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⚠ 青黄
⚠ 海 ,
「お〜、海綺麗だねえ」
ころちゃんが、そう言った。
☆═━┈ ★═━┈ ☆═━┈
「今日僕海に行くんだよね」
今は動画の撮影が終わり、この後もう一本取るから休憩中。 近くにいたスマホをいじってるさとみくんの隣に座ってそう言った。
「へー、るぅと海行くんや」
「うん!海って良くない?」
そう言う僕にさとみくんは まぁまぁまぁ と適当に返した。久々に聞いた、それ。
その会話を近くにいた莉犬に聞かれてたようで るぅちゃん海行くの!と話しかけてきた。
「うん、ちょっと海見たくなって、」
「へ〜!いいねえ、海か〜!」
莉犬がわくわくとした表情を浮かべている。
「俺トイレ行ってくるわ」
そう呟いたさとみくんに 俺も行く!と莉犬が追いかけて行った。あの二人仲良いよね。
…僕が、海に行く理由。
特に理由がある訳では無い。ただふと海が見たくなって、息抜きにでも行こうかと思った。夏だと人が多いし まだ肌寒いけど 足浸かるぐらいならしてもいいかなって。
あわよくば_________
「るぅとくん」
聞きなれたガサガサした声のヤギさん。
「あ、ころちゃん。どうしましたか」
そう言うところちゃんは 僕も海連れてって と僕を真っ直ぐに見て言った。珍しく真剣だ。
「えっと、なんでです__ 」
「いーから、連れてけ」
そう言われて、渋々OKした。まあ、いっか。
そして今、時刻は8時だ。 撮影が終わってクタクタだけど 海を見に来た。もちろんころちゃんもいっしょで。本当は置いてこうかと思ったけどあの会話から僕に付きっきりだったので逃げれなかった。
「あ、貝殻。」
砂浜には白い貝殻が落ちていた。 夜の海もキラキラしてて綺麗だけど、貝殻の白さには叶わないな。うん、真っ白って綺麗だな。
ころちゃんが僕のところに来たので この貝殻綺麗じゃないですか? と見せたら うーん と考え込まれた。 綺麗って言えばいーのに。
そして僕は海に近いところにいた見たいで しゃがんで貝殻を拾っていたので 右の足らへんが濡れていた。海は意外に冷たくて、でもその冷たさが気持ちよくて。 足湯みたいな感じで足だけを海に浸からせた。 うん、寒い。寒いけど、ひんやりして 何だかいい感じ。 そうしているところちゃんが隣にしゃがんだ。
「 __ねえ、るぅとくん」
「どうしましたか?」
「 海に来て、死のうとか思ってないよね」
単刀直入に 死 という言葉を言われて 少し気まづく思う。 まあ、その考えが無かった訳では無い。少しだけ、本当に少しだけそう思ったけど 本当に海が見たかっただけだ。
「海が見たかっただけですよ。」
そう返した。
「…そ」
ころちゃんは波の小さい海を見つめていた。
波小さいし、もうちょっと海に入ろうかな。
そう思い 立ち上がって足を進めた。
ああ、足元が冷たい。なんだか 足元の感覚が無くなっていってる気分だ。
べつに苦しくない、楽しい毎日。
大切な家族、メンバーと リスナーさんと 支えてくれるスタッフさん、周りの人達。 僕は支えられて 毎日充実して生きている。やりたかった音楽も出来て 歌も作れて 提供出来て。
なんて幸せなのだろう、と思う。
でもやっぱり消えないアンチの声 日々増える僕の大好きなすとぷりへの嫌がらせや意見、誹謗中傷。 大好きな音楽を上手く作れなかったり 間違った決断をしてしまったり そんな些細なことで 僕らは簡単に死にたくなる。
ああ、このまま波に攫われて_____
「させねえよ」
僕の左腕をグッと掴まれた。僕より細くて白い手、うん、ゴツゴツしてない。これはころちゃんの手だ。そう思って後ろを振り向く。
そこには怒ったような、悲しいような、よく分からないころちゃん。ねえ ころちゃんは何を考えてるの?怒ってるの?どうして。
ふと足元をみると、だいぶ波が大きくなっていた。あれ、いつの間にここまで来たのだろう。人間というものは 何か一つのことをしていたらもう一つに手が追えなくなるらしい。
色んなことを考えていたら 勝手に足がここまで進んでいた。もう腰まで波が来ている。
「とりあえず、海上がんぞ」
そう言われて、腕を引っ張られる。
「あの、もうちょっとこうしてた__」
「ダメ。」
即却下された。もう少し 海に浸っていたかったけれど ころちゃんはダメらしい。
僕らは会話を交わすことなく ころちゃんに引っ張られるがまま 砂浜に上がった。
そして砂浜に上がった瞬間、ころちゃんに抱きしめられた。僕は一瞬何が起こったのか分からなかったけれど ころちゃんが僕に抱きついてると分かって どうしたんですか?と聞いた。
「バカ…死ぬなよ、バカ」
ころちゃんが半べそでそう言ってきた。
「べつに死のうとして無いです」
「ハァ!?」
うわ、耳元で大声出された。耳が。
ころちゃんが離れたて僕の手を握った。
「じゃあお前なんであんな深くまでいったんだよ」
「それは〜… 魔が差しました」
「ほら、死のうとしてるじゃん。 …あのさ
お願いだから、死ぬなんて言うなよ。」
“るぅとには、生きて欲しい”
そう言われて 僕は思わず 無理だ と言った。
「…なんで、なんで…?」
「だって、僕は… 僕には何もありません。
音楽が出来るっていったって めっちゃ才能がある訳じゃないし 万人受けしないし 僕じゃなくても音楽担当は出来るし 僕じゃなけりゃ がずっと…ずっと、分からなくて。
…ねえころちゃん、僕って要りますか。」
これこそころちゃんがいう メンヘラ だ。
僕ってやっぱりメンヘラなのだろうか。そして僕はやっぱり 認められたかったらしい。
リスナーさんに愛された毎日だけど その愛を直接感じられるのはイベントだけ。 やっぱり僕は リアルでの愛が欲しい。
「ころちゃん…僕のこと、好きですか…」
僕はもう泣いていた。泣きながらころちゃんをみつめた。
そしたらころちゃんに、ドンと音を立てて
いきなり砂浜に押し倒された。
「このアホ…なんで僕がこんなにるぅとのこと大切にしてるのに伝わらないわけ!?
______大好きだよ!!るぅとのこと!!」
泣きながらそう言われ 心が暖まる。
「ありがとうございます、へへ、うれし__」
ちゅっ。
夜中の海の空気に リップ音が響いた。
「…へ?」
僕は思わず、自分の唇を触った。
今、ころちゃんに……ぼく…
「…わかんない?これ、キス。」
「いや、分かりますケド..」
「僕は、君が好きなんだよ」
ころちゃんにそう言われて、好きを想う。
好きは 暖かくて 甘くて 時にドロドロしてて意外と重い、そして甘酸っぱいもの。
ころちゃんは 本当に僕を好きなのだろうか。
「ほんとに?ほんとにすき?」
「ほんとに好きだよ、ほんと」
噛み締めるように言われて 手を絡められる。ころちゃんのその優しい眼、僕好きだな。
「返事とか、要らないから
…一緒にいようよ」
ころちゃんと一緒に居るの、僕好き。 いつも振り回されるし振り回しちゃうし なんだかんだ優しいし 面白いし。 そんなころちゃんと居ると 笑顔になっちゃうんだよなぁ。うん、ころちゃんのそばにいれるならいいかも。
「…うん、一緒に、いてください」
ころちゃんが僕の手を強く握った。
「ぜってー離さないから」
僕たちらしいのか、らしくないのか。
月明かりに照らされて 一緒にはにかんだ。
🏝
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