テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#だざむ
りつ
13
41
21
35
____その日、太宰は1人で探偵社に居た。
社長と乱歩は出張、賢治とナオミと鏡花は非番、国木田、谷崎、敦、与謝野は依頼で探偵社には居ない。
他の事務員達は休憩にうずまきに行っていた。
「……暇だなぁ〜」
1人でそう呟くが、それに答える者は居なかった。
すると、脳内にとある同僚の言葉がチラつく。
『おい太宰!!俺達が依頼に行っている間、この報告書を書き終えておけ!!!』
「…………」
すると、太宰はデスクに向かおうとした。
……が、気配を感じた。
___其れは太宰が、最悪だ、と思う気配。
「…………何しに来たのかな。」
「フョードル。」
「流石太宰君ですね。」
「……何しに来たのか、って聞いたのだけれど。」
「……貴方なら判るでしょう。」
「だが確信はない」
「……貴方をぼくの物にしに来ました。」
「…あーあ、予想が当たってしまったよ。」
「……けど、そんなこと出来ると思っているのかい?」
「今日で出来るとは到底思っていませんよ。」
「今日は、計画の第一段階をしに来ました。」
すると、フョードルは太宰に近づいていく。
「態々教えてくれるなんて優しいねぇ……」
「貴方程じゃありませんよ。」
「……太宰君、少し焦っていますね」
実際、少し焦っていた。
もう直ぐ休憩時間が終わるからだ。
休憩時間が終わるということは、事務員達が帰って来るということ。
更に、国木田達も休憩時間が終わる頃に帰って来ると云っていた。
「……安心してください、貴方のお仲間が帰って来る迄には終わりますよ。」
……そして、太宰の顔に手を置いた。
「……辞めてくれないかな」
「辞めませんよ。」
「……太宰君、演技が少し下手になっていませんか?」
「……。」
「……貴方は囚われすぎている」
「友人に。織田、作之助と云ったほうがいいでしょうか?」
「!…何故、知って、」
「知っていますよ。貴方のことは何でも。」
「貴方、探偵社も誰一人信じることが出来ていないですね?」
「……違う。」
「辛いでしょう。ずっとずっと、演技をしていては。」
「……ちが、う」
「ぼくなら貴方を救えます。」
「苦しくて、怖くて、人が信じられなくて、ずっと仮面をつけている」
「……ちが、」
「違わないでしょう。」
「友人の遺言。守るのも、辛くはないですか?」
「もう無理に演技なんかしなくても、良いんじゃないですか?」
「……えんぎ、じゃない、」
「……本当ですか?殺気がきちんと隠せていませんが。」
「探偵社の皆さんだって。もし裏切られたら?どうやって殺せば良い?其ればっかり、考えてるでしょう」
「……ちが、う、わた、しは、たんていしゃ、を」
「信じられない。何も、信じられない。」
「そうでしょう?」
「ちがう、」
「……良いんですか?そろそろ貴方、壊れますよ」
「っ、?!」
すると、太宰の力が抜け、床に跪坐した。
其れを見たフョードルは、薄っすらと笑いを浮かべながら床にしゃがみ込んだ。
太宰は正座が崩れたような姿勢、フョードルはしゃがんでいるため、太宰がフョードルを見上げる形になった。
「大丈夫ですか?太宰君。」
そして、フョードルは太宰の髪をくしゃりと掴んだ。
「ぼくの話を聞いてください」
「……っ!」
……すると、掴んだ髪ごと自分の顔の前まで持ってきた。
「昔とは違って、太宰君。今の貴方は全て嘘だ。」
「……い、や、やめ、て」
震える声で其う云った太宰の額には汗が滲み、体に震えが見える。
目から光は失われており、涙が少しだけ溢れている。
「苦しい、辛い、怖い、其んな感情は全部隠して。」
「楽しい、嬉しい、なんて、微塵も思ってないんでしょう?」
「……そんな、こと」
「……おや、そろそろ時間ですね。」
「……ぁ、」
「…もしかして、”行かないで”なんて思っていますか?」
「……っ」
「冗談ですよ。では」
そう云うと、フョードルは去っていった。
「……ぁ、………、」
敦side
任務から帰ると、太宰さんがデスクでヘッドフォンをつけながら机に突っ伏していた。
____けど、何か様子が可笑しい、気がした。
「おい太宰、帰ったぞ。」
国木田さんがそう云うと、太宰さんがつけているヘッドフォンを外した。
「…っ!?、あ、おか、えり」
ヘッドフォンを外された太宰さんは、吃驚したように国木田さんを見て其う云った。
「太宰…?」
太宰さんの顔を見ると、とても顔色が悪く、流石の国木田さんも気づいたようだ。
「太宰さん、どうしかましたか?顔色が悪いような、」
「………大丈夫。」
「本当に大丈夫かい?」
其れを見ていた与謝野さんも声を掛ける。
「…………ちょっと、すみません」
「あっ…太宰さん、」
其う云うと、太宰さんは探偵社を出ていってしまった。」
「……後でお見舞いにでも行きましょうか」
谷崎さんが其う云う。
「そうですね……」
「それならすまないけど、妾は今日用事があるから行けないねェ」
「なら、俺と谷崎、敦で行きましょうか」
「了解です!」
こうして、僕、国木田さん、谷崎さんでお見舞いに行くことになった。
____行って正解だった。
[newpage]
ピンポーン♪
「太宰さーん!居ますかー?」
仕事終わり、僕と国木田さんと谷崎さんは、太宰さんの部屋の前に来ていた。
太宰さんの体調が気になって来たのだが……
「………出ませんね」
「もしかしたら留守なのかも…。どうします?」
谷崎さんが国木田さんに問う。
「むむ…だが、あの唐変木のことだ。寝ているだけかもしれん」
「なら余計なことはしない方が…」
「彼奴のことだ。薬も飲まず寝ているんだろう、其れじゃあ何時まで経っても治らない。」
「あぁ〜……。確かに…?」
「けど、多分鍵も掛かっ……」
其う云ってドアノブに手を掛けた谷崎さんの手が止まる。
「?どうした」
「……開いてます」
「全く……防犯対策の詰めが甘いな。」
と、国木田さんが言いながらドアを開けようとする。
「え、ぇぇ、?!良いんですか?!不法侵入じゃ………」
「大丈夫だよ」
「大丈夫だろ」
「えぇ……」
二人が口を揃えて其う云うものだから、何も言い返せないままドアが開く。
……其処には、ぐったりと玄関で倒れている太宰さんが居た。
[newpage]
うるさい。
フョードルが去ってから、ずっと、あたまの中で、声がぐるぐるする
うるさい、うるさい、うるさい、!!
耳鳴りもしてきて、うるさくて敵わない。
どうにか紛らわそうと、なんとか立ち上がり、デスクに向かう。
そして、ヘッドフォンをつける。
あぁ、もう直ぐ事務員が帰って来る。
あぁ、もう直ぐ国木田くん達がかえってくる。
そんなことをおもっていると、ヘッドフォンから流れていた音楽が途切れた。
「おい太宰、帰ったぞ。」
国木田くんか。
事務員達よりも早く帰ってきたんだな
____そんなこと考えてる場合じゃない。
何か、返さないと。
「おか、えり。」
「太宰…?」
なんとか絞り出した声。
あぁ、どうしよう。
いつもの私の様に返せなかった。
そうしてる間にも、あたまの中がうるさくて。
叫んでしまいそうなのを堪えて。
……あぁもう、うるさいな!!!
外の音が聞こえないくらいに、声が聞こえる。
声が、ずっとぐるぐるして、気持ち悪い
「________?」
敦くんが、何か云ってる?
…なにをいっているのか、よくわからない。
「大丈夫だよ。」
恐らく私を心配したような事を云っているはず、だ。
なら大丈夫と云っておけば自然なはず。
____すると、今日に頭痛がした。
幻聴に、耳鳴りに、頭痛。最悪だ。
「………ちょっと、すみません」
これ以上会話できる気がしなかった。
与謝野女医も何か云っていた気がしたが、そんなことは気にせず探偵社を出る。
『織田作之助に囚われすぎている』
『辛いでしょう、ずっと演技をしていては。』
『ぼくなら貴方を救えます』
『苦しいでしょう?怖いでしょう?』
『__もう楽になってしまっては?』
うるさいな、本当に、!!!
寮について、直ぐに玄関付近の壁にもたれかかる。
「あぁ、っ!うるさい!!!!っ、だまれ、黙れ黙れ!!!」
耳を塞ぎながらどうにか叫ぶ。
「うるさい!!うるさい、うるさい!!もう黙ってよ!!!」
すると突然、どうしてか力が抜けた。
「ぅ、っ!」
玄関の床に、思いっきり頭を打ちつけてしまった。
……痛いなぁ。もうこのままねてしまおうか。
____そしてそのまま、意識を手放した。
コメント
1件
第1話、読み終えました。 フョードルが太宰の内面を一つひとつ暴いていく場面、すごく引き込まれました。特に「囚われすぎている」という指摘に太宰が「ちがう」と繰り返しながらも、震えていく流れが切なくて……。彼の仮面の裏にある脆さが繊細に描かれていて、胸が締め付けられました。敦たちが異変に気づいて動くところも好きです。続きが気になりますね。