「えー、では、この問題を…」
体育祭が終わり、通常授業が始まった。
「保住、ここの式と答え、言ってみろ。」
「え、あー、…わからないです!」
「自信満々に言うな、ハァ…ではここの問題を、朝井、言ってみろ。そこの寝坊助も聞いとけよ。」
「そこの答えは、次数5、定数項2です。」
丁寧にはっきりと答える朝井。
「正解。」
「かっけぇ」
小声で呟く保住。
「君は、こんな問題も解けられないんだね。」
隣の高城怜が挑発を誘う。
「は?」
まんまと誘われる保住。
「やんのか?」
「小学生低学年レベルだった。」
「あ!?」
大きな声を出した保住。
「おい!寝坊助!そんなに元気なら、この問題解いてみろ!」
「え………助けて高城。」
「やだよ。」
その後、保住は、先生にびっしり叱られたのであった。
「えー、では、これから3限目と4限目を使って、修学旅行について、色々やってくぞー」
『わーい』
「では、まず行動班と生活班を決めてくぞー、行動班は、男女2人ずつで組んで、計4人の班を作れ。時間は、10分。」
「桃瀬〜!組もうぜー!……それから、女子2人もな、わかってるよな…」
「へいへい。」
「じゃあ、作戦じっk」
「桃瀬さん!」
保住の合図を遮るように、萌田と朝井が駆け寄ってきた。
「も、萌田さん!?と、朝井さん。ど、どうしたの?」
「あ、あの、」
顔を赤らめながら、萌田が言う。
「よ、よかったら、わ、私、達と組んでくれません…か?」
赤らめながら最後に、桃瀬の顔を見て「か?」と言った。
(か、かかかかか、可愛い!可愛すぎて、死にそう……)
「わ、私からも、お願い!桃瀬君、保住君!」
神頼みするように手を合わせている。
「お、俺は,いいけど!?桃瀬は?」
肘で突かれ、桃瀬は、現実に戻った。
「お、俺も、組み…たいです//」
「!!」
「やったー!よかったね、海莉!…海莉?」
「……」
萌田は、誘った時に恥ずかしくなって、気絶していた。
「も、萌田さん!?しっかり!」
「か、かかか、海莉!ダメダメ!まだ行っちゃダメ〜!!」
「柚香うるさい…」
朝井の声で目を覚ましたのか、もう顔は赤くなかった。
「!海莉〜!よかったー!」
起きた萌田にすぐさま抱きつく朝井。
「くっつかないで、暑苦しいってば…//」
またまた赤くなり始めた萌田。
「あ、朝井さん!ストップ!萌田さんまた倒れちゃう!」
保住が止めに入る。
「あぁ!いけない!ごめんね海莉!」
「だからうるさい……」
「では、全員の班決めが終わったので、生活班を決める。10分で決めるように。」
「海莉〜、一緒に組も〜?」
「うん。いいよ、柚香。」
「私達、一緒なら、どこの班でもいいよ〜!」
「ちょっと!柚香!?」
柚香の発言に、びっくりする萌田。
「本当〜?ありがと〜!」
その声は、もう同級生の耳に入っていた。
「もう…」
「えへへ〜、夜、恋バナね!」
「は!?ちょっと、柚香!?」
「桃瀬〜、一緒〜…」
「へいへい。」
「やったー!桃瀬取ったど〜!!」
「どーせ、おまえ夜に作戦立てるからだろ…」
「チッチッチ」
人差し指を左右に振る保住。
「修学旅行の夜なんて…決まってるだろ」
「まさか…」
「そう、その『まさか』だ」
「枕投げ?」
「ちげーわ!恋バナに決まってんだろんだ!なんだよ!枕投げって!時代おくれか!」
「グハァ……」
保住の時代遅れという言葉が、急所に刺さった桃瀬であった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!