テラーノベル
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前提
クリル→素体スパークル中央進化のうちの子
語り手→オーナー
古くからの友人に貰った花札。クリルはルールも知らぬまま遊んでいる。小一時間ほどたっただろうか、彼女から「これで遊んでみない?」の一言。平然を装っているが、瞳の奥には隠しきれぬワクワクが見える。もちろん遊んでやりたいところだが、花札のルールなんて知らない。現代っ子で悪かったな! なんと、クリルもルールは知らないらしい、ただ、独自の遊び方を見つけたとのこと。絵が似ている札同士を見つける、トランプでいう神経衰弱のようなものだった。あとから確認したところ、十二月にカードが分けられており、絵が似ている札は同じ月の札らしい。多少違うところもあったが、何も見ずにここまでたどり着いているのは驚いた。これは、わたしよりも遥かに優秀かもしれない。
クリルが考えた遊び方は、お世辞にも楽しいとは言えなかった。私は神経衰弱が嫌いだ。同時に、この花札も苦手、または嫌いになるのは必然。だからあまり楽しいとは思えない。それでも、クリルと一緒に花札(正確には花札の遊び方ではないが)をする時間は好きだった。同じ喜びを分かち合えるというのは素晴らしい。友人には感謝を伝えたい。花札という、普通に生きていたら触れないようなものに触れられたのは嬉しい。クリルも同じ気持ちだったらいいな、と思う。もっと色んなものに触れてみたい。今日からの生活が豊かになりそうだ。それはクリルのおかげであり、友人のおかげでもある。もっと遡ると、花札を考えてきた昔の人のおかげでもある。(さすがに遡りすぎだとは思うが)そんな全てに感謝して、クリルと、これからも思い出を作りたい。
幸せな時間は早くすぎる。時間は朝二時。クリルも私も、リビングで寝息をたてていた。
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