テラーノベル
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ゆり組( 左右 関係なし )
全年齢
学生時代 、 捏造設定。
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「 今日、江戸川区では、昼頃から にわか雨が降るでしょう。」
朝のニュースは 毎日 見るようにしている。 ルーティーンみたいなものだ。 梅雨の影響で 最近は 突然の雨が多い。 難しいことは分からないけど、 ゲリラなんたら 、みたいな やつだ。 多分。
「 やべ! いってきまーす 」
気が付けば もうバスの時間で、 走って家を飛び出す。 折り畳み傘は、 玄関に置いていった。
最後の授業の 終了を知らせる鐘が鳴って、 学校が 賑やかになる。 いつもより うるさいな、 と 思って 窓の外を見ると、 昼間の 晴れが 嘘みたいに 雨がすごい 強さで 降っていた。 土砂降り という言葉が 良く似合う。
クラスのヤツらは 「傘もってきてないよー」「部活休みだ!」なんて 口々に 言っている。いつもなら クラスのヤツらと 無駄話しながら 購買に行ったり するんだけど、 今日は雨だから、 まっすぐ 学校を出る。 昇降口に 出ると、 やっぱり居た。
宮舘涼太。 俺の幼馴染的な… まぁ、腐れ縁だ。凛とした 立ち姿に 似合う 黒髪と、 ふっくらした 唇。 手には その姿には 少し浮いて見える クリアな 大きめの ビニール傘を 持っていた。
「 帰ろうぜ 」
ぶっきらぼうに そう言った。 小っ恥ずかしくて、 あんまり上手く 話しかけられなかった。 長い月日が、逆に俺らの距離を 広げている。会うたび、 会うたび 、親戚に会うみたいに 少し緊張する。 軽く 背中を叩くと、 そいつは こっちを 向いて、 少し笑った。
「 … うん。 そうしよっか。 」
優しく俺に 笑いかけて、 大きめの傘を 軽快に 広げた。 それを頭上にさして、 土砂降りの中へ 歩いていく。 その傘に俺も入って、 雨音の中に 紛れていく。
俺達は、雨の日の 帰り道だけ、 一緒にいる。 だけって言うのは 言い過ぎだけど、 その他の時間は ほとんど会わない。登校も別々。 クラスも別々。 でも、 雨の日の帰り道だけは、 いつも一緒だ。
ことの発端は、 俺が傘を忘れた 日だ。 中学に 入って、 すぐの、急な夕立の日。 俺は 折り畳み傘なんて 持ってるわけなくて、 ずぶ濡れになりながら 家に走っていた。 その時、 ぬかるんでいた道に 足を取られて、 滑って転んでしまった。 膝を擦りむいて、 雨水が 傷にしみて、 少し痛かった。 その日、 好きな子に フラれたってのもあって、 雨に紛れて 涙が 頬を伝った。 中学生 なのに、 みっともなく泣いた。 道端に 座り込んだまま、 声を 押し殺して 。 しばらくすると、 体を 雨粒が叩く 感覚が急になくなった。 やんだかな、 と 空を見上げると、 まだ 曇天。 目の前には、 見知った 男の顔 があった。
「 風邪ひく…………… ッて、 泣いてる? 」
少し驚いたような 顔をして、 傘を差し出している 涼太だった。
「 泣いてねぇ、 ってか、 なんで? 家こっちじゃないじゃん、 」
「 走ってくの見えたから、 ちょっと気になって、 」
「 はぁ? 何それ、 」
「 なんで泣いてんの、 」
赤い目を 擦って、 立ち上がって、涼太を見た。 その時の 心配そうな、 不思議そうな 顔をした 涼太が 未だ忘れられない。
「 だから 泣いてないって、 」
「 うわ、 痛そう。 早く手当しなよ、 」
怪我に気がついた 涼太は、 俺の手を引いて 歩き出す。 手が暖かかったのか、 濡れなくなったからか、 傘の中が 凄く 温かくて、 心地よかった。
その後のことは あんまり覚えてない。でも、 それから 俺達は 雨の日だけ 一緒に帰る ことに、 なんとなくなった。 別に約束をする訳じゃないけど、 なんとなく 待ってんだろうな、 来るんだろうな って わかる。
会っても 話すことなんて 少ない。 先生の話とか、 テストの話とか。 適当な世間話。無言の時間も 少なくなかった。 でも、 不思議と 気まずくなくて、 むしろ そっちの方が 居心地良さそうに する涼太を見てると、 こっちも安心できた。
しばらく歩けば、 俺の家の方が 先にある。 そこまで送ってくれて、 手を振って さよなら。 これだけだ。 去っていく 涼太の 背中を見送って、 自分も 家に帰る。 特に 特別な何かもない。 別に、 腐れ縁の、 男同士の、 ただの友達で、 ……
次の日の朝、 屋根を雨水が叩く音で 目が覚めた。 時計の針は 朝 5時。 起きるには早すぎる。 二度寝しようと 布団に包まって、寝返りを打ってみる。 でも 雨音が やけにうるさくて、 どうしても 寝ることができなくて 仕方なく 体を起こして リビングに向かう。 まだ 親も寝てるみたいで、 静寂に包まれた 家に、 雨の音が 鳴り響く。 低気圧のせいか、 妙に気だるい。 シャワーを浴びて、 制服に 袖を通して、 スマホを ソファでいじっていると、 あっという間に 2時間がすぎた。 もうそろそろ 出なきゃ行けない時間だけど、 親が起きてこない。 ご飯抜きで行くか、 と 玄関に向かっていると、 母親が 起きてきた。
「 遅かったじゃん。 俺もう行くから 、 」
そう言うと、 母親は ぽかんと した顔をした。
「 今日土曜でしょ? なんで制服なんて 着てるの? 」
「 は? 何言って… 」
「 今日、土曜日よ? 寝ぼけてんのかしらね、 」
慌てて スマホを確認すると、(土)の表示。 普通に平日だと思ってた…
「 ほんとだ、…… 、 」
「 疲れてんなら 早く寝なさい 」
そう言って キッチンに向かっていった 母さんの 背中を 数秒みつめて、ネクタイを解きながら 自分の部屋に もどった。 ベッドに 体を沈ませて、 目を擦る。 いつもなら こんな事ない んだ。 学校は サボりたくなる時もあるし、 休みを楽しみにしてるはずなのに。 なんでだろう。
また 雨音が大きくなる。
そういえば今日は雨だ。 昨日も雨で、 ……
浮かんだ考えを 誤魔化そうと 寝返りを打った。 でも 雨の音で やっぱり寝れない。 こんなに大きい音なら、 台風的な あれなのかもしれない。 やけに大きい。 こんな に 大きいことあるか、? 何かおかしい。
急に咳き込んだ。
胸に手を当てると、 強く脈打っていた。
さっき振り払った 考えが また浮かんでくる。
「 涼太に会いたかった 」
そんな 恥ずかしくて ダサい 気持ち、 認めたくなかった。 顔が熱い。 布団を被って、 無かったことに しようとした。 でも 更に 雨音…… 、 心臓の音は 頭に響いて、 また寝れない。
いつからこんな ダサくなったんだろ 。 だって 彼奴は 友達で、 … 男で。
女々しい自分に 嫌気が刺して、 布団から 出て どこか行こうと思って 制服 のまま 雨の中に 飛び出した。ワイシャツが濡れて、 肌にまとわりつく。セットした髪も 靴も 肌も 全部濡れて、 気持ち悪い。 でもその感情が 嫌な 自分を 隠して、 雨が 気持ちを 洗い流して くれる気がした。
少し走ろうと思って、 水溜まりを 蹴って 走り出す。 なかったことになれ!! 会いたいとか 好きだとか、 全部気のせい!! あいつは友達。 ただの友達 !!
普段走らないから すぐにばてて、 足が止まった。汗と 雨が混じって 頬を流れてく。 あぁ、 この感覚。 数年前と同じだ。
あの いたたまれないような、 気持ちが 消化できなくて 喉の奥から 声が漏れるような、 あの感覚。
「 好きだなぁ、 … 」
わかってたんだ。 薄々、 もっと前から。
雨の日 が 少しだけ楽しみで、 梅雨はちょっと 浮かれた気持ちになってた。 隣にいる 涼太を見る度、 胸の辺りが つっかえて、 変な気持ちになってた。 触れると 少し顔が熱くなる。 学校で すれ違うとき 微笑んでくるあいつに ドキマギしてた。 全部気付かないフリしてた。
さらに雨が強くなる。 流石に 風邪引くな、と思って 踵を返し、 家に戻った。 母さんに 驚かれて、 タオルで 髪を拭かれる。
「 …… どうしたの アンタ、 目、 」
「 え? 何、 」
「 … ううん。 なんでもない 。 」
シャワーを もっかい 浴びて、 その日は何もしなかった。 することが無いし、 遊ぶ相手も 大していない。 じゃあ 宿題しろよ、とか 涼太なら言うんだろうな。
あ”ーー!!! 何してても 頭の中に 付き纏ってくる!! さっきまでの 気持ちは いつの間にか怒りに 変わってて、 アイツに苛立ってくる。
ムカつくムカつく!! あの余裕そうな笑顔も、 スポーツが 大体なんでもできちゃうとこも、 ちょっと 尖ってて、 靴は指定のやつ じゃないの履いてるとこも。 なんか ムカつく !
そんな調子で 一日が過ぎていった。 夢であれ。 って念じて 毛布にくるまって 寝た。
あれから 1週間。 帰りに 雨が降ることはなかった。 涼太とは ずっと 話してない。 LINEも あるけど、 わざわざ 話すことも無い。
っていうのは 言い訳で、 本当は 俺が 避けてたのかもしれない。 廊下で すれ違う時も アイツの顔が 見れなくて、 目を逸らしちゃうし、授業中も 気付けば あの 笑顔で 頭がいっぱいだ。
気持ちは変わらないままだった。 気のせいだって 自分に言い聞かせてみても、 アイツを 見たら 顔が強ばって、 上手く笑えない。 俺に 告白してきてた 女子って こんな気持ちだったのかもなぁ…… 、
天気予報は、 テレビで見てたけど スマホのやつ にした。 この先 1週間も 雨はない。 多分 神様が 俺に 考え直せって 言ってるんだ。 多分そう。
ザァァ ……
月曜 の 6時限目。 予報は大外れ。 ありえないくらいの 土砂降りだ。 スマホには 大雨注意報の 通知。 あの 天気予報サイトはダメだな。 朝だって 曇ってたし、 なんか 予感はしてたんだよ。 降るかもな ~ って。
6時限目が終わって、 帰りのホームルームが 終わって。 学校が 騒がしくなる。 雑踏の中、 人をかき分けて 昇降口に向かう。 無意識に 駆け足になって、 人をどんどん追い越していく。
こんな早く行っても 居ないかもしれない。 傘持ってないかもしれないし、 他の友達もいるだろうし、 委員会とか、 部活とか。 いない理由なんて いくらでもある。
昇降口を 出る。
そこに あいつの影は 無かった。
息が切れて、 鼓動が早くなってる。 走ってきたからだろう。 周りを 見回しても どこにもいない。 まぁ、そうだよな。
こんなに あいつのこと思ってるけど 、 アイツは 俺のことなんとも思ってない。 普通の友達だ。 この一週間ちょっと、 あいつのことで 頭がいっぱいだったけど、 あいつからしたら 普通の一週間。 何ともない、 平凡な 一週間だ。 ひとりで突っ走っても あいつの気持ちが こっちに向くことはない。
また 雨の中 走り出した。 自分は 傘も持ってないし、 相合傘 してくれるような 友達も 恋人も、 あいつ以外に いない。 水溜まり を 蹴って 水飛沫が 自分の 制服に 掛かるけど、 そんなの気にしない。 何かを振り払うように 腕を大きく振って、 無我夢中で 走った。
気付いたら 知らないとこにいた。 この間なんて すぐにバテたのに、 次は 知らない所まで来てしまった。 なんだここ…… 近所、 なんだろうけど。 来たことないところだ。 迷子とか いくつだよ。
踵を返して、 来た道をもどってみようと した瞬間、 目の前に 強い光と 人影。
気付いたら 地面が 顔のすぐ横にあった。 その後から 体に痛みが 走る。
「 いってぇ…… 」
目の端に さっきの人影が見えて、 そちらを見ると、 ここら辺の中学の 制服が、 自転車に乗って 走り去っていった。 人を撥ねといて ごめんなさいもなしかよ。ふざけんな。 って思ったけど 走って疲れたせいか、撥ねられたせいか、体が上手く動かない。とんだ災難だな。
やっとの思いで 身体を起こして、 制服が破れてないか 確認する。 幸い 破れてはいなかった けど、 右膝の辺りが 少し 擦れていた。 ズボンを捲ると、 やっぱり擦りむいてた。 赤い血が めくれた皮膚と 肌に滲んでる。
痛い。 辛い。 悔しい。
何が?
怪我? 撥ねられたこと? 中学生が 逃げたから?
「 … 、 」
雨が 頬を伝う。
座ったまま、 動けなかった。 しかも 道の真ん中で。
何してんだろ。 雨の日に。
嬉しいはずの、 雨。 ずっと 待ってたはずの、 雨。
今は 俺を 責めるみたいに 強く 体を打ち付ける。 いつもは 俺たちを 包んで、 優しい 音を立ててるのに。
もっと温かいのに、 今日はやけに寒い。 寒い。
急に雨が止んだ。 雨音はするのに。 それに、 なんだか 暖かい。 振り返ると ずっと探してた 顔が あった。
「 風邪引く…… って、 泣いてる? 」
あぁ、 やっぱり。 こいつに 俺は 敵わない。 いつだって 大事な時に そばに居てくれる。 だから、 俺は こいつが ……
「 …… 好き、 」
面食らったみたいな アイツの顔。 さらに胸が 締め付けられる。 何言ってんだろ。 こんなこと言ったら 一緒にいられなくなるかもしれないのに。 気が付いたら 口から零れ落ちていた 本音。 もう少しちゃんとしたシチュエーションで、ちゃんとした服で、ちゃんとした覚悟で伝えていたら、 涼太の 返答も 少しは変わったかもしれない。
雨水が前髪から滴って 顔に落ちる。 ツゥ、と肌の上を滑って 地面に落ちた。 傘を叩く雨音が 少し小さくなった。
「 … 一旦 俺ん家来て。 」
強引に 手を引かれて、 立ち上がらされて、 涼太の 家に連れてかれた。 途中、何も喋らない涼太に、 怒っているような 気配を感じてしまう。 嫌だったかな。 俺の手を掴んだ 手に 力が込められていく気がした。
涼太の家に着くと、懐かしい 匂いに 包まれて 、 玄関だけど なんだか 居心地がいい。
「 ほら、 風邪引くから、 」
タオルを差し出されるけど、 受け取れない。 ぼーっとして、 何も考えられない。
「 …… はぁ、 」
痺れを切らした 涼太が 俺の髪を タオルで拭く。 少し 困ったように 眉尻が下がってる。 口は 半開き。 気が抜けてたり、 集中しすぎてると いつもこう。 いつも通り間抜けた 顔をしている こいつを見てると、 なんだか 安心できちゃって 頬が緩む。
「 … 何笑ってんの 翔太。 」
「 別に 笑ってない。 」
「 笑ってんじゃん。 泣いたり笑ったり 忙しいね。 」
「 泣いてない。 」
「 泣いてたじゃん。 」
数年前と同じ。 体も心も 大人になったけど 言うことは同じだった。
「 何、 また女の子にフラれたの? 」
「 違うわ。 アイドルの卵だぞ こちとら。 」
「 はいはい、 … じゃあ どうしたのさ。 」
手が離れて、 タオルだけが 頭に残ってた。 それを 取って 肩にかける。 どうしたのさ。って 言葉に、 すぐには答えられなかった。 ホントのこと言ったら 嫌われるかもしれない。 でも さっき 好きって言っちゃったし。 誤魔化すにしても どうしたらいいのか…。
そんなふうに 迷ってたら、 先に 涼太が 口を開いた。
「 はい、 スマホ。 落ちてたから、 」
「 … どこにあったの? 」
「 校門の近く。だから、まだこの辺りに いると思って。 」
走ってる途中で 落としたのか、 俺のスマホを 涼太が持っていた。 そういえば、 なんであそこに 涼太はいたんだろう。 昇降口には いなかったのに。
涼太の 指先が 俺の前髪を 掬って、 横に分ける。
「 校門出たら 走ってく 翔太見えたから、 追いかけたんだけど、 追いつけなくて。 それで 見失っちゃったんだけど、 これ落ちてたから ここら辺にいるなって 思って…… で 見つけたら あんな感じだしさ。 びっくりした。 」
「 なんで追いかけたの。 」
「 傘もってなかったから。あと、… 」
「 なに、 」
「 なんか 辛そうな顔してたから。 」
こいつには なんでもお見通しなのか。 それも またムカつく。 優しく 口角を上げて 微笑むみたいに 笑った顔を見て、 顔が強ばる。 恥ずかしくなって 目を逸らして、 髪を触ってた 涼太の 手を振り払った。
俺の気持ちも 知らないで 俺に そうやって 優しく微笑むのが むかつく。 俺より 友達も多いし、 優しさの中にある ヤンチャなところが 危なっかしくて ほっとけなくて、 それでいてかっこいい。 いっそ嫌いになれたら。 もっと違う 関係だったら、こんな辛い思い しなくても済んだのかもしれない。
「 ねぇ、 翔太? 」
優しい声がした後、 返事しようと思ったら 口が開かなかった。 視界が あいつの顔でいっぱいになってる。 首の後ろに 手が添えられて 、 逃げようとしても 逃げられない。 唇が、 唇と触れる感覚。
「 … 好き。 俺も 」
息がかかる 距離。 唇は 離れたけど、 近すぎて 顔にピントが合わない。 いきなりのこと過ぎて 頭が回らない。 顔が熱い。 心臓うるさい。 涼太の息、涼太の匂い、 涼太の声。
「 っはは、 何その顔。 ウケる。 」
パッと 離れて 涼太が笑う。 バカにするみたいに こっちを指さしながら。 数秒 ローディングして、 なんか 無性に 腹が立ってくる。
「 お前がやったんだろ! 」
「 だって 好きって言ったじゃん、 俺のこと。 」
「 い、言ったけど、 なんで キスしてくんだよ いきなり、!おかしいだろ! 」
なんなんだこいつの 無駄な落ち着きは。 普通 好きって言われたら ビックリするとか、 なんかあるもんだろ。 それに、いきなりキス。 いくら 長い付き合いだとしても キスなんて 一度もしたことないし、 してる方がおかしい。 まるで 俺が好きだってことを …
「 俺のこと好きだって 知ってたから。 」
「 ……… は? 」
頭の中の 言葉と重なって 、 ビクッと 体が震えた。
「 翔太分かりやすいから。 いつも顔赤くしてさ。 」
「 え、… いやいやいや…… 」
間抜けな顔 してたのかもしれない。 涼太が 珍しく 手を叩いて笑った。それからこっちを 向き直って、
「 で、 どうなの。 付き合うの? 」
急かすようにそう問われた。 いつものような 優しさや丁寧さはない。 たまに見せる 雑な、言葉を変えればヤンチャな 言い方。
「 …… 待って待って、 」
頭の回転なんて 早い方じゃないから まだ 酸欠みたいになってて ぐるぐる思考が 右から左へと流れていく。 自分が何を考えてるかもわからず、 Yだとか xだとか 、枕草子、本能寺の変、…… 学校で聞いたことのある 単語たちが ズラズラ 意味もなく浮かんでくる。 意味は分からない。 その様子を 察したのか、 涼太の手が 伸びてきて ポン、と 頭に触れた。
「 立ち話も なんだし、 上がってきなよ。 服も 変えた方がいいし 」
されるがまま、 服を脱がされ、 涼太の服を着せられ、 制服は 脱水にかけてもらった。 家事なんてできないくせに、こういう時だけ手際がいい。 服からは 涼太の家の匂いがする。
流されるように 机の前の椅子に腰掛けて、 目の前に 差し出された 紅茶を ひとくち飲んだ。美味しい。
「 どう? 落ち着いた? 」
まだ 若干放心状態ではあるが、 こくこく と頷いた。 紅茶の香りで 若干心が和らぐ。
ふと さっきの 外での出来事を 思い出す。 数年前の、 まだ幼い 涼太と、 さっきの光景が 重なる。 髪型とか、 背とかは 変わったけど、 下唇が厚いのと、 俺を 追いかけてくれたのは 変わらなかった。
「 俺は、 翔太が 好きだよ。 ずっとね。 だから いつもわざわざ 傘も大きいの 持って行ってたし、 昇降口で 待ってた。 」
「 は、? じゃあなんで、 」
「 翔太の 口から 聞きたくて。待ってた。 」
ずっと。 その言葉が 反響するみたいに 頭に響いた。
その 言葉は、 さっきの 勢いに任せた ような 紡ぎ方とは違う。 前から準備してたみたいな、 そんな 落ち着きがあった。
「 …俺も、好きだった。 」
そう言葉にした途端 顔が熱くなる。 絶対赤くなってる、 ぁー、 笑うな。 笑われると ムカつくんだよ。いつも 自分は余裕 みたいに微笑んで、 俺を笑って、…
「 はは、 顔赤。 たこ焼きにできそう 」
あぁ、ほら笑った。 またムカつく… 、
いや、 好きなんだ。 あの顔が。 あの笑顔が。 そう思うと また 顔の熱が増す。
「 それで、 翔太は どうしたい? 」
涼太は そう言って 優しく微笑んで、 ティーカップの 縁を なぞった。 少し 縁に残っていた 紅茶を 伸ばすように 指先が あでやかに動く。
関係なんて、 今のままでいい。 友達みたいに 笑いあって、 一緒にいるだけで心地いい。 そういう関係だって お互いわかってて、 休みの日に たまに 親について行って 家に お邪魔して。
でも、 ひとつあったな。 涼太の 欲しい時間。
恋人っぽい ことなんて求めてない。 俺の性にも 合わない。 キスだとか、 愛の言葉なんて いらない。
でも、
「 晴れの日の 涼太が 欲しい 。 」
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閲覧thanks !!
初投稿 緊張する ~、 温かい目で 見てくださると 幸いです 、!
コメント
2件
もはやこれで曲が作れる
いやもう…めっちゃ良かった😭💕 雨の日にだけ一緒に帰る関係って設定がもうエモすぎるし、翔太の気持ちに気づいてからの葛藤とか、ちゃんと伝わってきたよ…! 最後の「晴れの日の涼太が欲しい」って台詞、刺さりすぎて何回も読み返した。 初投稿とは思えない完成度で、続きが気になりすぎる!!はちさん、この作品絶対伸びるから自信持ってね✨
#absk
Sara
2
ころ
48