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――邪に乗っ取られたルビーは、
スカルに逃げられた。
向かった先は、 死体保管庫の前。
この学校で、 最も邪が濃く沈殿する場所。
名を失った「結果」だけが集まる空間。
そこに触れた瞬間、
ルビーの中で何かが“噛み合ってしまった”。
左腕が歪む。
元は電子工作の延長のようだった構造が、
邪の流れに最適化されていく。
紙、コード、簡易素材。
無邪気な発想の名残が、
兵装として再構築される。
――強化。
ルビーは、 無意識のまま進路を定めた。
職員室。
――リンク視点。
気配が、
扉の向こうで膨らんだ。
「……来る」
リンクは一歩前へ出る。
扉が、
内側から吹き飛んだ。
破片が舞い、
埃の向こうに立つ影。
「……ルビー」
そこにいたのは、
生徒の姿だった。
制服の面影。
だが左腕は異形。
紙の寄せ集めのような構造体が
歪に組み合わさり、
内部に邪の光を溜めている。
リンクは、
剣を抜かずに声をかけた。
「聞こえるか。 ……大丈夫だ。話そう」
返事はない。
次の瞬間。
左腕から、邪のビーム。
「っ――!」
リンクは即座に
ハイリアの盾を構える。
――ジャストガード。
至近距離で跳ね返ったビームは、
リンクの目の前で爆発した。
衝撃と熱。
床に火が走る。
「……っ」
ハートが、 一つ分、削られた。
「熱!これじゃあ、まるで…… 」
ガーディアン。リンクの頭にに浮かんだ比喩。かつてハイラルを守るために作られた自走するからくり戦士。ルビーのそれは、あのガーディアンの攻撃に匹敵した。
リンクは短く息を整え、
マスターソードを抜刀する。
その瞬間。
《……リンク》
ゼルダの声。
続いて、
剣そのものから、
静かな訴え。
《自我が……
まだ、残っています》
リンクは、
刃を向けたまま、
一瞬だけためらう。
「……どうするべきだ」
ゼルダの答えは、
迷いがなかった。
《ここは、 みんなを避難させてから
逃げましょう。 時間を稼いで》
マスターソードが、
続ける。
《斬っても構いません》
《邪を弱める程度なら可能です》
《……威力は抑えます。 気をつけて》
リンクは、
短く頷いた。
「……分かった」
ルビーが、
コード状の邪を放つ。
リンクは跳び、かわし、
距離を詰める。
――ラッシュ。
だが、
左腕に邪のシールドが展開され、
斬撃が弾かれる。
同時に、
紙の集合体が光を溜める。
ビーム。
回避。
右手には、
邪の力で形成された
ブレード。
金属音。
さらに――
背中から、
昨晩リンクが回避したものと同じ
棘が射出される。
「……!」
リンクは即座に
獣神の弓を引く。
流れ弾を撃ち落とす。
棘は、
床に触れた瞬間、
霧のように消えた。
次の攻撃。
――わずかなズレ。
盾が間に合わない。
衝撃が走る。
ハートが、
一つと半分、失われた。
「……っ」
リンクは後退し、
即座にマックス薬を飲む。
完全回復。
さらに、
ハート四つ分を補完。
リンクは顔をしかめる。ルビーの強さは、ガーディアンはおろか、ライネル、グリオーク、厄災、魔王。どれにも引けをとらない。むしろ一番厄介だ。前者に挙げた「魔物」は、「斬る」ことが許される。
しかし、相手は倒してはならない。それがリンクを焦らせた。
内部の邪が、 戦闘を学習している。
だからこそ――
リンクは、
同じ攻撃を繰り返した。
ラッシュ。
回避。
ジャスガ。
最小限の斬撃。
時間を稼ぐ。
ルビーの動きが、
次第に単調になる。
その瞬間。
リンクは、
ビタロックを発動した。
ルビーの動きが、
完全に停止する。
――十秒。
リンクは振り返り、
職員室のロッカーを
次々と倒した。
入口を、
物理的に封鎖する。
避難経路を確保。
ビタロック解除。
ルビーが、
再び動き出す。
リンクは、
剣を構え直した。
「……大丈夫…………じゃないな」
誰に向けた言葉でもない。チャットで、
『厳しい相手と遭遇』
と書き、シーカーストーンを腰に戻すと、勇者は仲間のために後を追っていく。