knに告白されてから頭がそればっかりになっていた。だから階段なんて踏み外してしまったんだろう。
あの時brがいてくれたからこうしてひどくならずに済んでいる。brの怖かった手も力もあの時ばかりは頼もしく感じた。
sh「車まで遠いなぁー…。」
ゆっくりと歩みを進めて行きもうすぐ車に辿り着くと思った瞬間視界が揺らいだ。
sh「あっ…」
転びそうになった所を誰かが腕を掴んで回避してくれた。俺は咄嗟に顔を上げる。
「先生、大丈夫ですか?」
sh「…あぁ、悪いな。助かったよ。」
と、生徒に礼を言うとさよならと挨拶をして帰っていく。車に乗り込むとすぐさまハンドルに顔を埋めた。
sh「…俺何考えてるんだ?」
助けてくれたのがbrじゃなかった事に残念な気持ちを抱いていた。これがどういう感情なのか自分でもわからずに混乱する。
家に着いてからもご飯は用意したものの食欲がわかずただ箸を握りぼーっとしていた。
sh「…何で俺なんだよ…。」
何で何でと言葉を繰り返すだけで答えなんて返ってくるはずも無くただただ時間だけが過ぎていた。
sh「……げ。」
朝起きて鏡を見ると眠れなかったせいか目の隈がいつもより酷くなっているのに気づく。どうする事も出来ないのでいつもの通りに準備を進めて車に乗り込む。
学校に着くと生徒達の元気な声が聞こえる。挨拶をされ俺はいつもよりか低い声で挨拶を返した。
sh「まだ違和感あんなぁー…」
足を触りながらまだ本調子じゃない為びっこを引いている。階段も少し億劫でため息を吐くと後ろから声がした。
br「先生、おはよ。足マシにはなった?」
なぜだかその声を聞くと顔が熱くなるのがわかった。
sh「…おはよ。足はだいぶマシになった。」
br「え?先生顔赤いけど熱?また無理してるんじゃないの!?」
sh「ちょっ!違う!…顔近づけんな!」
両手で必死に顔を隠そうとしたせいでバランスを崩しbrの胸に飛び込んでしまう。
br「先生!大丈夫?」
sh「わ、悪いっ!」
勢いよく離れすぎて次は後ろによろける。すぐにbrが俺の腕を掴んで引っ張ってくれたが、勢いでbrの胸に飛び込む形になってしまった。
br「…今日の先生なんか変だよ?」
sh「そんな事ない。」
ゆっくりと自分の体をbrから離して階段を一段ずつ登り始める。なぜか俺のスピードに合わせて登るbr。
sh「…俺は大丈夫だからbrは先に教室行けよ。」
br「職員室行けない分今なら許されるかなーって。」
sh「だと思ったわ。ほら、早く教室行け。」
br「…はーい。じゃ、先生気をつけてね?」
先に行くbrを見送ると我慢していた物が溢れ出す。
sh「やばい…ずっと顔熱いし、心臓ばくばくしてるし…俺本当にどうしたんだよ。」
この感情が何なのか今の俺は知るはずも無かった…。
続く。