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夜の校舎は、

昼間の賑わいを嘘のように消し去っていた。

長い廊下。

点滅する蛍光灯。

窓の外には、風に揺れる木々の影だけが映る。


ブルーミーは、

光の剣を低く構え、

一歩ずつ進んでいた。

「……邪の気配、複数」

隣を歩くスカルは、

頷くだけで応える。

二人の目的は明確だった。

――ルビー、あるいはリンクたち一行との合流。



途中、

廊下や教室に滞留する邪が

次々と現れる。

ブルーミーは迷わない。

光の剣を振るうたび、

歪んだ存在は音もなく祓われていく。

だが、

次の角を曲がった瞬間、

空気が変わった。

広い理科室跡。

割れた机と黒板の前に、

三つの邪が並び立っていた。

オリバー。

ジップ。

エドワード。

「……想定外だな」

スカルが低く言う。

ブルーミーは、

剣を構えたまま、

一瞬だけ視線を落とした。




本来なら、

彼らは――

クレアを追い詰め、死に追いやった存在。

憎しみが湧き上がっても、

不思議ではない。

だが、

心は静かだった。

「……違う」

ブルーミーは感じ取る。

そこにあるのは、

かつてのような

剥き出しの悪意ではない。

歪みの奥に、

後悔と反省の残滓が

確かに混じっている。

先に動いたのは、

ジップの邪だった。

紙飛行機が、

無数に舞い上がり、

刃のように飛来する。

ブルーミーは踏み込み、

光の剣で正確に撃ち返す。

紙は光に触れ、

形を保てず霧散した。



続いて、

エドワードの邪。

アームが伸び、

床と天井を覆う。

ブルーミーは、

力任せに斬らない。

関節。

流れ。

邪の“癖”。

要点だけを断ち、

絡みをほぐす。

「……やっぱりだ」

スカルが呟く。

「攻撃は強い。

だが、決定力がない」

ブルーミーも同意していた。

彼らは、

何かを守ろうとしている。

あるいは、

壊し切れずにいる。

「奴らには……邪が集まる 核があるかもしれない!」

スカルが言う。

根拠はない。

だが、

なぜか確信があった。

「なら、

核ごと祓うしかない」

ブルーミーは、

剣を正面に構え直す。

連携が始まる。

スカルが前に出て、

意識を引きつける。

その一瞬の隙を、

ブルーミーは逃さない。

光が走り、

ジップの邪は

小さく震え、解けていく。

続いて、

エドワードの邪。

抵抗は弱く、

最後は静かに消えた。

教室に、

重い沈黙が落ちる。

残るのは、

オリバーの邪。

それは動かず、

ただ、そこに立っていた。



ブルーミーは、

ゆっくりと距離を詰める。

剣先は向けたまま。

だが、

踏み込みは慎重だった。

「……まだ、 何かを抱えている」




スカルは、

ブルーミーと合流する前、

校舎の階段下で

小さな岩石を拾っていた。

掌に収まるほどの、

正体不明の欠片。


触れた瞬間、

情報が流れ込む。

邪の構造。

中心にある“核”。

オリバーの歪みの源。

「……やっぱりな」

スカルは、

拳を握りしめる。

再び顔を上げる。

ブルーミーの前には、

最後の邪が残っている。

校舎の奥で、

真実に近づく戦いが

静かに、だが確実に進もうとしていた。



オリバーの邪は、

動かないまま、そこにあった。

ブルーミーは、

呼吸を整える。

光の剣を握る手は、

先ほどまでの戦闘で疲れているはずなのに、

不思議と震えてはいなかった。

「……大丈夫」

自分に言い聞かせるように、

一歩、前へ。


その瞬間だった。

視界が、 歪んだ。

廊下の壁が遠ざかり、

床が不自然に沈む。

――声。

責めるでも、

叫ぶでもない。

ただ、

問いかける声。

『本当に、

祓う必要があるのか』

ブルーミーの足が止まる。

胸の奥に、

突然、迷いが生まれた。


クレアの姿。

過去の選択。

間に合わなかった後悔。

「……っ」

次の瞬間、

オリバーの邪が動いた。

衝撃。

直接的な力ではない。

精神を抉るような、

重たい圧。

ブルーミーは弾かれ、

床に膝をつく。

「ブルーミー先生!」

スカルが駆け寄る。


その時――

スカルの手にあった

小さな岩石が、

強く脈動した。

青く澄んだ光。

まるで引き寄せられるように、

岩石は宙を滑り、

ブルーミーの剣へ――

柄の中心にはめ込まれる。

「……!?」

光は強くない。

だが、

確かにそこにある。

聖なる力が、

僅かに、しかし確実に。



ブルーミーは、

ゆっくりと立ち上がる。

迷いは、

完全には消えていない。

それでも――

目を逸らさない。

「……行く」

スカルが、

無言で頷いた。

ブルーミーは、

オリバーの邪へ向かって歩き出す。

一歩ごとに、

剣が淡く光る。

斬撃。

それは、

破壊ではなかった。

解放への斬り。

振るわれるたび、

オリバーの邪が

静かに形を崩していく。

同時に――

ブルーミーの身体に残っていた

傷と痛みが、

温かな光に包まれ、

少しずつ癒えていく。

「……大丈夫だ」

誰に向けた言葉か、

もう分からない。

最後の一太刀。

光が、

廊下を満たす。

オリバーの邪は、

抵抗せず、

ただ、静かに解けていった。



そこに残ったのは、

重さのない空気と、

深い静寂。

「……終わったな」

スカルが、

小さく息を吐く。

ブルーミーは剣を下ろし、

柄に埋め込まれた岩石を見つめた。

青い光は、

役目を終えたように、

穏やかに沈んでいる。


オリバーの救済は、

確かに成された。

校舎の闇は、

また一つ、

薄れていった。

ゼルダの伝説  マッドネス オブ ザ ペーパー

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