
「お疲れ」
「疲れたわ」
しばらく、何も言わない。
ただ呼吸だけがある。
「……なあ」
乙夜が言う。
「約束」
潔が見る。
「うん」
「まだ先でよかったわ」
少し笑う。
「今行ってたら」
空を見上げる。
「普通に負けてた」
潔も、少し笑う。
「俺も」
「え?」
「今来られても困る」
「なんでだよ」
「まだ途中だから」
同じ言葉。
同じ意味。
少しだけ、間があって——
二人同時に笑う。
遠くから、
「おーい!」
烏たちの声。
「どうだったー!?」
「デキてたー!?」
「試合見ろ!!」
乙夜が叫ぶ。
笑いが起きる。
でも、
誰も分かってた。
この二人は、
ただの関係じゃない。
“競い合って進む関係”だって。
約束はまだ先。
でも——
確実に、
その未来に近づいてる。
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