夏休みが始まった。
今日は大会2日目。
女子は午前から、男子は午後から。
昨日は無事勝ち残り、2日目も来ることができた。
「ありがとうございました」
「すいませんアドバイスもらえますか」
相手の子が息を切らしながら私達に声をかけた。
「読める動きが多かったかもしれないです、、あ、偉そうにすいません、、」
空が少し焦ったように言った。
「いえ全然!たしかにお二人全然動き読めなくて困りました」
「、、もっと、性格悪くっていうか」
バドミントンは性格の悪いプレーほど強い。
「これされたら嫌だろうなってことをしたら更に強くなると思います」
「そうそう、顧問にも意地悪い方が勝つってよく言われます」
「わかりました!ありがとうございます!」
相手ペアは頭を下げて戻って行った。
「紫乃ちゃん空ちゃんおつかれさま〜!」
部員の人たちがタオルと水筒を持ってきてくれた。
「よかった、とりあえず今日1勝できて」
「うん、でもちょっと危なかったね」
読みやすい動きではあったものの、スマッシュやクリアひとつひとつの技術が高くて体力を削られた。
私と空以外にも、シングルス2人、ダブルス1組残っている。
「次当たるの、△△北か◼︎◼︎南だよね」
今からその試合が始まるようだった。
「△△北かなあ、きっと」
「、、きついね」
△△北には県大会シングルスベスト4常連の子がいて、以前団体戦で私がシングルスだったときに一度当たったことがあったがもちろんボロ負けだった。ダブルスでは私も空も当たったことはない。
「でも綾ちゃん由奈ちゃんペア一回そことダブルスで当たって勝ったことあるわけだし!」
「そうだね、空今日調子いいしね」
「でしょ!ばっちり仕上がってる!」
同じ2年の綾と由奈のペアも残っている。△△北と◼︎◼︎南の試合も気になるけど、今からその二人の試合のため応援に行く。
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「ポイント17-14です」
予想通り、上がってきたのは△△北だった。
1セット目は21-17で私達が取ったが、2セット目では14-21で相手に取られた。 急に相手の調子が出てきた気がする。
サービスオーバー15-17、サービスオーバー18-15と続く。あと2点で相手のマッチポイント。
「、、っごめん」
アウトかインかわからないギリギリの玉はもう打つしかない。ジャッジミスで落とすわけにはいかない。
やばい。絶対来る。
どこに来る?
「、、!!っ」
「あぁーっどんま、、あっアウトアウト!」
線審はアウトサインだった。
「「ラッキーラッキー!!」」
サービスオーバー16-18。
今の、インでも絶対取れなかった。
サーブ、シャトルを持つ手が震える。
「紫乃お願い!!」
ここで落としたらまずい。
しかしラケットは空を切った。
「サービスオーバー19-16です」
「はぁ、、ごめん、、」
空は大丈夫大丈夫と言いながら私の背中を叩いた。
「幡中さん焦んなくていいよ!!」
女子部員の応援の中から、男子の大きい声が聞こえた。振り向くと男バドの人たちがいた。
「幡中落ち着け!まだいけるから!!」
「そうだよ二人とも!大丈夫!!」
バド部のみんなの声が聞こえる。
空はいけるよ、と笑ってラケットを上げた。
まだいける。
「「「 ナイス!!!!!」」」
「サービスオーバー17-19です」
なにがなんでも取る。コートの端から端まで走っても。
ポイント18-19、ポイント19オール。
どんどん拍手が大きくなる。
「ポイント20-19、マッチポイントです」