テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
〇〇は、スマホをぎゅっと握りしめたまま、少しだけ視線を泳がせた。
「次のLIVEの日さ……友達と遊ぶ約束あって」
そう言った瞬間、もと、ひろ、りょかの動きが、ほんの一瞬だけ止まった。
「え、マジ?」
ひろが少し驚いた顔で言う。
「そっかぁ……」
りょかは笑ってみせるけど、その声はいつもより柔らかくて、どこか寂しそうだった。
もとは何も言わず、〇〇をじっと見てから、ふっと口角を上げた。
「楽しんでおいで。〇〇が決めたことなら」
その優しさが、胸にちくっと刺さる。
――ごめんね。
心の中で何度もそう言いながら、〇〇は嘘を飲み込んだ。
本当は。
本当は、自分でチケットを当てて、客席から3人を見たかっただけ。
「恋人」としてじゃなく、「一人のファン」として、全力で応援したかった。
そして迎えたLIVE当日。
キャップを深くかぶって、マスクをして、〇〇は会場に入る。
チケットを握る手は、少し震えていた。
(いる……)
ステージの上。
照明に照らされて、音に包まれて、3人はいつもよりずっと遠くて、でも誇らしかった。
LIVEが始まって、会場が一つになっていく。
〇〇はペンライトを振りながら、何度も胸がいっぱいになった。
――やっぱり、来てよかった。
その時。
曲の合間、もとが客席を見渡して、ふっと目を細めた。
ひろも、りょかも、同じ方向を見て、次の瞬間、3人の視線がぴたりと止まる。
〇〇のほう。
「……あれ」
ひろがマイクから少し離れて、口元を押さえる。
りょかは目を見開いて、信じられないって顔。
もとは、はっきりと笑った。
「……〇〇、だよね?」
心臓が跳ねる。
バレた。完全に。
LIVEはそのまま続いたけど、3人の表情はどこか嬉しそうで、どこか余裕がなくて。
視線が合うたび、もとは少しだけ困ったように笑った。
LIVE後。
関係者通路に呼ばれて、〇〇は小さく肩をすくめながら立っていた。
「……ごめんなさい」
最初に口を開いたのは〇〇だった。
「嘘ついた。友達と遊ぶとか言ったけど、本当は……自分でチケット当てて、普通にLIVE行きたくて……」
一気に言い終えると、静かになる。
次の瞬間。
「はぁ……」
ひろが大きく息を吐いて、〇〇の頭に手を置いた。
「びっくりしたし、心配したし……でも」
「来てくれたの、正直めちゃくちゃ嬉しい」
りょかが素直にそう言って、にこっと笑う。
もとは〇〇の前に立って、少し屈んで目線を合わせた。
「隠れてまで来るとかさ……」
そう言いながら、指で〇〇の帽子のつばを軽く上げる。
「可愛すぎなんだけど」
「怒ってないの?」
〇〇が不安そうに聞くと、もとは即答した。
「怒るわけないでしょ。
ただ……独り占めしたかっただけ」
その言葉に、胸がきゅっとなる。
ひろが腕を組みながら、少し照れたように言う。
「〇〇が客席にいるって分かってから、テンション上がりすぎてやばかった」
「うん、僕も。途中で手震えてた」
りょかが笑いながら言う。
もとは〇〇の額に、そっと額を寄せる。
「次からはさ」
低くて優しい声。
「嘘つかなくていい。
来たいなら、来たいって言えばいいし」
少し間を置いて、囁くように。
「……でも、今日みたいにこっそり来るのも、嫌いじゃない」
〇〇は顔が熱くなって、思わず俯いた。
3人に囲まれて、抱き寄せられて、
「来てくれてありがとう」
「ちゃんと見てたよ」
「一番のファンだから」
そんな言葉を浴びる。
――やっぱり、この人たちが大好きだ。
嘘から始まった夜は、
世界一甘い秘密になった。
LIVEの余韻がまだ残ってる頃、〇〇はまた一人、そわそわしていた。
(……握手会)
スマホの画面に表示された「当選」の文字。
嬉しいのに、胸がどきどきして落ち着かない。
――言わない。
今回は、言わない。
だって、また言ったら
「無理しなくていいよ」とか
「休んでていいよ」とか
優しい顔で言われるのが分かってたから。
〇〇は帽子を深くかぶって、マスクをつけて、列に並ぶ。
周りはファンの女の子たちでいっぱいで、楽しそうな声が弾んでる。
(ほんとに……来ちゃった)
一人目、ひろ。
「次の方どうぞ〜」
〇〇は軽く頭を下げて、そっと手を差し出す。
触れた瞬間。
ひろの指が、ぴたりと止まった。
「……え」
〇〇は反射的に目を逸らす。
「……いや、気のせいか」
ひろはそう言いながらも、手を離さない。
指先が、少しだけ強く握られる。
「……手、覚えあるんだけど」
〇〇は何も言わず、軽く会釈して次へ進む。
二人目、りょか。
「こんにちは〜!」
いつもの柔らかい笑顔。
〇〇はまた手を差し出す。
ぎゅ。
「……あ」
りょかの声が、ほんの少し低くなる。
「この感じ……」
親指で、〇〇の手の甲をなぞって、確認するみたいに。
〇〇は思わず息を止める。
「……〇〇?」
小さな声。
〇〇は首を振って、何も言わずに離れようとする。
でも、りょかはにこっと笑って、優しく言った。
「ありがとう。来てくれて」
まるで、全部分かってるみたいに。
そして最後、もと。
〇〇は一番緊張してた。
目を合わせたら、絶対バレる気がして。
「どうぞ」
その声だけで、心臓が跳ねる。
そっと手を伸ばす。
触れた瞬間――
もとは、何も言わずに、〇〇の手を包んだ。
離さない。
「……やっぱり」
低くて、確信に満ちた声。
「〇〇でしょ」
〇〇はびくっとして、思わず顔を上げる。
視線がぶつかる。
マスク越しでも、分かる。
優しくて、ちょっとずるい笑い。
「隠す気、ある?」
小さく笑いながら、親指で〇〇の指をなぞる。
「……ごめんなさい」
そう言うと、もとは少しだけ眉を下げた。
「怒ってない」
すぐに否定してから、声を落とす。
「でもさ……」
ぐっと距離を詰めて、囁く。
「来てくれたの、嬉しすぎて困る」
スタッフの目を気にしながら、もとは一瞬だけ〇〇の手を強く握る。
「あとで、来て」
その一言だけ残して、手を離した。
握手会後。
控室に呼ばれて、〇〇はまた3人の前に立っていた。
「また隠れてたね」
ひろが呆れたように言いながら、でも笑ってる。
「でも、すぐ分かった」
りょかがくすっとして、〇〇の手を取る。
「この手、忘れるわけないもん」
もとは腕を組んで、じっと〇〇を見る。
「なんで言わなかったの?」
〇〇が小さく答える。
「……ファンとして、来たかった」
その瞬間、もとの表情が一気に柔らぐ。
「ほんとにさ……」
ため息まじりに、〇〇を引き寄せる。
「可愛すぎ。反則」
額に、軽くキス。
ひろが照れ隠しみたいに言う。
「次からは、ちゃんと俺らに言って」
りょかも頷く。
「でも……隠れて来る〇〇も、嫌いじゃないけど」
もとは最後に、〇〇の耳元で囁く。
「どこにいても、
触れた瞬間で分かるんだから」
〇〇の心臓は、またうるさく鳴り始める。
――隠しても、全部見抜かれる。
それが、
3人に愛されてる証拠だった。
どーかな!?握手会もやってみたけど…?
あともう中学って言ったけど、あれ予測変換ミスでもう高校です!応援してね(?)
コメント
8件
いやぁぁぁぁぁ!!最高やて、、
最高、、
リクエスト!!!! 〇〇ちゃんが風邪をミセスの隠して仕事して一緒に帰ってきて倒れちゃうやつみたい!