先輩から聞いた話。
先輩は自称霊媒師を語ってひと稼ぎしている。
なんとまあバチ当たりな人だと思いながらも、先輩のネタは心霊も交じってて面白いから、話をついつい聞いてしまう。
その話はある一本の電話から始まる。
「幽霊に殺される、助けて」
そんな内容だった。
とりあえずカフェで会う事に。
相談相手は若い女子大生で、それはもう疲れ切った表情だった。
その子はポツリポツリと話し出す。
「毎晩、夢を見るんです。
遠くて、良く分からないんですけど
誰かが手招きしていて、、
そして次の日の夢になると
それが少しづつ近づいていて
私、いつか連れていかれるんじゃないかって」
先輩がまず思ったこと。
勘違いじゃね?だそうだ。
夢で誰かが追ってくるだの、殺されそうになるだのは9割妄想らしい。
だから適当にカウンセリングして、金貰って帰ろう。そう思ったが次の発言が先輩の思考を反転させた。
「カンカンカンカンという音も頭で響いていて」
この人は10%を引いているかもしれない。
理由は二つある。
一つ、夢で音を覚えている事はまず少ない。音のある夢をみると霊障に触れている。それが悪い夢ならそれはもう危険であるという事。
二つ、音の正体が何となく分かったという事。
先輩はこの依頼を真剣に調査する事になる。
死に憑き纏われている女子大生を救う為に。
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