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「さ、決まったことだしどこから行く?今居るのはおそらく地図で言うここだろう。」
そう言って彼が指差した地図の先に書いてある文字はナド・クライと書いてあった。
「スネージナヤのナド・クライ、か。」
「そう。一番近いのはナタにあるオシカ・ナタ。一番遠いのが稲妻の鶴見だ。」
「そんなこと言われたって、すぐに決まるわけが無いだろう!」
「フリーナ殿の言う通り、何も見ずに決めると言うのはいささか早計だろう。」
「うーん…やっぱりこのあたりを探索してからの方がよさそうだと思うけど…」
「そう。じゃあ、このあたりを見て回ろうか。範囲はナドクライの今いる島、レンポ島、そしてその付近のヒーシ島とパハ島の探索をしよう。」
そうして、俺達は簡単な準備の後、歩き始めた。
…そして、現実を見た。
何かの欠片が近くの島に落ちて、その島を潰して、この島と繋がっている。
町は瓦礫だらけ。鉄の骨組みが露出しているところもある。
町の至る所から黒と赤紫の何かが溢れ出し、首無しの何かが蠢いている。
「そんな…」
フリーナちゃんが呆然と呟く。
それでも、海を覗き込むと小さな魚たちが音に驚いたのか慌てて泳ぎ去っていく。
生物が完全には居なくなったわけではないのだろう。その事実が数少ない希望となる。
「…行こうか。町の中へ。」
鈴風さんはそう言って歩いていく。
町の中へ降りていく。
首無しの何かは襲って来たけど見た目ほど強くはなかった。
めちゃくちゃになった町。
首無しの何かがいたこと以外はやけに静かで。
…人が死んだなら、もう少しなにか、例えば匂いとか、そういうものがしたっていいのに何も無い。
「きっと、永い時間が経ったのだろう。血の匂いも、骨すら崩れ消えるほど永い時が。」
鍾離さんが静かに絶望を伝える。
しんと沈黙が場を支配する。
「…と…を…」
自分たち以外の人の声がした。
そこに行き、見たのは希望ではなかった。
ボロボロの人だったであろう塊の数少なく残された口部分から言葉がこぼれ落ちてゆく。
濁ったガラス玉みたいな目に俺達が映ったと思ったらまるで生きているようなはっきりとした言葉が落ちる。
「星と深淵を目指せ!ようこそ、冒険者…きょう…か…い…へ…」
そして、それを最後に言葉は発されなかった。
その後、他の島も探索しようとしたが、なにか強い力に押しのけられ、探索することはできなかった。
でも、ずっとあの言葉が頭から離れない。
”星と深淵を目指せ!”
きっと、行かなくちゃいけない。
その先に絶望しかなくったって。
歩かないと。
たとえそれがどれだけ怖くても。