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「え………此処は‥ほんとに…何処‥?あ、そうだ、ギグル‥!!」レイラは傍で倒れていたビターギグルを起こし、「うう‥頭がまだクラクラする‥それより此処は‥?」ビターギグルは辺りを見渡す。でも正直言ってレイラも此処が何処なのか、はっきりとまでは分からない。でも、さっきまで……つまり意識を失う前までに居た場所ではない事は確かだ。 「そう言えば……ウスマンさんは……」ビターギグルはそう溢す。
「そ、そういえば‥あ、もしかして…凶暴化してた子達を止めてくれてるの‥かな」レイラはそう考えた。
強い力で殴打され過ぎて、記憶が曖昧に飛び此処に運び込まれる前までの事が鮮明でなくなっており、 バンバンも結局あの後無事なのかどうかも分からない、それに此処が一体何処なのかも。
バンバン幼稚園の……施設内のままなのか、それとも全く違う場所なのか…。
だから、とりあえずは探索して、せめて此処が何処なのかだけでもはっきりさせたいところだ。「と、とりあえず‥此処が何処なのか、散歩して確認しよ」
彼女はそう言って探索をする為にまずは部屋を出る。
と、いきなり異様に煙たい空気が……、それに一つ不可思議な変化が。それは‥「レイラさん‥片方の腕に何か刺されてる‥ような痕跡があるのですが‥これは一体‥?」ビターギグルはそう言って彼女に質問した。
身に覚えのない事で彼女は?と不思議そうにし、その指摘された片腕の方に目を向けた。
「え……?な、何これ‥、こんな痕‥私たちが気を失う前まではなかった‥よね」
「恐らくその時、気を失った隙を狙って、注射されたのかもしれない」
ビターギグルとレイラはそう会話を互いに交わし合う。この『謎の注射痕』は一体‥。と、彼女は突然頭を抑え、目を顰めた。
「…………っ‥」
頭痛と思われる痛みに突然と苛まれた。
すると、「やあ、目を覚ましたようだね。気分はどうだい?」
研究者はレイラとビターギグルの会話全てを見ていたかのように、すんなり部屋に入ってきた。
そこで、彼女は唐突で且つ率直にレイラは突然きた痛みの訳を知ってみて問い詰めた。
彼が返した答えは‥‥
「もう効果が出始めたか、ああ君にこっそり『記憶の一部を消す』効力が付いている特殊な薬品を投与しておいたよ、君に不要な記憶は薙ぎ払い我々の言う事を少しでも聞き入れるようにするにはこの方法が手っ取り早かったんだ、気絶している間に打ったから痛みは感じなかっただろ…?まあ人体に大きな影響や害はないから安心して良い、もう君の家族は変わるんだ」
記憶が消える‥?でもビターギグル達との記憶は消えず、あくまで彼女のかつての記憶が消失される、という事か‥?。
「え……?いや、だって……私にも‥‥パパ‥とママが‥‥‥あれ……?私のママとパパ
って‥誰だっけ……」
記憶喪失の弊害が早速出ている、まあもしくは最初から‥いやそんな事はあり得ない筈だ。
「君には我々の新作の実験体第一号になってもらう、その頃には我々を‥いや、若しくはお前の【お気に入り】を正式な親として認識するようになる‥まあいつかは生まれ変わる時がくると思ってくれれば良い‥ああ、あまり下手に動こうとはしないように、約束を破った場合‥どうなるか、分かっているな」
研究者は会った当初は親切心を彼女に見せていたが、今はその真逆の印象を受ける。
「わ、分かった」
「此処では常に君の事を監視しているからね、背いたり逆らったりしたら‥痛みを与えるかもしれない‥実験に付き合ってもらう前に死なれたら困るし、君は大切な【人材】だからね」
そう言って研究者は彼女らを置いて、一先ずは部屋から退出した。
「い、行ったよね、フリン達を待たせちゃってるし、だからあの部屋に戻りたいのに‥」
「でも無闇に強行して行こうとすれば……貴女がまた何かしら苦しめられるかもしれない‥、あのクラゲや他の人の事はあまり今は考えない方が得策だと思う」
ビターギグルはそう提案する。でもレイラとしてはステインガーやバンバリーナ、更には途中で出会ったシェリフ・トードスターに心配かける訳にはいかないと思っている‥それに元々はバンバンに幼稚園の園内案内を頼み、そこから始まった…幼いながらの好奇心が‥いつの間にやら災難を呼び寄せていた事に彼女は気付けなかった。
それに、この冒頭でも言ったが、バンバンの安否も心配だ。バンバンはフェラル化現象も自在に引き起こせる為に、案外少数相手ならば、早々に負ける事はないだろう‥‥と、申し訳ない。
その前に前回【フェラル化】という現象とは何なのかの説明をしていなかったから、此処で一度しておこう。
端的に言うと、自身の秘められた力が放出し、一時的な肉体強化‥と言った感じだ。
バンバンで説明するなら、彼の場合はフェラル化すると、まあバンバンに限らずの事ではあるが、【白目を向いて、容姿が通常時とは異なる】、簡単に説明するとこういった特徴があるのがフェラル化と言う。
と、では話を戻そう。
「で、でも……この辺りを見てみるくらいなら……良い‥よね」レイラはそっと部屋の外を覗き見ながら、そう言った。
「その程度の範囲なら‥では私も同行します」
ビターギグルも共に行動し、研究員らには内緒でこっそり探索に出かけた。
「此処って、どう言うところなんだろ……、でもあの、私達が元居た幼稚園とは‥なんか雰囲気が違うような‥ 」
「そうですね、これは‥私も感じたことのない雰囲気です」
ビターギグルもレイラも此処はバンバン幼稚園の施設内の一部ではなく、【全く別の施設の建物の中に居るのではないか】‥そんな事まで思う。「もうちょっと…、探索してみよ」
監視の目が常に張り巡らされている事も気にかけつつ、だからあまり遠出をせず今居るエリアから極力離れない程度に、此処ら一帯の付近のみに絞って探索を行う。
周辺の景色を見てみると、やっぱり気絶前まで居たあの場所とは違い、不気味な‥ただただ、居心地の悪さ がずっと漂って纏わりついている。
「あ、なんか文字が見えてきた‥、此処が何処なのか分かるかも!」
彼女は何やら壁にこの場所の名前を示したものを見つけ、ビターギグルと共に確認しに近くに寄って見つめる。
「えっと……機密隔離所……?」
レイラはポカンとする。
「そのようですね、でもこの文字の意味をそのまま受け取るなら、此処はあまり良い場所ではない、それは間違いないと思う」ビターギグルとレイラは話す。仮にも幼稚園なのに、こんな側から見ても、物騒としか言えない施設を幼稚園の内部として扱い、創設するとは思えないし、考えにくい。
「じゃあ…皆んながいた場所とは全く違う場所に…私たちだけ連れて来られたって‥事‥?それって‥つまり私たちだけ、閉じ込められてるって事‥?だよね」
彼女はそっとぼやいた。
「恐らく、そうでしょう。あの子猫さんも見当たらない‥怖いけど私たちの他に誰か居ないか探してみよう、誰かと出会えるかも」ビターギグルはそう彼女に提案した。
「そうだね、もしかしたら誰かに会えるかもね」
そうして、とりあえずレイラとビターギグルは自分達以外に他に誰か居ないかを確認する。でも‥
「誰も居ない……?、何も気配を感じない‥ような」
レイラは不安に怯える。いきなりの襲撃に遭い、戸惑いと混乱の中に‥更には不安も。どれもマイナスな感情ばかりが彼女を襲う、とりあえずは誰かに出会すまで散歩ついでの散策をする。
「バンバン‥シェリフ達も居ない‥いる可能性 があるとしたら、……『プティ』くらいだよね、此処があのバンバン幼稚園じゃない違う場所だって考えたら‥」
此処をあの幼稚園と同一と考えずに、全く違う場所と考えてみる。まあ、そもそもの証拠に、此処が仮にバンバン幼稚園なら、施設のあちこちにバンバン幼稚園との文字が書かれていないのがおかしい。
だから、此処はバンバン『幼稚園』とはまた別の用途で使用されている場所なんだと。
……と、そうやってぶらぶらと探索を進めていると、「追いついた、二人共無事で何よりだ」
やってきたのはあの乱闘に一人で【フェラル化】して立ちむかっていたバンバンだった。
「バ、バンバン‥!?バンバンの方こそ無事だったんだね‥!心配してたよ‥!」
レイラはバンバンに駆け寄ってそう言った。「ああ、それにしても連れ去るなんて……しかもこんな施設に。やっぱり彼らは最初から君の事を『実験体』の一人としか考えてなかったようだね」
バンバンはそう言った。
何もともあれ、バンバンと無事に再会出来た事は非常に喜ばしいし、今現状最もな安心材料になった。「ねえ、バンバン‥此処ってどう言う場所なのか知ってる?なんか、機密隔離所って書かれたんだけど‥」
「深く……奥まで介入しようとした罰‥それともう一つ考えられる理由があるとするなら実験体の存在である君に『ある事』を刷り込ませる為に連れてきたんだと思うよ、君の‥成れの果ての姿を作る為の‥………いや、奴らが見ている‥これ以上言うのは避けておこう」
バンバンはそう言い、彼女らに緊張が走る‥そうだ、此処はあの幼稚園に施設よりもあの【研究者】達からの監視の目が‥支配力が強く、それに幼稚園に存在する化け物マスコットらは全て…恐らくこのエリアで、生命が宿され魂が吹き込まれている‥だから尚更厳重な監視と警備が備え付けられているのであろう。
「じゃあ‥こうしている今も‥私たちの行動は全て把握されているって事……? 」
レイラは監視されている事を実感し、より恐怖心が強まり怯え切っていて彼女はビターギグルに抱きつく。
「とりあえずはウスマンさんの無事が確認できたのは良いけど、これからどうしよう」
ビターギグルはポツリ。
下手に行動が出来なくなり、他に見知ってるマスコットモンスターが居ないかの探索さえも出来ない。「そういえば‥シェリフ‥シェリフに【あの子達】の事、報告しないと‥」
レイラがそう心配していると、バンバンから「ああ、それなら彼奴らの相手をした後、君らのところに駆けつけていた途中で偶々ばったり会ったから俺の方から話しておいたよ、だからその内此処に駆けつけてくれるとは思うが……でもまさか、こんな事になるなんてね」
「でも‥…何だか不思議‥何でこんなにも誰もいないのかな、あの子猫の子も全然見当たらないし‥」
レイラはちらちらと辺りを見渡す。
「確かに不思議なくらいに静寂だ、よっぽど彼らは研究や実験で忙しいのか‥まあ此処で
立ち止まって居てもつまらないし、もう少し進もう」
バンバンがそう言った時、レイラは上の方に視線をゆっくりとやって監視カメラガある方を見つめた。
「あまり‥動くのは危ない‥かも」レイラはぼやく。「そうだね。だけど、君には俺と宮廷道化師も一緒にいる、何かあったら守るよ、此処から抜け出せないかの確認も必要だ」
バンバンはレイラを安心させる言葉をかけ、その後ちょっとだけ探索を進め‥「やっぱり、あのセンサーが動いてる‥此処から離れるなって……事‥?」
完全にこの閉鎖空間に幽閉の‥囚われの身となってしまってすっかり怯え切っている始末。
「どうやら‥そのようですね、やたらあのセンサーは我々を狙っている‥あまり無闇やたらに動こうとするのは危ないような気がする」
「我々……というよりも監視の対象は……【君】だろう、宮廷道化師や俺はついでの存在でしかない、此処に連れてきたのは、まあ深く闇を追求しようとした罰‥といった感じなんだろう」
バンバンはそう言う。
「や、やっぱり……私」
不安が混じるが、あの子猫【ハピープティ】が見当たらないので、その追跡ついでにその他にも以前から聞いていた『新型ジバニウムから成るマスコットモンスター』‥まあハピープティの仲間、そう思えば良いだろう。
話は少しずれるが、これまでと同じジバニウムと開発途中の新型のジバニウム‥一体どう違ってくるのだろうか、若干ではあるがそっちにも興味がそそされる。
「なんか……此処、ほんとに研究とか実験……専用っていう事が伝わって凄く‥怖い…触れてはいけない事が隠されてる‥感じ」
レイラは此処に連れて来られてからずっと定期的に怯えて居る、今度こそ自由が奪われ‥言わば【監禁状態】になっていて、それに加えて常に監視下に晒されているとなると、逃げ場が完全に塞がれたも同然でまるで‥見えない【鎖】に繋がれたように、逃げ場や逃げる手段など‥。
「あんな事があって更にはまた知らない場所に無理矢理運ばれたら怖い感情が先立つのも無理はない、けど君には俺も居るし、君の大好きな宮廷道化師だって傍にはいる、ほら傍を見てご覧」
バンバンは不安や恐怖に苛まれている彼女を慰めるために救いの言葉をかける、自分達がいる安心感を与える事によって彼女を孤立した気持ちにさせないようにするのだ。
「ウスマンさんの言う通りです、傍には私も居ます、もし不安に耐えきれなくなってきたら、私の自慢のジョークで貴方の心を笑わせてあげますから、遠慮なく」
ビターギグルも積極的にレイラの心を安心感させる事に徹している。
彼女が幼い子供だという事を理解している上での、だからこその行為だろう。
「ありがとう‥‥ギグル」
レイラはビターギグルにぎゅーっと寄り付き、顔を埋めてチラッとバンバンの方も見て、「バンバンも‥‥ありがとう」
レイラは冷静さを取り戻して足を進めた。
「やっぱり居ない……他の子達って‥‥此処には居ないのかな」
彼女は不安に包まれる。このエリアを散策し、彷徨っているが【プティ】にも、その他の仲間にも、出会す事が一切ないという、不自然な事象。
それとも、偶々居ないだけなのか‥?
このエリアは研究者らが実験や研究を行う為の関係者専用‥全てのマスコットモンスターを生み出している現場でもある。
そして、マスコットモンスター達にとっての住処とも言っても良い場所……な筈だが、彼女らの姿ガ一向に見当たらない。
そう思っていると、「あ…君ら……こんなところにも来てたの‥?」
とテクテク近寄ってきたのは‥、あの子猫。
「あ、プティ‥ちゃん、此処にって……君の仲間って‥ほんとにこのエリアに居る‥? 」
レイラはプティにそう質問した。
「……‥?ああ、居るよ。その前に何で君らは此処に、厳重体制で固めてるような場所に居るの‥?」
プティから今度は質問を投げられた。まあ、突然に起こったあの出来事に茫然と立ち尽くしてから状況が掴めてなかったし、彼女の問いはある意味自然な事だ。
「分からない…殴られて気を失って、そこから目を覚ましたら此処に居たから‥」
レイラは正直に此処に来た理由がはっきりしてないという事を旨を伝えた。
そう、全てが突然の事だったから……。
「ふーん、そっか。てっきり興味本位でまた勝手に足を踏み入れたかと思ったけど、パパの意向で強制的に連れて来られたって事‥か」
何やらハピープティはイマイチ此方の事を信用して居ないように思える。
「うん……そうだよ」
レイラは突然正気を失いかけたように、俯く。
その様子の異様さに気づいたバンバンは「?、どうしたんだい?」彼はレイラに目を向けた。と、彼女の異変の元凶を知っているビターギグルは彼とハピープティに説明するように、「レイラさんには‥片腕の方にだけ妙な注射痕があって‥それはどうやらかなり厄介なもののようで‥‥」
ビターギグルはそう説明し、記憶喪失を引き起こし記憶や意識操作の作用もあるという事も告げ…、「此処に連れ込んだのは私達の仲間として引き摺り込む為って事か、パパよっぽど君を利用したいのかな、それともー‥あのお方達の指示‥かな」
ハピープティはそう言い始めた、【あのお方達】とは……研究者らの事はパパと称して居た事から、それとはまた違う人物の可能性が高まった‥が、一体誰の事なのか‥。
「そうか、やっぱり君は実験体との認識されているみたいだね、優しい人だと思わせる為の演技だった‥だけど真実を追求しようと動かれたから随分と予定よりも早く化けの皮を剥がした‥そんな流れだろう」
バンバンはそう予測を立てた。まあ推測というより、ほぼほぼ確信付いている事のようにも思えるが、真意が定かではないから断定ができない。
「っ‥!!、頭が……痛い‥!」
彼女を襲う頭痛が強くなって割れそうな程に悪化しているようだ。体勢を低くして蹲る程に痛む頭痛‥、「死なないとはいえ、身体に悪影響が出かねないものを何の躊躇いもなく投与するなんてね。精神的な苦痛にまで追い込んで君の心を思うがままに誘導させようとしてるんだろうね」
随分と冷静な推察にプティは、「良くそんな事が直ぐに分かるね、かなり優れてる‥まあヒトゲノム入りなら脳の性能が他より高いのは普通だけどさ」
と驚いてる様子のプティ。
「…………っ‥!……、少し痛みが治まってきたかも‥」
「ほっ……良かった」
「それにしても、君ら二人はほんとに相性が良い。そんなに仲良くなれてるのは、とても珍しい事だ」
バンバンはそうぼやいた。
バンバンファミリーでも、そういう枠組みにいるだけで実際お互いに関係が良好かと聞かれればそうでもないらしい。
現にバンバンとスティンガーフリンは非常に不仲な関係なのはもうご存知だろう、だからこそ尚更、人間と【化け物マスコット】との共生は類にみないし、襲わずに良好な関係を保ててる事自体が異例な事だという。
「それで……どうするの‥?他の子に会いに行くなら案内するけど、まあそうしたら君が危ないかもね私の仲間‥凶暴な奴が多いから、だから設備や構造が厳重に此処はされてるの」ハピープティはそう彼女らに忠告した。
「そ、そんなに危険な子達ばかり‥なの?なんか凄く‥注意書きとか看板‥とか【危険区域】って書かれてるのは何回か見かけたけど」
「うん、そうだよ。まあ君も何はそう遠くない未来にこうなる末路を辿る計画は崩せない‥だから顔合わせくらいはしてみても良いかもね、どうせ此処には君の知り合いの仲間は居ないだろうし」
彼女からこう告げられた。でも此処に束縛されている事には変わりないし、何よりバンバンらとは違い、敵対心も凶暴性も高いとなると、幼い子供である彼女にとっては不安な気持ちの方が競り上がる。
「皆んなにはもう会えないの‥?」
彼女が言った『皆』とはバンバリーナやスティンガーフリン、ジャンボジョシュらの事を言っている。まだ彼らと共に過ごしたのは一晩だが、それでも安心感を得られて居た。
だからこそ、今更なが寂しい気持ちもある。
「皆んな‥?ああ、彼らの事か、しばらくは会う事が叶わないだろうね。奴らが気を利かせて此処にクラゲ 達皆んなを移動させて居たらそれは分からないが‥誰か他に、此処に連れて来られるのを見たりしてないかい‥?」
バンバンはそうハピープティに質問した。
「さあ……知らない。特に見てないけど‥ま、じゃあ此処は好きに過ごして、ああ‥これだけは忠告しておくね、くれぐれも『殺されない』ように気を付けてね」
ハピープティはそう助言を残して一先ずは何処かに歩いて行った。
「…………此処の空気、やっぱり嫌だな、ずっと‥変な感じ‥」
また途端に彼女は不安に押し潰され、恐怖心が湧き上がってきた、よほどあの襲撃の事が頭に残っていてそれに知らぬ間に投与されていた薬、それらの事が重なってしまい、今や興味や好奇心なんかよりも、何よりも怖さに敏感な状況にある。
「大丈夫だよ」
ビターギグルは彼女をぎゅっとハグをして安心させる。
「とりあえずは……どうする?探索はこれくらいにして、見たところ、あの場所へ戻る通路もありそうにない、君の居場所となる部屋は‥」
バンバンは周囲を軽く見渡すも、彼女専用の部屋はなく、幽閉す為や実験用の子供などを隔離しておく、どう見ても闇しか匂わない妙な部屋しかこのエリアには無い。その他にも怪しい実験室や【裏】の現実が辺りには広がって居た。
「あら、貴女が……ウスマンが言ってた女の子‥ね。駄目じゃない、勝手に歩き回ってもらうと脱走されかねない、だからもっと厳重なした方が良いって言ったのに‥はあ」
とある一人の女性研究者らしき人はそう不満をこぼす。
※この人物もウスマン・アダム同様にかなりキーとなってくるが、今は敢えて名前は伏せておく。
「えっと‥?」
レイラはこの人が一体誰なのか、全く知らない人物との遭遇に浮かない顔をする。
「レイラちゃん……だったかしら?此処はどう、退屈はしないから最高の天国でしょ?幼い子供にとって【終わらないひと時】‥、今居る此処は子供を隔離するシェルターのような場所だけど‥」
「貴女‥は誰なの?、ウスマンって‥?」
彼女は目の前にいる女性に対して正体を明かすように言うが、その女性は自身の正体を明かす事なく、「私の事は良いの‥、レイラちゃん。それより、大人しくしておいてくれる?貴女は来る時が来るまで‥暗い、そして誰も助けに来ない、暗闇で束縛され‥繋がれて待っててもらうわ」
「え…………」
レイラは怖くなり、怖気付き後退る。「いや……ずっと暗いとこに‥居なきゃいけないのは‥怖いよ」
レイラは恐怖心が絶頂に達し、涙目になって身震いも。
「大丈夫よ、言う事をちゃんと聞いてさえくれれば貴女には手荒な真似はしない‥そう誰かからか言われなかった?」
女性からのこの問いに彼女は震えながらも何も言わずただ、頷いた。
「まあ、もう一度眠ってもらう事には変わりないけど‥ 」
その女性は片手に注射器を握って居た、恐らく睡眠剤入りの。
「また彼女に何か入れるつもりなんだね」
「これ以上手を出すのはやめた方が良い、君らは彼女に死なれたくないのでしょう?なのに何故そんな事ばかり」
バンバンとビターギグルは阻止する。
「計画実行の為…彼女には大人しくして貰わないと此方としては困るの、新型ジバニウムの完全体を作り出すのにはまだ途方もない時間がかかる、それまでは貴女はもう知ってる筈‥此処が貴女の‥.唯一の居場所となった事を」
その女性はそう言い、ゆっくりと近づき……気が付けば視界はゆっくりと閉じていき、身体も力が抜け……、「貴女のお友達はちゃんと連れてきてあげるから大人しく寝てなさい、レイラちゃん」
彼女は此処にやってきて、地下に降りた事によって災難ばかりに遭い、地下へあの時降りなければ……こんなには。そんな事を薄れゆく意識の中で思い返す。
闇の更なる奥地へ誘われた。
「‥…………ん……ん」
「じゃあ【逃げられない】この部屋で終わらない永遠を過ごすと良いわ、来る時が来るまでね」