🩷side
翔太はダイニングの椅子にもたれて、言った。
💙「だって、俺たちはお前たちが羨ましいもん」
🩷「えっ」
💙「あべさく?よく言われてんじゃん。共通点0の両想いだっけ」
🩷「………」
💙「そもそもお前、阿部に片想いしてたじゃん。涼太の方がよっぽど色々我慢してると思うけど?」
言いにくいことをズバズバ言うのは翔太の欠点でもあるけど、この時ばかりは、俺は翔太の言う通りだと思った。
💙「雑誌、見たぞ。2人で随分と仲良さそうに撮られてたな」
🩷「………」
💚「見てくれたんだ?」
💙「ドラマの現場にたまたまあったんだ。表紙だけ見た」
💚「へえ♡たまたまねぇ?」
横から阿部ちゃんが、にこにこして、翔太の頭を撫でる。2人は本当に仲良しだ。2人だけの時間の長さと歴史を感じる。
俺たちもこれからこうなれるだろうか…?
💚「翔太は佐久間と俺に妬いたりするのぉ?」
💙「うっせぇ!今は佐久間たちの話だろ!」
揶揄う余裕がある阿部ちゃんも、照れて乱暴な口調になる翔太も、俺には眩しい。
俺、涼太に酷い態度取ったかも…。
告白されて、付き合って、そこまででも涼太にはたくさん阿部ちゃんとのことでイヤな想いをさせて。
それなのに、こんなつまらないことで怒ってしまって。
考えれば考えるほど、自分がいかに身勝手で子供だったかということに気づかされた。
それでも涼太が俺に何も言わないのは、誰よりも俺が大切にされている証じゃないだろうか?
🩷「……涼太に謝りたい」
💚「はい。よく出来ました」
💙「まあ、仲良くやれよ。あいつが悪い時には、俺がちゃんと怒ってやるから」
🩷「うん……っありがと…うっ」
視界がぼやけた。
また泣いた俺を見て、翔太が照れ臭そうに笑った。阿部ちゃんが冷えたタオルを持って来てくれた。
2人が優しくて、俺はなかなか泣き止めなかった。
ピンポン。
インターフォンが鳴った。
涼太はいつもこういうタイミングを外さない。
俺は、遅れて来た涼太の胸に思い切り飛び込んだ。
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