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そんな風にただ人の気持ちを掻き乱そうとするその男が、たまらなく許せなかった。
薄く笑いを浮かべたままで、
「嫉妬でも、しているのですか?」
政宗医師が訊いてくるのに、
「嫉妬なんか、するはずないですから……」
苛立ちがつのり、座っていたイスを蹴るようにして立ち上がると、
「用がそれだけなら、もう業務に戻りますんで!」
声を上げて出て行こうとした。
「待ちなさい……」
低く呼び止められて立ち止まった、その背中に、
「少しは、気持ちを認められたら、どうですか?」
ふいに投げかけられた台詞に、顔を振り返らせる。
「……認めたら、どうするって言うんです……?」
この人が、もしもそれに応えてくれるのならと──、
一瞬、息を詰めて答えを待つけれど、
「……私に、愛情を与えてほしいとでも……?」
やはり答えてくれるはずもなく、ただ冷ややかに見据えられて、
「……あなたに、与える愛なんて、あるんですか……?」
落胆とともに呟いて、その瞳をただ淡々と見つめ返した。