テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#などなど
유리
151
64
60
白い光が夜空を裂いていた。
神聖魔法。
しかも、一人や二人じゃない。
空中に浮かぶ無数の魔法陣。その中心には、“純白”の少女達がいた。
フリル。
杖。
羽。
吐き気がするほど眩しい。
「うわ、キッツ」
日向が露骨に顔をしかめる。
「目痛ぇ」
「魔力濃度高すぎです……」
五色も耳を伏せた。
影山だけが静かに前を見ている。
左角の輪が、淡く発光していた。
「……上位個体」
低い声。
空の中央。
そこに、一人の魔法少女がいた。
金髪。
白い翼。
他とは格が違う魔力。
「魔王を討つ」
少女が杖を掲げる。
「世界を闇から解放する為に!」
「うわぁ」
菅原が引いた顔をした。
「テンプレ〜」
「でも強ぇぞアイツ」
日向の目が細まる。
本能で分かる。
あれは危険だ。
「飛雄」
少女が影山を見る。
「今日こそ終わらせる」
「……は」
影山の空気が変わる。
魔力が膨れ上がる。
「来いよ」
その瞬間。
戦争が、始まった。
爆音。
衝撃。
夜空が割れる。
影山の黒雷と魔法少女の聖光が正面衝突した。
「ッ!!」
周囲の建物が吹き飛ぶ。
日向が笑いながら屋根を蹴った。
「ぎゃははっ!! すっげ!!」
吸血鬼とは思えない速度。
一瞬で背後へ回り込む。
「遅ぇよ」
牙が少女の首元へ迫る。
だが。
「――“聖壁”!!」
結界。
日向が舌打ちする。
「チッ」
その横から五色の黒炎が叩き込まれた。
「邪魔っすよ!!」
轟音。
白と黒の魔力が混ざり合い、空間が歪む。
だが魔法少女達も強い。
「浄化を!」
「魔王軍を滅ぼせ!!」
空から無数の光槍。
日向が飛び、影山が撃ち落とし、五色が喰らいつく。
そして。
「……あーあ」
菅原がため息をついた。
「だから嫌なんだよねぇ」
次の瞬間。
魔法少女十数人の魔法陣が、一斉に消滅した。
「――なっ!?」
魔力そのものを喰われたのだ。
菅原の背後の“影”が、静かに笑っている。
「ば、化け物……!」
「失礼だなぁ」
にこり。
その笑顔のまま、空間ごと敵魔法を握り潰す。
圧倒的。
だが。
それでも。
上位個体の魔法少女だけは止まらなかった。
「魔王を出せ!!」
純白の魔力が爆発する。
空が白に染まる。
日向が顔をしかめた。
「うっわ最悪」
「しつけぇ」
影山の黒雷が走る。
だが相手も互角。
押し切れない。
「……チッ」
影山が苛立つ。
珍しい。
完全に殺し切れていない。
すると。
「も〜、仕方ないなぁ」
その声が響いた。
軽い。
場違いなほど軽い声。
全員の動きが止まる。
玉座の間へ続く巨大な門。
そこに、一人の男が立っていた。
黒いヴェール。
長い指。
ゆるく笑った口元。
「……“???”」
五色が呟く。
日向が目を瞬く。
「え、出てくんの?」
「珍し」
菅原だけが少し目を細めた。
「及川さん」
その瞬間。
空気が止まった。
魔法少女達が目を見開く。
「……え?」
「今、名前――」
男は笑う。
「そ。俺が魔王」
ヴェールへ手を掛ける。
影山が嫌そうな顔をした。
「……最悪」
「飛雄ひどくない!?」
「うるせぇ」
「反抗期!? 反抗期かな!?」
空気読め。
全員がそう思った。
だが。
次の瞬間。
及川徹はヴェールを外した。
静寂。
誰も、動かなかった。
月光がその顔を照らす。
整いすぎた顔立ち。
柔らかな微笑み。
けれど、その瞳だけが異様だった。
深い。
深すぎる。
底が見えない。
「……ぁ」
魔法少女の一人が、杖を落とした。
「え」
「な、に……」
呼吸が乱れる。
胸が熱い。
視線が逸らせない。
頭がおかしくなる。
“好き”。
その感情だけが脳を埋め尽くす。
「っ、いや……!」
上位個体の魔法少女だけが歯を食いしばった。
「見るな!! あれを見るなッ!!」
遅い。
もう遅かった。
「綺麗……」
「好き……」
「会いたい……」
一人。
また一人。
魔法少女達の瞳から戦意が消えていく。
及川は困ったように笑った。
「えぇ〜、俺戦うの嫌なんだけど」
ぱちん。
指が鳴る。
その瞬間。
魔法少女達の身体が、光になった。
「――え?」
吸い込まれる。
及川の胸元。
そこに下がる、無数の宝石が埋め込まれたペンダントへ。
「ぁ……」
「ま、って……」
消える。
閉じ込められる。
永遠に。
「うんうん、これでずーっと一緒だね!」
笑顔。
心底嬉しそうな声。
怖い。
純粋に怖い。
五色が耳を伏せた。
「……うわぁ」
「キッッッツ」
日向ですら引いていた。
菅原が苦笑する。
「相変わらず重い愛だなぁ」
「愛は重くてなんぼでしょ?」
及川は首を傾げる。
「だって好きなら閉じ込めたいじゃん」
「サイコ」
影山が即答した。
「飛雄また酷くない!?」
「事実だろ」
すると。
最後の一人。
上位個体の魔法少女だけが、膝をつきながら及川を睨んでいた。
「っ……なんで……」
堕ちない。
まだ、理性が残っている。
その瞬間。
及川の目が細くなった。
「……へぇ」
空気が変わる。
ぞくり。
日向が笑った。
「あ、終わったわアイツ」
「マークされたな」
影山が呟く。
及川はゆっくり少女へ近づく。
逃げられない。
動けない。
恐怖で。
そして。
「君、俺見ても堕ちなかったんだ」
嬉しそうに笑った。
「気に入った」
及川徹 役職 魔王
兎に角ノリがいい。悪く言えばチャラい。
ヴェールをつけている。理由はその方が魔法少女を堕としやすいから。
飛雄命。LOVE。でも最近飛雄が全然構ってくれない。反抗期かな…
戦闘はあまり好まないが、ヴェールを外せば顔の良さで大体の魔法少女は堕ちるらしい。因みに今までに堕とした魔法少女約150人は全員胸元のペンダントに封印されている。本人曰く、「ん?こうすればずーっと一緒に居られるじゃん!」とのこと。自覚アリのサイコ。愛は重め。
人外。不老不死。人間って面白〜いっ!
今の幹部達(日向、影山、五色、etc…)は500年以上顔ぶれが変わっていない上に、ちゃんと絶妙〜な距離感は保ちつつも(飛雄を除く)怯えずに話しかけに来てくれるので感心している。
男女関係無く、自分の顔面を見ても堕ちなかった生き物は基本マークする。
菅原と同じくツノ無しでクソ強い。
飛雄のことは600年ほど前に引き取った。経緯は後々…
コメント
3件
お疲れ様、しょぴぃさん!第4話読んだわー。 いやもう及川さんの登場シーン、エグかった…(笑)「愛は重くてなんぼ」って笑顔で言いながら150人ペンダントに封印してるの、完全にサイコで笑った。でもそれが癖になる絶妙な怖さと魅力あるわ。飛雄とのやり取りも「反抗期!?」「うるせぇ」の空気読まなさ、チームの緩さが好き。 高位個体堕ちなかったのも気になるー。次どうなる?