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## 第2話:遺された残光、目覚めるプロトタイプ
昨日の喧騒が嘘のように、リメイン・ビレッジには穏やかな朝が訪れていた。
広場では、ゼロが仕留めたジェニス改の解体作業が始まっている。「昨日はありがとな、ゼロ!」「おかげで村が助かったよ」――道を行くたびに声をかけられ、ゼロは照れ隠しに「ふん、機械の扱いが下手な奴らを見てられなかっただけだ」と、いつもの生意気な態度で鼻を鳴らした。
だが、彼の胸中は一息つける状態ではなかった。昨日の戦いでバギーはガタが来ている。それに、敵が単機でこの村を狙ったとは思えない。
「……今のうちに、もう少しマシなパーツを拾っておかねぇとな」
ゼロは、村の北側に広がる深い「鉄の森」へと向かった。そこは旧大戦時の廃兵器が折り重なるように捨てられた、ジャンク屋にとっての宝の山であり、同時に迷い込めば二度と戻れないと言われる禁域だ。
森の深部、苔むした巨大なハッチの残骸を見つけたゼロは、中へと潜り込んだ。
「ビンゴだ……。こいつは戦艦の予備回路か? まだ生きてるぜ」
建物内で目当ての基板を丁寧に抜き取っていたその時、ゼロの背筋に冷たい戦慄が走った。
――ズシン、ズシン。
地響きが迫る。一機ではない。
「……ちっ、昨日の今日でこれかよ! 執念深い野郎らだぜ」
建物の隙間から外を覗くと、そこには**オーリー改**が3機、獲物を囲い込むように展開していた。敵組織は、昨日の戦闘でジェニス改を無力化した「謎の技術者」を特定するため、ゼロを村からずっと尾行していたのだ。
彼らはまだ、この地下に何が眠っているかを知らない。ただの「腕の良い小僧」を捕らえるつもりでいた。
「おい、ジャンク屋のガキ! 大人しく出てきな。その腕、我々の軍で使わせてやる」
拡声器からの傲慢な声に、ゼロは奥歯を噛み締める。
「断るね! あんたらみたいな機械を泣かせる奴らに、貸す腕なんて持ち合わせちゃいないんだよ!」
オーリー改が威嚇射撃を放つ。建物の天井が崩れ、ゼロはさらに地下深くへと滑り落ちた。暗闇の中で背中を強打し、痛みに顔を歪めながら目を開けた瞬間、彼は息を呑んだ。
暗闇の中、重厚な金属の光沢を放つ巨大な足。
それは、白、青、赤の**トリコロール**に彩られた、見たこともないほど洗練されたフォルムのMSだった。
「……ガンダム……?」
祖父の古い資料で見た伝説の名を、ゼロは無意識に呟いた。
地上では敵のキャノン砲が建物をさらに破壊し、ゼロの逃げ場を奪っていく。
「クソッ、こんなところで死んでたまるか……! 村のみんなだって、まだ……!」
ゼロは必死に機体の脚部をよじ登り、開いたままになっていた緊急ハッチからコクピットへと滑り込んだ。
だが、コンソールを叩いても、レバーを引いても、機体は沈黙したままだ。外部ではオーリー改の金属の爪が、建物の瓦礫をどかし、ついにこの「白き機体」の頭部を露わにしようとしていた。
「動け……動けよ、このデカブツ! 俺が死ぬのは勝手だが、このままじゃ村まであいつらの好き放題にされちまうんだ!」
ゼロが操縦桿を強く握りしめ、魂をぶつけるように叫んだ。
「死んでたまるか……俺が……俺たちが、こんな理不尽に負けてたまるかってんだよ!」
その瞬間、機体の深部で何かが脈動した。
『――USER ACCEPTED. ZERO-SYSTEM, STAND BY.』
突如、コクピット内の全モニターが激しく明滅し、耳を刺すような高音が鳴り響く。
**「ピピピピピピピピピピピピピピピピピピ……!」**
「うわぁっ!? なんだ、この音……頭の中に、直接流れ込んでくる……!」
ゼロの視界が、青白い光と共に「勝利への道筋」を映し出し始める。
同時に、外部では沈黙していた機体のカメラアイが、怒りを示すかのように鮮やかな**黄緑色**に輝いた。
地上のオーリー改のパイロットたちが驚愕に凍りつく中、瓦礫を弾き飛ばし、白き暴君がゆっくりと、だが力強く立ち上がろうとしていた。
**次回予告**
目覚めた白き翼が、戦場を青白き光で塗り替える。
初めて放たれるサテライトキャノンの威力に、敵も、そしてゼロ自身も戦慄する。
次回、『月と再来:サテライト・バスター』
**「これがあんたの本当の姿か……。いいぜ、俺と一緒に暴れてもらおうか!」**
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