前回の続きではありません。申し訳ないです……
死ネタ
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あたし、初めて人と、キスをした。
屋上で、ただ、のんびりと過ごしていたの。
そうしたらあたししかいなかった屋上のドアががちゃり、と空いた。
包帯ぐるぐるまきの、髪の長い女の人。
その姿に、一目惚れしちゃった。
そうしたら、その人が、ふらふらとあたしの元に近づいてきて、こういった。
「ふふ、屋上に人がくるなんて、久しぶりな気がする。ねぇ、おなまえは?」
心から、じわりじわりと暖かくなる声にあたしはすぐに口を開いた。
「なかはら、中原中也。あんたの名前、教えて。」
そういったら、その人は紙を取り出し、さらさらとペンで名前を書き始め、あたしに渡した。
“太宰治”そう書かれてあった。
「だざい…おさむ……」
どこか馴染みのある名前にもやもやしつつも太宰はあたしにこういってきた。
「ねぇ、ちゅうや。キスは、したことある?」
突然のその質問に、あたしは一気に顔が赤くなった気がした。
その様子に太宰はふふ、と笑い。
「きす、したことないんだね?ちゅうや。ふふ。わたしが、とくべつに、教えてあげるよ?」
その提案にあたしはびっくりした。
一目惚れした、女の子とのきす。
男子がこの提案をされたら、すぐにOKを出すだろう。
でも、なんだか太宰は、提案した側なのに、何処か物寂しそうなオーラを出していた。
「どうする?しないの?中也のことだから、一生ハジメテのままで終わっちゃうよ?」
そう挑発されたら、のるしかないじゃん。
「き、きす……する………」
そう小声で言う。
「ふふ、じゃあ優しめで、いくね。」
太宰はあたしに近づいてきて、頬に手を添える。
少しずつ、太宰の顔が近くなる。
ちゅ、
太宰の唇がかさなる。
初めてのきすは、甘くて、ちょっぴりかなしい。
「どうだった?ハジメテの、きす。不思議な感じでしょ?」
終始、ぽやぽやしてて、このぐらいの言葉しか覚えてないけど、ほんとうに、不思議な感じだった。
多分、あたし、太宰を置いて屋上から出ていったから、明日も会えるかわかんないや。
会えたら、次もきすしたいな。でも、太宰はそれについて、どうおもってるんだろ。
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次の日、女子中学生が飛び降り自殺した、っていうニュースが流れてきたの。
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太宰治、
その名前を、呼ぶアナウンサーの声。
ぁ。
声が、漏れる。
初めての、きす。そして、初めての、初恋だった。
そして、初めての、失恋だった。
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コメント
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初コメ失礼します! お話の書き方とか綺麗でどろっとした表現とか全部大好きです! それに私の癖にぶっ刺さり…✨️ 陰ながら応援してますっ!