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ゆっくりと扉を開けた無陀野。


キィと軋みが鳴りながら、暗い廊下に白に近い眩しい光が差し込んでくる。

光に目が慣れた頃広い部屋には開いた窓辺で本を開き座っている髪の長い女性。



窓のカーテンは風ではためいて、窓辺に座している彼女の長い髪も同調するようにふんわりと揺らいでいる。毛先は黒いのに全体は白くなっている、漣の後ろでマフラーを巻いているロクロと似ている髪は光を反射して輝いている。

一斉にざわつく室内、思うのはたった一つ

『誰』

こんな最上階に1人で佇んでいる女性は誰なのか。生徒の声は決して小さいものではない、けれどもその女性は誰にも目もくれず、その横顔のままに本に目を向けている。


「…四季」


静寂な部屋に響いた無陀野の声に部屋の主は漸く人が来ていたと気付いたように、ゆっくりと振り返った。

目にかかる事すらも過ぎている長くなった前髪とサラリと滑り落ちる横髪。その隙間から見える白い肌と、深海のように濃い紺色が黒と混ざったような瞳に吸い込まれそうだった。

影を落とす睫毛は長く一層彼女がこの世の者では無いと思わせる。


四季と呼ばれた女性は何も写していないような黒い瞳に無陀野が写ることで小さい口を緩ませて、目を細めて薄らと微笑んだ。

この笑顔を絵画に表せるのならばそれはいかに美しく、天女に近い存在なのだろうか。

ローラースケートで彼女に近付いた無陀野はとても優しく頬に触れた、彼女は目を瞑りその手を受け入れるように少し擦り寄った。

無陀野の目も表情にも変化は一切見られないが纏う雰囲気は随分と暖かい物だった。


全身が黒い男と、相反するように白い彼女。2人は、ただ頬に触れている。それだけの光景で神秘的な物の見える。

絵になるなんて言葉では足りないほどだった。


息をするのですら烏滸がましいと思えてしまう空気を壊すように扉が後ろでキィと再び開くのと同時に「やっほー、四季ちゃん!」と保険医もとい援護班隊長である、花魁坂が入ってきた。


「ん?あれ皆んな来てたの??」

「何々どうしたの?」

「ここって基本誰も来ないよね?」


開口そうそう質問ばかり飛ばしてきて、それらに回答する暇もない。


「あ!ダノッチ!来てたんだ」


静寂な部屋が一気に賑やかになった。無陀野が触れている手をそのままに花魁坂を見た彼女は生徒の誰一人も見えていないかのように真っ直ぐ花魁坂だけを見つめて、再度笑った。花魁坂も彼女の方へ向かい眉を下げ酷く深い悲壮をまとって笑い返した。

蚊帳の外だった生徒達の一人、皇后崎が口を開いた。


「おい、ソイツ鬼なのか」


無陀野は触れる手を離して短く肯定した。


「んー…これ以上はここで話すのも野暮じゃない?ダノッチ」


「…今夜皆、来る予定だ。聞きたいことがあるヤツはそこで聞く」


「会議室借りとくからね!」

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