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うああァァァてらもんさん、尊い…ビルちゃん可愛いねうへうへ
これ両想いじゃないか!?!?
「唇、乾燥してますよ」
「あ、ほんとだ…リップクリームあったかな……」
ポケットの中を探っていると、Telamonさんは微笑んでリップクリームを渡してきた。
「はい、どうぞ 良ければ使ってください」
「あっ、ありがとうございます…!」
ありがたく受け取ってキャップを外す。
ほのかに甘く優しい香りが漂う。
「塗ってあげましょうか?」
「へ?」
「嫌なら大丈夫ですよ」
「え、あ、いや!じゃあ、塗ってもらおうかな……よろしくお願いします」
「ふふ、わかりました」
リップクリームを返すと、彼は指にクリームを塗ってから僕の唇に優しく塗り始めた。
細い指が唇をなぞる。
少し緊張して目を逸らすと、彼はまた優しく微笑んだ。
「終わりましたよ これからは頻繁に保湿をした方がいいかもしれません、唇は乾燥しやすいですからね」
「はい!ありがとうございます……!」
「……あ、そうだ」
「?」
彼はリップクリームを自分の唇に塗る。
(なんだろう……?)
そしてゆっくりと近づいてくると、突然僕の唇を奪った。
柔らかい唇。頬に添えられた手。
その全てが僕の思考をフリーズさせた。
「へ……??」
「ふふ、びっくりしました?」
可愛らしく笑う彼。戸惑って声が出せない僕。
「そのリップクリーム、買ったばっかりなんですけど、貴方にプレゼントしちゃいますね」
「へ?!あっちょっと……!」
彼は僕の声を聞く前に去ってしまった。
(Telamonさんが使ったリップクリーム……)
僕はそれを握る。
「すきです……Telamonさん……」
片思いしてた人との初めてのキス。
「だいすき……」
この声はきっと彼には届かない。
それが何故か嬉しくてひとりぼっちの空間で微笑んだ。