テラーノベル
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夜のプラントは静まり返っていた。
みんなが寝静まったころ、ふと気づく声が聞こえる。
「コニー、ぬいぐるみ忘れてる!」
エマが小さな声で叫ぶ。ノーマンもすぐに気づき、ふたりは慌てて部屋を飛び出した。
「待って、ぬいぐるみだけでも届けに行こう!」
「でも…出荷の日に外に出るのは危険だよ!」
「でもコニーのためなら、絶対届けたい!」
息を切らしながら、エマとノーマンは出口に向かって走る。
その頃、プラントの隅で静かに見つめるシンム。
彼は何も言わず、ふたりの背中を見送る。
「……無理しないでね」
誰にも聞かれないように、そっと呟いた。
時間が過ぎ、ふたりは戻ってきた。息も絶え絶えで、顔には焦りと悔しさが滲んでいる。
「間に合わなかった…」
ノーマンが声を震わせ、エマも涙をこらえている。
シンムはふたりの間に静かに歩み寄る。
「なにがあったかは知らないけど……無理しなくていいよ」
そう言いながら、ふたりの頭を優しく撫でる。
「頑張ったんだから、それで十分だよ」
シンム兄ちゃんの優しさは、みんなの心の支えになっていた。
彼は誰にも本当のことを話さないけれど、その存在だけでみんなを包んでいた。
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