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そんな彼女を見て申し訳なくなった。
………思い切って、聞いてみようかな。
「じゃあ、あの、本当にしょうもないこと聞いていいですか?」
「!はい!」
「………さっき、一緒にいた、男の人………」
「え、見てたんですか?」
「すみません。遠くから話してるのが見えて。ただ会話の内容は聞いてませんけど…。」
すると、彼女は少し安心した顔をした。僕に聞かれたくないことでもあったのだろうか。そう思うと、また胸のあたりが辺な感じになる。
「あの人は私の学生の頃の同級生です。」
「それだけ?」
「?それだけです。」
「…………てっきり、恋人なのかと…。」
「絶対ありえないです。ていうか、あの人彼女いるらしいですよ。私もさっき知ったけど。」
心の底から安心した。そんな自分になんとも言えない感情を抱く。
……じゃあ、なんであの時照れたのだろうという疑問も残ったが、それは置いといた。
「どうしてそんなことを聞くんですか?」
「……もしも恋人とか好きな人だったら、誘ったの悪かったかなって思ったんです。」
少しの本音を口にする。ほんとは黒い感情の方が大きかったんだけど。
「私、ずっと彼氏いないって言ったじゃないですかー。」
白川さんがそう言いながら笑ってると、前方から「ヒュルルルルー」と音がした。
「あ!始まりますよ!私花火見るの初めてなんです!」
「そうなんですか。楽しみですね。」
「はい!」
ドパーンッと目の前で大きな破裂音が鳴る。隣で白川さんが、想像以上に大きくて驚いたのか、ビックリしている。
いつの間にか僕は花火ではなく、白川さんを見ていたのだ。
「あ、そういえば…。」と思い、僕は自分のポッケの中からある物を取り出す。
それを、何も言わずに、白川さんの綺麗に結ってある髪に付ける。
ビックリして彼女はこっちを向く。そして、自分の頭に付けてある物を髪が崩れないようにそっと取って見た。
あげたのは、この浴衣に合いそうな、そして普段の白川さんにも似合いそうな、シンプルでかつ、綺麗なガラスっぽいヘアピンだ。
手のひらにあるプレゼントをまじまじと見ている彼女はらとっても嬉しそうで、照れくさそうで、幸せそうだった。
なんとなくこういうのが好きそうだと思い、さっき別行動した時に買ったのだが、予想は的中していたようだ。
見てる僕まで嬉しくなって、買ってよかったと心の底から思ったので、いい買い物をしたと思う。
すると、白川さんが口を動かしていることに気づいた。
最初に「ありがとうございます。嬉しいです。」と言ったのはわかったので僕も頷いたが、その後がわからない。
少し照れくさそうに笑いながら言っているけど、花火の音で、何を言っているかわからない。
それを察したのか、白川さんは、僕に近づいて、耳元で、
「さっきの話……、
実はるぅ💛くんが、ちゃんとした恋の初恋だったんです。
小学生とかのじゃなくて、中学生からずっとしていた本当の恋。」
「えへへ」と照れくさそうに笑った彼女はすぐに花火の方に体を向けた。
気のせいか、彼女の頬と耳は赤くなっていた。
僕はというと、
心臓がバクバクとうるさくて、花火の音が聞こえなかった。
「僕にすれば良いのに…………。」
気づいたら、花火の音にかき消されるように、小さな声で、そっと呟いていた。